飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

紅葉過ぎ飛騨は雪の気配!

2022-11-30 20:54:43 | 俳句日記の部屋

友送り 独り残りし えんまかな  湧水

友送り 師走ま近かな えんまかな  湧水

と詠んでいたら、

「小雪」飛騨 虫の音消えし 枯れ野かな  湧水

ところがびっくり、

北風に なお鮮明な 羽音かな  湧水

もしかしたら

友送り 師走最後の えんまかな  湧水
となるかも?

雪せまり 最後の小春の 飛騨路かな  湧水

球根は プランタ庭に 雪を待つ  湧水

玄関に 鉢花新た 師走待つ  湧水

名を忘れ 水は控えめ 冬鉢花  湧水

炊飯器で 林檎を蒸さむ 冬はじめ  湧水  皮むきが難しい

お供えの 皮むき林檎の 美味さかな  湧水

一個ごと 美味しさ違う 生林檎  湧水

皮むきに 感謝し食みし 林檎かな  湧水

供え林檎 ついでに頼む 柿皮むき  湧水

温かき 手作りパンや 冬はじめ  湧水

冬はじめ 手渡しできし リーフレット  湧水

川柳、無季、時事

動き速き 子育て中の 若ヘルパー  爺達は幼児よりはマシ?

コスタリカの 監督救いし 侍日本? もし日本に負けていたら国へ帰れなかったかも?

ワールドカップ 勝ちしゲームを 昼に観る  これが心身の健康に良い!


(続)連載小説「幸福の木」 330話 木の実のカポックとハスカップ?

2022-11-28 17:12:28 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、もしかして飛騨はあさって頃雪が降るかも?小雪が、はい、遅れながら原稿が届きましたので、余分な事は省き、早速、小説に参ります、はい、開幕開幕でーす!

330 木の実のカポックとハスカップ?

