みんみん蝉が我が家の庭の立ち木に来て、朝から泣く。どう言うつもりか1泣きするとさっさと立ち去る。そこは、思い出してみると、つばめもよく鳴いていたところだ。
今は他の鳥の鳴き声もたまにする。どうも野鳥や昆虫の止まり木らしい。
ちょっと前から、家の周りに木々があると、枯葉は落ちるし、木はどんどん大きくなるから、切手しまおうと、思っていたが、考え直すことにした。
と言うのは、最近蚊にさされて葦やうで、それに尻までかゆくてたまらない。今までこんなことはなかったのに、と不思議がっていると、ピーンと来た。あのつばめの親子が去ってからそうなったのだ。
つばめは飛んでいる昆虫を食べる。家の周りでよく鳴いていたのも、たぶん蚊を取る訓練を雛達にしていたのではないか。親子八羽が家の周りの蚊を食べれば、蚊達はおいおいと飛んでも行けない。じっとヒソンデいて、つばめがいなくなった今、さあ今だとばかりに思い存分我が家の中まで入って来るのではないか。
蚊は草むらにひそむ。立ち木には野鳥が来る。立ち木のみを切ってしまったら、大変なことになるところだったかもしれない。と言って最近見かける、草取りが嫌だと、草むらもない、アサファルトやジャリばかりの家では、照り返しがひどくてミニヒートアイランドになる。
ゆく夏や 肌さす陽より 北の風 湧水
朝せみの 追い払われる 残暑かな 湧水
ひと雨が 残暑追いやる 飛騨初秋 湧水
立秋の 風やうなじに しのび寄り 湧水
遠慮無し 我が家とばかり こおろぎかな 湧水
こおろぎの 声とだえれば 気にかかり 湧水
ゆく夏を とどむる術無し 遅せみかな 湧水
こおろぎに 引き継ぎせわし 蝉しぐれ 湧水
夕顔の 城みなぎりし 一夜かな 湧水
そう言えば、2、3年前のことだが、ちょうど今頃高山市の千光寺を訪ねた。両面宿なと円空仏で有名な古刹である。
静けさや 千年一日 蝉の寺 湧水
千 光陰 止めて静けさ 蝉の声 湧水
千年の 沈黙に耐え ひとり蝉 湧水
木目浮く 古刹に若き 素足かな 湧水
どうがそら遺跡
鮎くだり 木の実の山々 堂之上 湧水
松倉城址
松のみの 観音遠き 秋城址 湧水
欲のみの 城跡さびし 蝉も無し 湧水