飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

三寒四温の飛騨 西からはさくら便り!

2022-03-29 16:06:12 | 俳句日記の部屋

春畑の 大地を踏めば 日本かな  湧水

落ち着かぬ 心春畑に 癒されし  湧水

土踏めば 鎮まるわが血 春畑  湧水

さくら餅 吾と仏の 皿ふたつ  湧水

久々に しゃがむ池ふち 水ゆるむ  湧水

舞う花粉 静かに落とし 春の雨  湧水

日なた縁 猫と婆さん のどかなり  湧水

膨らみし 希望くじきて 花冷えかな  湧水

花冷えの 黙す山寺 水の音  湧水

花冷えの 庭静かなる 山の水  湧水

珈琲を 持ち来し友と 春の談  湧水

以上

(続)連載小説「幸福の木」 303話 魚道と堰

2022-03-26 14:57:16 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、いやいやウクライナは大変です、震災も戦災も庶民の人々で互いに助け合って生き延びてほしいものです。
とウチの先生が祈るだけとしおらしく言ってます。
さて今回は文字数はどうなるか?はい、原稿が届きましたので、早速、小説にまいります、はい、では、開幕、開幕!

303 魚道と堰

ハナ達の乗った観覧船は小規模ながらもクルーズ船のように快適な設備がゆきとどいていた。
海や湖とは違って河を行き来するので、船底は平らになっていて、浅瀬で多少底を擦っても大丈夫な弾力構造になっていた。
船の前の甲板にはカフェテラスのようにテーブルとイスがあり周りを観覧できた。
中央には、船の両側いっぱいまで四方透明な窓の大広間があり、応接間のようなソファーや椅子があった。
そして、奥の1/3ほどは、段差のある畳床の和風の署員造りとなっていて、床の間や茶席があった。
その奥はトイレ、バス、調理室に階上の操縦室があった。
一番奥は豪華列車のようなトイレバス付きの個室となっていた。
外国の貴賓の人達は個室にいたので、ハナ達は大きな広間を自由伸び伸びと使用できた。
観覧船は鵜飼船の真横を並ぶように川下りしていたので、皆は大きな透明窓を開いて見物した。
夜の長良河の水音や夜風を感じながら、鵜匠が鵜達を操る様子を目の前に見る事ができた。
おもしろうて やがてかなしき 鵜舟かな
これは、江戸時代に有名な芭蕉が詠んだ句である。
ハナとハナナは、青い制服の女性の傍に、ずっとくっ付いていた。
「あの、それでは、話の途中だった前の質問についてお答えいたしましょう。
どうして鮎が獲り尽きてしまわないかと言う事でしたね?」
と彼女がハナに言うと、ハナはこくんとうなづいた。
「それに、天然鮎ってどうして言うのって事もよね?」
隣りのハナナが付け足した。
「そうですね、鮎は元々天然でした。ところが人間達が堰やダムを造って河をせき止めたので、鮎や五月鱒やウナギ達が上流へ遡る事ができなくなってしまいました。
この長良川にも残念ながら近年に河口に堰が造られました。
そのために一時期に全く天然鮎が獲れなくなりました。
元々、鮎達は上流で卵を産んで、ふ化した幼魚達は冬近くに河を下り海の河口で冬の間に成長します。
そして初夏から河を遡って川底の藻を食べながらどんどん大きくなって晩秋に上流で産卵します。
鵜飼は夏から秋にかけての大きく成長したばかりの鮎を獲るのです」
「えっ、それじゃ、どうしてこの川に鮎がいるの?」
ハナナが待ち切れず質問した。
「はい、それで、人間が鮎の卵を取って人工ふ化して池で鮎を養殖するようになったのです。
その養殖した稚鮎を、初夏に大量にそれぞれの河に放流するのです。ダムや堰の上流に放流された鮎達は、その後は天然鮎のように川を遡上しながら成長するのです」
「なーんだ、そう言う事なのか、だったらほとんどが養殖鮎なんだ」
とハナナが納得すると、今度はハナが、
「えっ、さっきは天然鮎って言わなかった?確かそう聞こえたけど」
と問い詰めた。
「はい、今までの話は、以前の話です。これからが現在の話になります。
この長良河も数十年前に河口堰が造られるまでは、昔から日本の本州唯一のダムの無い川として有名でした。
その頃までは、もちろん天然鮎がたくさんいて鵜飼も盛んでした。
ところが先ほどの話のように、数十年前に多くの反対運動の中、河口に堰を造ってしまったのです。
しかし、その後に環境保護や観光資源としての重要性が改めて見直され、河口堰を大改造する事になりました。
これはとても画期的な事です。
今では大改造されて、堰の三か所に大きなゆるやかな魚道が設置されました。
そのため、鮎達が昔のように遡る事ができるようになったのです」
「えっ、ぎょっ、魚道って何ですか?」
「魚道と言うのは魚達が水の流れに逆らって上流に登る道の事です。
天然の川底は岩や石でデコボコしてますから、流れが速くても川底には局部的に流れが遅い箇所があります。魚達は、そこを利用して遡るのです。