皆はお盆に並べられている茶碗を取ってお茶を飲んだ。
「でも、山の木にこんな餅が成っていたなんて信じられないわ」
ハナナが独り言のように言った。
それを耳にした太郎が、すぐ反論した。
「空から綿菓子のようなものが降ってきたと言う話よりはマシだ」
すると修験者が言った。
「ああ、そう言えば、思い出した、竜巻が海の魚を巻き上げてどこかの土地に降らせたと言う話じゃ」
それを聞いた長老が、
「えーっ、それこそ、土地の人達は喜んだじゃろうな、なにせ天から魚が降ってきたんじゃからな。もし、こんな山奥に海の魚が降ってきたら、それこそ酒の魚にして、村上げて大歓迎じゃろうな。いやいや、天の恵みと畏れいって大感激じゃろう」
と元は村の長老だった頃思い出して言った。
「あのさ、あたいは木に成った餅の話をしていたのよ、それが何で、天から魚が降る話になったの?」
ハナナが口を尖らせた。
「そうよ、人々が本当に困っていたので、天の神様が助けてくださったのよ、笑い話じゃないわよ」
ハナも同じく口を尖らせて言った。
すると、木花咲姫が久々に口を開いた。
「そうですね、そう言う事も起こりえますよ」
その言葉に、村長も皆も期待を込めて聞き耳を立てた。
「そうですね、もし正直な人間達が神を敬い本当に困って神に助けを祈った時は、天から私達が主神の命を受けて手助けをいたします。
緊急の場合は餅のような物を成らせる事もできます。ふつうは木の実として成らせるのです。
ずっとずっと昔は地球にはシダ類のような植物ばかりでした。
が、わたくしが他の星々から様々な草木の種を取り寄せて、今日の地球にあるように多様な草木を増やしました。
そして初めて地球には花が咲き実が成る木の森が増えてきたのです」
と話し終わった。
すると、村長が手を打ってうなづきながら、
「ああ、それでじゃったのか?皆が木花咲姫と言うので、ワシは何とたいそうな呼び名を付けたもんじゃと不思議に思っていたのじゃ。今、ようやく解った!
そうじゃったのか、木に花を咲かせる姫とは、正にその名の通りだったのじゃ。
ワシ達は、木花咲姫様は富士山の山頂に鎮まっておられると聞いていたが・・」
と改めて恭しく木花咲姫に一礼した。
「はい、そうです、わたくしは富士山山頂にもいますが、こうして自由に必要な場所にも出かけます、以前はここの御岳山頂にも住んでいましたよ、もっとも、それは大噴火した五万年前の昔の事ですが」
姫がそう答えると、村長がさらに何か尋ねようとした。
それを遮え切るようにハナナが言った。
「あの、木に実が成るようになったのは木花咲姫様が為さったのですか?どうせなら、餅も成らせるようにしてくだされば良かったのに」
すると、慌てて長老達がハナナを叱った。
「ああ、まだまだ何も知らない好奇心ばかりの子供ですからしかたありませんね、よくよく観察すれば、もう既にたくさんの木に実を成らせていますよ。この村にも既に桃の実や柿の実や梨、林檎が成っていますね、それに昔からの栗の実やトチの実やナツメやグミも山ブドウもあります。また最近ではサクランボやブルーベリーやユズやミカンなどもありますね」
「えーっ、そんなにたくさんあるんだ、ハナナちゃん、私達が知らないだけで、木花咲姫様はもう多くの実を木に成らせてくださっていたのよ、お礼をいわなきゃね」
とハナが言うと、ハナナは恥ずかしそうにうなづいた。
すると外国人の父親が、思い出したように言った。
「私達夫婦が、何ねんか前にブラジルへ行った時に驚いたのですが、そうそう、ここの柿の木ほどの太さの幹に、まるでピーナッツを大きくしたような物がたくさんくっ付いていた庭木があったのです。近づいてよく見ると、それは木肌が隠れるほどギッシリとくっ付いていて、まるで虫が集まっているのかと思うほど気味が悪かったのです。」
すると奥さんも話すので娘が通訳をした。
「それは、この村で言えば、ナツメの実をたくさん木肌に接着剤でくっ付けたみたいで、見ていて私の肌もかゆくなる感じでした」
その話を聞いていてハナやハナナも体がかゆくなってきた。
「ホホホホ、やはり何事も欲張り過ぎると、いい事はありませんね、木の実もほどほどが良いみたいですね、ホホホホ」
と姫は侍女と一緒に笑い合った。
