しばらく更新が飛んでしまいましたが、その間にも、『飛んでイスタンブール』ならぬ『飛んでイタリア・ローマ』、ベルルスコーニ首相の辞任など、さまざまな出来事が起きていました。
もちろん、日本国内でも。国内ニュースの双璧は、TPPとオリンパス。さらには清武発言などというものもありましたが・・・TPPはフランス語では“le Partenariat trans-Pacifique”でPTPとなりますが(カナダのフランス語系メディアの表記)、PTPでもTPPでも『ル・モンド』の検索には出てきませんでした。地球の裏側での動きなのでしょうね。因みに、APECは、“la coopération économique Asie-Pacifique”となります。
その点、“Olympus”で検索すると、いくつかの記事にヒットします。やはり、製品は、強い。プロダクトという手で触れることのできるもの、目で見ることができるものは、やはり知名度が高くなります。まして、コンパクトカメラでは、日本製品がフランスを含め、多くの国々で大きなシェアを占めているだけに、オリンパスの事件は十分ニュースになるのでしょうね。ただし、大見出しになるほどではなく、文字検索する必要がありますが。
さて、オリンパス関連のニュースの中から、8日の『ル・モンド』(電子版)が伝える内容をご紹介しましょう。フランスのメディアはこの件に関し、どのあたりまで関心を広げているのでしょうか・・・
ピント合わせに時間がかかっているが、ピンボケが緩和されるに従い、オリンパスが映し出す画像にめまいを起こしそうだ。日本のこのカメラメーカーを取り巻く財務スキャンダルの暴露は、もはや留まるところを知らない。事件発覚からわずか3週間、世界で最も知られた日本ブランドの一つであるオリンパスは、経営陣の一部が行ったでたらめな行動により、まさに危機に瀕してしまっている。
すべては、イギリス人社長、マイケル・ウッドフォード(Michael Woodford)を就任わずか6カ月で解任したことから始まった。「彼は会社経営をすべて独断で行い、しかも文化の違いを克服することができなかった」と、日本人経営陣は述べている。文化的差異とは良い口実だ。ウッドフォード氏は、オリンパスによる4社の不明朗な買収についての説明を求めたのだが、下手に口出しをしてしまったということになる。
問題となっている額や買収方法を見れば、ウッドフォード氏は当然のことをしたまでだ。投資助言会社(une société de conseils financiers)は、2007年に医療器具会社(un fabricant d’instruments chirurgicaux)の買収に絡み、巨額の報酬を得た、6億8,700万ドル(660億円)もだ! またオリンパスは、2006年から2008年の間に、健康食品会社(une entreprise de compléments alimentaires)、リサイクル会社(une société de recyclage)、調理容器製造会社(un fabricant de récipients adaptés aux micro-ondes)の買収も行った。3社の買収総額は734億円になったのだが、光学機器と内視鏡メーカーであるオリンパスにとっては、買収先はどんな会社でも良かったのだ。第三者委員会の最初の報告によれば、これらの判然としない買収の目的はただ一つ、無謀な投資により90年代に発生した含み損を解消することだった。
オリンパスがこの混乱から回復するのは容易ではない。問題が明らかになって以来、株価は70%も下落し、1995年と同じレベルになってしまった。経営陣数人の辞任では、問題の火消しには十分ではない。オリンパスには本当の意味での刷新が必要だ。しかも、そのことはオリンパスだけでなく、日本の金融関連のすべての機関に言えることだ。不正を適切に見出すことができなかったことにより、金融当局の評判は大きく傷付けられている。しかし物事が変化するには、ガイジン(un Gaijin)が日本社会にとって不具合な所に手を突っ込むのを待つことになるのだろう。ピントを合わせることは、オリンパスだけに求められているのではない。株取引を管轄する部門もその手続きの刷新を求められている。
・・・ということで、オリンパス問題は、オリンパス一社だけの問題でなく、日本の金融部門に広く見られるもので、しかも、その改革には外国からの手が必要だ、と見られているようです。臭いものには蓋で、自己浄化できない日本。変化を嫌い、恐れる日本社会。そんな指摘があるようです。
