精神機能と能力開発:心理学―教育学―社会学

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無意識有能と熟達 ~オイゲン・ヘリゲル「弓と禅」~

2015年01月14日 | 意識



オイゲン・ヘリゲル(Eugen Herrigel)
ドイツの新カント派哲学者。大正13年(1924年)~昭和4年(1929年)まで、東北帝国大学に招かれて来日し、哲学を講じた。この間、禅の精神を会得するために、阿波研造 師範の下で弓道の修行を行った。その様子は、『オイゲン・ヘリゲル(著)稲富栄次郎・上田 武(訳)弓と禅 福村出版.』に詳しい。

阿波師範は、弓を意図的に引くのではなく、自己を離れた無我の沈潜によって、引き絞った弓から、満を持して射が“笹に積もった雪のように落ちてくる”ことを待つように指導していた。しかし、ヘリゲル教授はその習得がなかなか進まず、いつも足踏みをしていることに我慢できなくなり、経験のあった小銃射撃の要領で、矢を押さえつけている指を用心深く徐々に開く方法を思いついた。これを見た阿波師範は、自分をだまそうとしたとしてヘリゲル教授の指導を断ることを伝えたが、紹介者の小町谷教授のとりなしで、再び稽古が始められた。

「もし“私が”しなければ、いったい射というのはどうして放されることができましょうか?」
「“それ”が射るのです。」
「ではこの“それ”とは誰ですか?何ですか?」
「ひとたびこれがお分かりになった暁には、あなたはもはや私を必要としません。そしてもし私が、あなた自身の経験を省いて、これを探り出す助けをしようと思うならば、私はあらゆる教師のなかで最悪のものとなり、教師仲間から追放されるに値するでしょう。尋ねないで、稽古しなさい。」

例えば、マネジメントの用語では…
1)無意識の無能 → 2)意識された無能 → 3)意識された有能 → 4)無意識の有能

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