すると村長が提案した。
「あのー、木の実と言えば、この村では旧い物だけでなく新しい物にも挑戦しているのですよ、木花咲姫様にも皆さん方にも、是非とも御覧になっていただきたいのです。それは遠い南国の木の実と寒い国の木の実です、ワシが案内させていただきます」
「でもここは冬は寒い土地でしょ?そんな南国の木など育つのですか?」
と侍女が聞いた。
「はい、もちろん、温室を利用しています。
この昭和村には当時の町の銭湯が際限されて今も営業しています。その廃油を利用してビニールハウスの温室の中で育てているのです」
「セントウって何ですか?」
とグー太が聞いた。
「ああ、銭湯と言うのは、つまり共同の入浴場の事じゃ、温泉地にはたくさんあるが、昔は日本中のどの町にも銭湯が多くあって、風呂の無い人達が毎晩入っていたもんじゃ」
すると、ハナナが言った。
「えーっ、そうなの?それじゃ、ここも下呂温泉のように熱い湯が出ればいいのにね」
すると村長はうなづきながら話した。
「全くその通りじゃ、ここは掘れば温泉が出るが残念ながら温度が低いので沸かさなきゃならん。だが幸い周囲が山ばかりなので、木を燃やして沸かしている。またその熱湯は配管で村の旅館や住宅にも供給しているので、ここではいつでも温泉のように入浴ができる訳じゃ」
村長が満足そうな顔で口を閉じると、すぐに女将が勧めた。
「それじゃあ、ちょうど餅つきも花餅作りも終わったようですので、皆さん、せっかく村長さんが仰ってくださるので、村長さんの案内で熱帯植物園を見学させてもらって、ついでに銭湯にも入ってきたらいかがでしょうか?」
「わーっ、もしかして銭湯の後に料理が出てビールや酒も出るとか?」
急に太郎が上機嫌になって、冗談口調で大声を出した。
「ああ、そうじゃ、ついでに地元で作っている酒を試してもらったらよいかも知れん。山ぶどうのワインも濁り酒もいろいろな果実主もある」
と言う訳で、村長を先頭に皆はぞろぞろとハイキングのように、昔の「銭湯」とミニ植物園へ向う事になった。
途中で、長老が大声を出した。
「おお、何じゃ、この樹木は?この木の枝先に小さな実が成っているぞ、見た事もない実じゃ、ブルーベリーよりずっと大きく小梅ほどの実じゃが・」
すると修験者も、その樹の間に足を踏み込んで、
「おお、実に面白い実じゃ、形もいろいろじゃ、梅のような丸型も細長い形もハート型もある、いったいこれは何の実じゃ?」
すると先頭の村長が、満足そうに笑みを浮かべて説明した。
「ああ、これは今試験栽培しているハスカップと言う果樹じゃ、北海道が産地の木の実じゃ、大変美味しいが日持ちがしないため、今は北海道の地元でしか食べられないが、高級な美味な木の実じゃ。ここでは品種改良して皮が丈夫になれば出荷できるようになるじゃろうと思っている」
「でも実が枝先だけで、少ししか成っていないわ」
ハナが首をかしげながら聞いた。
「ああ、もう収穫時期が過ぎたんじゃ、今あるのは花が遅れて残った実だけじゃ。ここではいろいろな品種を取り寄せて栽培試験をしているんじゃ」
「おーっ美味い!実に上品な味じゃ、これなら間違いなく売れるじゃろう」
長老と修験者が口をモグモグさせながら歓声を上げた。
「あっ、駄目、駄目だよー!試験中なんだから、許可なく食べると叱られるよ」
と大声で叱ったのは、なにとグー太だった。
グー太は、高い枝先には手が届かず、くやしがっていた。
やがて皆がビニールハウスに到着すると、村長が、
「さあさあここがわが村の温室じゃ、今は熱いのでビニールを少し開いているが、この中には熱帯のいろいろな植物が試験的に栽培されている。
面白いのは、この木の実じゃ」
と言って、村長は温室の中の樹木の足元を探して、一個の木の実を掌に載せた。
「これは日本でも少しづつ知られるようになったが、カポックと言う南国の木の実じゃ。毎年栗のように成る木の実じゃ、これからは化学繊維の代わりに多く普及されるようになるじゃろう」
「えーっ、どうして?」
ハナナがまた大声で聞いた。
「これは綿よりもずっと軽いんじゃ。それにずっと暖かいんじゃ。中が空洞になっているからじゃ、それに吸湿発熱と言って湿気で暖かくなるので冬用の布団や衣服にはもってこいじゃ。