とんでもない、かたよった見方だ、偏見だ、というご意見もあるでしょう。しかし、外圧に弱い日本、外圧でないと動かない日本、ということは、以前から対米関係でよく言われてきました。自らの判断で動くことが好きではない、あるいは、できない。外圧を理由に、誰も責任を取らないで済むようにしてからでないと、一歩を踏み出せない。
誰だって、切腹などしたくはありません。一度レールを外れると、二度と戻れない、と言われる日本社会。敗者復活戦のない日本社会。だからこそ、誰も責任など取りたくないのですね。「ガイジン」の所為にすれば、誰も責任を取らないで済む。うまい知恵です。
「ガイジン」の所為にできない場合は、言いまわしを曖昧にし、どうとも取れるようにする・・・TPPに関する表明がその典型ですが、これもまた、日本人の知恵。これで日本社会はうまく治まります。しかし、問題は、「国際社会」に否応なく巻き込まれてしまっているということです。日本人同士であれば、阿吽の呼吸で分かり合えるものも、外国語に訳され、しかも文化的背景が異なる外国人が読めば、理解が異なってくることもあるでしょう。
島国に「引き籠る」のであれば何も変える必要はないのですが、国際化時代を世界の中で生きていこうとするなら、日本、そして私たちの生き方のどこにアジャストすべきところがあるのか、あるとすればどう変えていくべきなのか、また逆に、堅持すべきところ、突っ張るべきところはどこなのか、そうしたことを考えることも必要なのかもしれません。難問ですが・・・
もちろん、日本国内でも。国内ニュースの双璧は、TPPとオリンパス。さらには清武発言などというものもありましたが・・・TPPはフランス語では“le Partenariat trans-Pacifique”でPTPとなりますが(カナダのフランス語系メディアの表記)、PTPでもTPPでも『ル・モンド』の検索には出てきませんでした。地球の裏側での動きなのでしょうね。因みに、APECは、“la coopération économique Asie-Pacifique”となります。
その点、“Olympus”で検索すると、いくつかの記事にヒットします。やはり、製品は、強い。プロダクトという手で触れることのできるもの、目で見ることができるものは、やはり知名度が高くなります。まして、コンパクトカメラでは、日本製品がフランスを含め、多くの国々で大きなシェアを占めているだけに、オリンパスの事件は十分ニュースになるのでしょうね。ただし、大見出しになるほどではなく、文字検索する必要がありますが。
さて、オリンパス関連のニュースの中から、8日の『ル・モンド』(電子版)が伝える内容をご紹介しましょう。フランスのメディアはこの件に関し、どのあたりまで関心を広げているのでしょうか・・・
ピント合わせに時間がかかっているが、ピンボケが緩和されるに従い、オリンパスが映し出す画像にめまいを起こしそうだ。日本のこのカメラメーカーを取り巻く財務スキャンダルの暴露は、もはや留まるところを知らない。事件発覚からわずか3週間、世界で最も知られた日本ブランドの一つであるオリンパスは、経営陣の一部が行ったでたらめな行動により、まさに危機に瀕してしまっている。
すべては、イギリス人社長、マイケル・ウッドフォード(Michael Woodford)を就任わずか6カ月で解任したことから始まった。「彼は会社経営をすべて独断で行い、しかも文化の違いを克服することができなかった」と、日本人経営陣は述べている。文化的差異とは良い口実だ。ウッドフォード氏は、オリンパスによる4社の不明朗な買収についての説明を求めたのだが、下手に口出しをしてしまったということになる。
問題となっている額や買収方法を見れば、ウッドフォード氏は当然のことをしたまでだ。投資助言会社(une société de conseils financiers)は、2007年に医療器具会社(un fabricant d’instruments chirurgicaux)の買収に絡み、巨額の報酬を得た、6億8,700万ドル(660億円)もだ! またオリンパスは、2006年から2008年の間に、健康食品会社(une entreprise de compléments alimentaires)、リサイクル会社(une société de recyclage)、調理容器製造会社(un fabricant de récipients adaptés aux micro-ondes)の買収も行った。3社の買収総額は734億円になったのだが、光学機器と内視鏡メーカーであるオリンパスにとっては、買収先はどんな会社でも良かったのだ。第三者委員会の最初の報告によれば、これらの判然としない買収の目的はただ一つ、無謀な投資により90年代に発生した含み損を解消することだった。