(つづく)

思考が先、現実は後! (その 14 ) 新しい世界と闇勢力の崩壊?

2022-11-25 22:52:57 | エッセイの部屋

前回は期日の関係で慌てて投稿してしまったが、何事もなくて良かったと安堵している。
しかし実際のところ、今のアメリカ社会はかなり混乱していて解りにくいようだ。
フェイクニュースや投票方法やマスコミの偏り報道、それに貧富や福音派等の宗教の深い対立、それにバイデン、ヒラリーなどの民主党と軍産とのディープステートとの癒着、それを立ち切るのがトランプ大統領復活の期待となっているとか?
悪く言われるトランプの事は分かりやすいが、ヒラリーバイデンなど民主党の悪いところが見えにくい。その辺を少し学んで整理してみようと思った。

例えばディープすてーとと言う言葉がある。それは、ウイクペリアによれば、
「ディープステート deep state、または闇の政府とは、アメリカ合衆国の連邦政府・金融機関・産業界の関係者が秘密のネットワークを組織しており、選挙で選ばれた正当な米国政府と一緒に、あるいはその内部で権力を行使する隠れた政府として機能しているとする陰謀論である(影の政府)」
と説明されている。

さて、以上の事を前置きしながら、
今日の問題をより大きな視点や流れから整理してみようと思った。

まず、創造主である主神は、壮大な目的と計画のもとに、この世(宇宙)を造って、今までその計画(誌組、経綸)を進めてこられた。
元々万物すべての実態はエネルギであり、形は波動とか意志や想念とか言葉などの目に見えない霊的や精神的なものである。
主神の目的とは、主神のような子供を産み育てる事であった。
まず、霊的な天国(五次元以上の世界)において人間の霊を産む。
それを三次元の地球社会に肉体として何回も生まれさせ、様々な経験をさせ成長させる。
その場合、地上に生まれる時にはそれまでの記憶はすべて忘れて新鮮な気持ちで新たな人生を送らせた。
そして最後には十分に成長した段階で、主神の元に帰って来させ、一体となる事が目的である。
そのために造られたのが、三次元の物質世界と時間が一方向に流れる「この世」であり、それが地球であり、また宇宙でもあった。
最終的に計画が完成された地球においては、生まれた人類すべてが楽しく様々な経験や楽しみができ、魂の向上もできるような、言わば地上における天国のような世界を造ろうとされた。
それが地上天国やみ国である。
その実現のためには物質的な進歩と精神的な進歩が必要となる。
しかし、物質的な進歩には精神的進歩には比べられないほど長い年月が必要となる。
なので、物質的進歩をより促がすために、神は神をないがしろにすると言う無神思想を作った。
この無神思想によって悪が生まれ闇の勢力が生まれた。
悪は漸次勢いを得て、善なる人間達を苦しめ争闘を起こし、人類を苦悩のどん底に落としいれた。
それに対して人間達は、這い上がろうとしてあがき、発憤努力して苦境から逃れようとした。
つまり、無神論こそ、悪を作るための必要な思想だったのである。
この善悪の競争が文化発展に拍車をかけたのであるから悲惨ではあるがやむを得なかったのである。
こうして物質的にも十分進歩を遂げた今、いよいよ悪の追放の時が来たのである。
これは、世界経綸の主神のプログラムの現れであるから、人類の決定的運命である。
こうして、今まで悪が自由にしてきた文化は、一変して善の手に帰する事となる。
ここにいよいよ地上天国樹立の段階に入ったのである。(前回の教祖論文の要約)

さて、今まで地球を我が物顔にしてきた闇の勢力とは、霊界に存在する邪神達である。
彼等は現在の文明が興る前にも、過去にもいくつかの文明を滅ぼしてきた。
例えばまだ半霊的な存在だったレムリア、ムー文明やアトランチス文明がそうである。
約1万2千年前に両文明は海底に沈没して滅んだと言われている。
またその頃に起こった世界的な大洪水等の災害の後に、原始状態から始まったのが現文明である。
現文明の始めにはシュメール文明が中東のちぐりす、ユーフラテス二大河川畔に起こった。
このシュメール文明は宇宙人のハ虫類系のレプチリアンが、当時の原住人?を遺伝子操作して現在の人間の体を作ったと、言われている。(スピリチュアル情報)
(こうした人間の肉体の変遷と宇宙人との関係やその歴史については、少し複雑なので今回は省略する)
さて、闇の勢力の目的は、人類に戦争や争い事を起させ、恐れや怒りや恨み、憎しみ妬みなどで生じるネガチブなエネルギーを獲得する事である。
そのネガチブエネルギーによって、彼等は勢力を増大する事ができる。
こうして闇の勢力は地上に争いや苦悩を起させネガテブエネルギーを得て勢力を増やしながら地球を支配し自由にしてきた。
闇の勢力とは、邪神を主とした邪悪な霊的存在と邪悪な宇宙人達で、彼等は霊的または想念的に善なる人間達に悪事を勧め仲間に引き入れようとしてきた。
仲間になった人間達には世界の金や経済や政治をも支配できる立場に立たせ、自分達は表に出る事なく陰で支配してきた。
しかし、それがこれからできなくなるのである。
現在では、イルミナティーやロスチャイルド、ロックフェラー等がその元と言われている。
(この辺の詳しい事を整理して述べようと思ったが、そんな事を知っても役に立つ事ではないと思ったのでやめた)
いづれにしても、地球には悪が滅び善が栄える時代がもう到来したのである。

1、地上天国うち建てむとて太初より仕組しませりメシアの大神

2、大神の造りたまいし天地の闇にいつまで閉ざされるべしやは

3、諸人の心の岩戸開けなばこの世の闇は消ゆるなるらむ
と言う一番初めの歌があるが、
まさに今までの人類史は闇の勢力に閉ざされていたのである。
これから人類が心の岩戸を開くと言う事は、霊的にも目覚めると言う事でもあり、今日まで闇の勢力によって隠されてきた様々な事が明かされて、人類が旧い考え方や慣習を捨てて、新しい光の路へ進み地上に天国が到来するのだろうと思う。

(つづく)

小春の飛騨 球根植え!

2022-11-22 15:51:32 | 俳句日記の部屋

小春陽に プランタ掘りて 球根埋め  湧水

一球を 植えれば続く 枯れプランタ  湧水

たやすさに 全球根を プランタ埋め  湧水

手付けなる 球根埋める 冬プランタ  湧水

一枚づつ 小判を埋めて 待つ春かな  湧水

宝埋め 百合は大判 水仙小判  湧水

ムスカリの 銀貨を端に プランタ植え  湧水

咲く花を 想い埋め足す 球根かな  湧水

冬はじめ 行くてを塞ぐ おのが影  湧水

粗相して 尻湯あたたか 冬タイル  湧水

川柳

粗相して 新アイデアや ミニ尻湯風呂  足湯の進化形?子供高齢者用に


(続)連載小説「幸福の木」 329話 飛騨の花餅の紀元?

2022-11-20 14:20:06 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、紅葉も盛で、いよいよ雪です、はい、ワールドカップも始り、ウチの先生もドッグでした?はい、てな訳で、原稿が届きましたので早速、小説に参ります、はい、では開幕開幕!

329 飛騨の花餅の由来?