オリンパスがこの混乱から回復するのは容易ではない。問題が明らかになって以来、株価は70%も下落し、1995年と同じレベルになってしまった。経営陣数人の辞任では、問題の火消しには十分ではない。オリンパスには本当の意味での刷新が必要だ。しかも、そのことはオリンパスだけでなく、日本の金融関連のすべての機関に言えることだ。不正を適切に見出すことができなかったことにより、金融当局の評判は大きく傷付けられている。しかし物事が変化するには、ガイジン(un Gaijin)が日本社会にとって不具合な所に手を突っ込むのを待つことになるのだろう。ピントを合わせることは、オリンパスだけに求められているのではない。株取引を管轄する部門もその手続きの刷新を求められている。
・・・ということで、オリンパス問題は、オリンパス一社だけの問題でなく、日本の金融部門に広く見られるもので、しかも、その改革には外国からの手が必要だ、と見られているようです。臭いものには蓋で、自己浄化できない日本。変化を嫌い、恐れる日本社会。そんな指摘があるようです。
とんでもない、かたよった見方だ、偏見だ、というご意見もあるでしょう。しかし、外圧に弱い日本、外圧でないと動かない日本、ということは、以前から対米関係でよく言われてきました。自らの判断で動くことが好きではない、あるいは、できない。外圧を理由に、誰も責任を取らないで済むようにしてからでないと、一歩を踏み出せない。
誰だって、切腹などしたくはありません。一度レールを外れると、二度と戻れない、と言われる日本社会。敗者復活戦のない日本社会。だからこそ、誰も責任など取りたくないのですね。「ガイジン」の所為にすれば、誰も責任を取らないで済む。うまい知恵です。
「ガイジン」の所為にできない場合は、言いまわしを曖昧にし、どうとも取れるようにする・・・TPPに関する表明がその典型ですが、これもまた、日本人の知恵。これで日本社会はうまく治まります。しかし、問題は、「国際社会」に否応なく巻き込まれてしまっているということです。日本人同士であれば、阿吽の呼吸で分かり合えるものも、外国語に訳され、しかも文化的背景が異なる外国人が読めば、理解が異なってくることもあるでしょう。
島国に「引き籠る」のであれば何も変える必要はないのですが、国際化時代を世界の中で生きていこうとするなら、日本、そして私たちの生き方のどこにアジャストすべきところがあるのか、あるとすればどう変えていくべきなのか、また逆に、堅持すべきところ、突っ張るべきところはどこなのか、そうしたことを考えることも必要なのかもしれません。難問ですが・・・
日本、日本人には難しい問題ですね。
なにぶんにも、“歴史”あるものですから・・・。
僕の趣味は写真なんですが、そこに絞ってコメントさせて頂きます。
まったくがっかりですオリンパス。良い製品を作って、みんなに使ってもらってそれがメーカーの悦びなんじゃないか、と勝手に思っていましたが。なかなか企業というものはそうはいかないんですね。もちろん、現場で企画したり設計したり作ったりしている方々が今回の話題の中心という訳ではではありません。しかし、これで“日本のメーカー”に向けられる視線が厳しくなることでしょうね。いや、『日本に向けられる』と言った方がいいかも。だとすると責任は大きいぞ、オリンパス。いやいや、僕自身を含めて考えなくちゃいけないのでしょうね、日本人として。
あー、一眼レフのOMシリーズなんて皆さん知ってますか?格好良かったなぁ。
どうなるんでしょうね?
おっしゃる通りで、オリンパスが行ったこと、そして今後の対応は、オリンパス一社ではなく、日本の企業風土、あるいは日本社会の特徴として理解されてしまう可能性がありますね。
行ってしまったことは取り返しがつかないわけですから、今後、いかに対応していくのか、どのように再発を防ぐシステムを構築するのか、が大切ですね。
どこが、どのように対応するのでしょうか・・・ちょっぴり、不安ではありますが、なんとかしっかりした対応を、と望むしかありません。