ケンが吠えていたのは、杖をつきながら、ゆっくりと歩いてくる男の人だった。
近づいたのでよく見ると、頭も顎髭もまっつ白な老人だった。
「おー、やってる、やってるぞ、久々の光景じゃ」
ペッタンペッタン!と言う杵音に微笑んでいたが、不意に、
「しかし、何で、今頃に餅つきじゃろうかな?」
と小首をかしげて独り言を言った。
その、長いまっ白の髭は先が風に靡いていて、まるで奥山からやって来た仙人のような印象を見る人に与えていた。
「あっ、村長さん、お久しぶりです、お元気そうで、何よりです・・」
女将が真っ先に進み出て、頭を深々と下げてあいさつをした。
おお!と村長は口を空けてうなづいていたが、
「おっ、花餅じゃ、花餅じゃ、しかし、まだ正月には少し早過ぎるんじゃないのかな?」
と言いながら、花餅やお鏡餅から、それを作っている子供のハナ達や、見ている太郎達にゆっくりと目を向けた。
もちろん、猿のゴクウや犬のケンと後ろの長老達、それに外国人家族達にも目を向けた。
皆がやや緊張しながら、その白い髭の中の動き始めた口を見ていた。
「・・・それはそうと、もう、なぜ飛騨では花餅を作るのかを聞いているじゃろうか?・・いや、知ってるはずはないじゃろう、ひとつ、話してやろうかな、せっかく海外からや遠い世界からおいでなさったようじゃからな」
と言って、縁側の空いてる場所にゆっくりと腰を降ろした。
ちょうどその時、女将がいそいそとお茶を運んできた。
「おやおやこれは、すまん、女将、忙しいのにわざわざお茶をのう」
とお礼を言って茶碗を手に取ると、皆の方を見て言った。
「どうぞ、皆さん方も、そのまま仕事を続けてくだされ、ワシの方には耳だけを傾けてくださればいいんじゃ。ワシの話は、聞いても聞かなくても、どうって言う事のない話じゃからな、はッハッハー、そう、今皆で作っている、飛騨の花餅の話じゃ」
と言って、お茶をゆっくりと一口飲んだ。
「ああ、そうじゃ、その由来はずっと古く、江戸時代よりもっと前の奈良時代、それは高山の国分寺ができた頃じゃ。実は、それよりもずっと古い、弥生時代縄文時代よりも古い時代の事じゃ。
地球全体が大洪水に見舞われた後の事と言われているから、おそらく一万二千年前後の最後の大洪水の後の事だとワシは思う。
大洪水は日本中に及び平野も高地も水が溢れて海のようになってしまった。
わずかに高い山だけが小島のように残った。
そしてほんのわずかの人々だけが、山へ逃げ登って生きながらえた。
着の身で逃げるのに精一杯で、食べ物など持ち出す余裕も無かった。
大雨が止んでも、洪水はすぐには引かなかった。
人々は食べ物が無く飢えに苦しんだ。
しかし、飛騨の位山に逃げ込んだ人々だけは生き延びる事ができた。
なぜなら、位山の森の中の木々に食べ物がいっぱい成ったからだ。
それは、木の枝と言う枝に餅のような物が成っていたのである。
元々位山と言う山は、古く天皇の先祖が天の浮舟から舞い降りた山と言われていた。
位山に逃げた人々は、天や天皇に感謝して、木に成った餅を食べ洪水を乗り越えたのじゃ。
この話が、古い「竹の内文書」と呼ぶ書に書いてあるのじゃ。
こんな事は誰も言っていないが、ワシは、この事が飛騨の花餅の由来だと思っている。
まあ、そう言う話じゃ、若い方々も熱心に話を聞いてくれてありがとう」
と言って、村長はお茶を啜った。
すると、外国家族の父親が英語混じりの日本語で言い出した。
「いやいや日本の古いいい話を聞いた、実は私達にも旧約聖書に似たような話がある。
それは、モーセがエジプトから大勢の人々を引きつれて逃げた時の話だ。砂漠で食べ物が尽きてしまった。
その時、モーセが神に祈ったら、天から綿のようなマナと呼ぶ食べ物が降ってきて、それを壺に納めたら人々全員が生き延びる事ができた。
その壺はマナの壺と呼ばれ、十戒石版とアーロンの杖と共に三種の神器のひとつとなっている。
なので、言ってみれば、飛騨の花餅は西洋のマナの壺だと私は思う」
父親は興奮気味で語っていたが、娘が冷静に懸命に通訳してくれたので、うまく皆に伝わった。
すると同じ様に興奮していたハナナが質問した。
「それじゃ、この花餅は三種の神器なの?」
するとタタロが答えた。
「ああ、きっとそうだ、だから飛騨の家々では今でも正月に花餅を飾るんだ、三種の神器だと大切に思っているんだ」
するとハナナが首を横に振った。
「でも、木に成っていたのは餅じゃないでしょ?だって、そんな昔には、まだ米や臼や杵も無かったでしょ?」
これにはタタロも反論できず、二人は混乱した。
ゴクウと小声で話していたハナが言い出した。
「いえ、そうじゃないわよ、村長さんは花餅の由来と言うか、起源について話してくださったのよ、どうしてこのような花餅が作られるようになったのかを、つまり、そう言うありがたい事が起こったので、その話を聞いていた飛騨の人々が、その事をいつまでも忘れないように、毎年正月に木の枝に餅を付けてそれぞれの家に飾るようになったのよ」
すると太郎が付け加えた。
「ああ、そうか、うん、そう言う事だ、つまり、雪ばかりで花の無い冬の時期だから、きっと餅を花に見たてて、小さくいっぱいに、さらに色を付けて花のように枝に付けて飾るように工夫したんだ」
すると女将まで口を開いた。
「ああ、それが長く続けられたのは、きっと子供達も喜んだからだと思うわ」
「えっ、昔も子供達が喜んだの?」
子供と言われ、グータが聞いた。
すると今度は長老が答えた。
「そうじゃ、冬は乾燥するから、枝に付けた餅はひび割れて落ちてしまう。それを栗拾いのように集めて母親やお婆さんが鍋で炒ると、アラレのようなお菓子になるんじゃ、それは子供達の正月開けの楽しみだったんじゃろう」
「あの、さっき言ってた三種の神器って何?」
またハナナが聞いた。
「馬鹿、そんな事も知らないのか?日本の三種の神器って言ったら、鏡と草薙剣と勾玉だ、それを持っているのが天皇だ、それが天皇の証拠だ」
どうして鏡や刀や何とか玉なの?どうして三つなの?」
「・・・」
皆は沈黙してしまった。
ああ、そう言う質問は答えるのも大変だ、それよりも今は花餅の話だ」
と太郎が怒鳴った。
ハナナも負けず言い変えた。
「それなら、花餅と言えば、どうしてここにあるような松の枝や細い若枝なの?」
「・・・」
太郎も反論しようと思ったが、何も出て来ず口だけをモグモグさせた。
「いやいやなかなか鋭い質問じゃ、近頃は観光客などに細長い枝の花餅ばかりが売られるようになったが、ここの位山の南に当る地域では、昔から松の枝を使っていた。
そうじゃ、山へ入って扇子を広げたような松の枝を切り取ってきて、それを家の大黒柱に縛り、居間の天井に固定した。
その枝のアチコチに餅を巻き付け、キラキラ光る玉や飾り物を糸で吊るしてクリスマスツリーのようにして正月を迎えた。西洋でクリスマスツリーを準備する頃、日本では花餅を準備していたと言う事じゃ。
つまり、クリスマスツリーは、言わば、モミの樹の丸いピラミッドじゃが、日本では平らな扇子形の松の花餅じゃたと言う事じゃ。ワシはこれには東西文明の深い意味が秘められているように思う」
と村長は1人うなづいていた。
すると、しみじみと村長の話を聞いていて、花餅をまじまじと見ていた外国の親子が感想を言い合っていた。
「やはり、山へ入って、このような松の枝にくっ付いている餅を見た時は、きっと人々は飛び上がるほど喜んだ事でしょうね、そして天や神様に感謝した事でしょうね。その意味では、やはり細い小さな枝の花餅よりも太い松の枝の花餅の方が、たくさんの餅が成っていてもっと有難かったでしょうね」
その言葉を聞いて村長も合槌を打った。
 「ああ、そうじゃ、ワシもそう思うが、残念な事に、少し前に杉や檜の植林ばかりがされてしまって、今では山へ入っても松の枝が見つからなくなってしまった。
なので、その代わりにヤナギやウメやカシの木の若枝を使うようになったのじゃろう」
すると修験者が言った。
「そうだと思う、それに、その方がコンパクトで観光客にも良いし、今風の家にも合っていて、しかも作りやすいし安価に販売できるからだと思う」
「はいはい、皆さん、ちょっと休憩にいたしましょう、お茶をお持ちいたしましたので、作りたてのアンコ餅を召し上がってください」
と女将が皆に声をかけた。

(つづく)