しかし人工の堰は平らな急な切り立ったコンクリート製なので、流れが遅くなる場所がありません。
もし、堰の下側を石や岩で埋めてゆるやかなスロープにすれば魚達は遡上できるのです。
そこで世界的な大英断によって、堰の数箇所にゆるやかなスロープの流れる場所を造ったのです。
そして、表面をデコボコにしたのです。すると、流れの遅くなる場所ができて魚達が遡上できるのです。
デコボコ表面には穴の空いた箱を重ね並べる方式やいろいろ工夫して鮎達や鱒達やウナギ達も遡上できるようにしたのです」
それを珍しくまじめに聞いていた太郎が、遠くから、
「へえーっ、そうなんだ、けっこう苦労したんだ、やっぱりコンクリートって奴がまずかったんだな」
と突然大声を上げた。
「そうじゃ、コンクリートって、こちらへ来てからアチコチで見るが、ワシも気に入らん、嫌いじゃ。転んだら骨を折るし、擦り無垢し、止まりそうもない、どうしてこんな変な物を作ったんじゃ」
と長老が不満を言い出した。
「全くじゃ、土なら転んでも骨を折らないし、擦り無たりしないし、すぐに止まる」
と修験者も同感だと言うように合槌を打った。
「はい、その通りですね。経済優先時代の人間達は傲慢でした、今は環境面からも今までのコンクリートの使い過ぎを見直しているところです。小さな水路もコンクリートから石積みに変えたら、メダカやホタル達がもどって来たと言う報告が多くあります」
と青い制服の彼女が説明を加えた。
「ワンワンワンワン!」
前面の甲板にいたケンが、突然吠えだした。
「あっ、暗くて見にくいが、小さな舟が近づいて来るぞ」
タタロが叫んだ。
皆がその声に暗い川に目を向けると、船頭のような着衣の男が小舟で近づいてきて、甲板の上に重そうな袋を投げ入れた。
「たった今、獲れたばかりの鮎でーす!」
と言い残して、忙しそうに去った。
「ああ、あれは獲れた鮎を配っているのです、すぐにこの船の料理人が取りに来ます」
と青い制服の彼女が言うや否や、料理人らしき男性が箱を持って出て来た。
そして、その袋を開いて覗き込んだ。
もう皆は甲板に出て取り囲んでいた。
「わーっ!」
皆の歓声が夜空に飛んだ。
料理人が袋の底を持ち上げて中身を箱に落とすと、たくさんの鮎がぬるぬると滑り落ちた。
「おお、たくさんの鮎が、美味そうじゃ、美味そうじゃ!」
長老が叫ぶと、修験者も
「ほらっ、よく見ろ!鮎達に鵜のクチバシの跡が残っているぞ、まちがいなく鵜が獲った鮎じゃ」
と鮎を素手で触っていた。
すると青い制服の彼女が、
「さあ、皆さん、これからの予定は、この鮎を料理してもらって晩餐会となります。地元産の美味しいお酒やワインも用意しております、もちろん鮎以外の美味しい料理もありますよ、そう、飛騨牛なんかも」
と皆に笑顔を向けて言った。
「わーっ!嬉しい」
ハナ達は大歓声を上げた。
「飛騨牛って、牛の肉でしょ?美味しいけど高価だとか誰か言ってたわ」
ハナナ達がいっそう盛り上がった。
ところが、それを聞いていた太郎が、突然、怒鳴った。
「待てー、鮎って言ったら、焚火で串焼きだ、決まってるじゃないか、俺は晩餐会なんて嫌だ、この鮎をもらって河原で焚火で串焼きで食べる・・、さて、どこで船から降ろしてもらうかな?」
と岸の方を見回した。
ハナ達は一時、呆然としていたが、
「止めてよ!太郎兄ちゃん、そんな事できる訳ないでしょ?ここは五万年前と違うのよ、河原には焚き木も焚き付けも無いわ。それにどうやってこの船から降りるのよ、馬鹿!」
とハナは本気で怒った。
「いや、それなら、岸近くへ飛び降りるまでだ、多少濡れても焚火で乾く。俺はもう鵜飼見物なんか飽きたから、帰りに寄って俺を乗せてくれ。俺はここで鮎を食べながら待っているからな。あっ、そうだ!ついでに酒とワインももらっていこう、いいでしょ?案内のお嬢さん?あっ、そうだ!爺さん達よ、あんた達も一緒に降りないか?一緒に飲まないか?河原に寝ころんで気楽だぜ」
と言うと、長老達も、つい一緒に行くよ!と言い出しそうな顔になった。
やはり、もう見るだけは飽きてしまったようだった。
「駄目よ、駄目よ!」
慌てたハナ達は、長老達が言い出さないように必至で駄目押しした。
すると、成り行きを黙って見守っていた料理人が言った。
「ああ、それなら、この甲板で炭火で串焼きをしたらどうですか?いつも海外のお客さん達には喜ばれますけど・・?」
と言って皆の顔を見渡した。
「・?・・」
皆はどう言う事か判らず返事が無かった。
「ちょっ、ちょっと待ってください」
調理人が、甲板の上の板を押して小さな木フタを開けると、頑丈な取っ手が出てきた。
皆を離れさせ彼が、その取っ手を力まかせに引き上げると、甲板が四角く割れた。
それを滑らすように引くと、下から砂地の小さな土俵が現れた。
「おお、何じゃ、これは?」
長老達が思わずうなった。
現れたのは砂でできた小さな丸い凹んだ焚火跡だった。
調理人は、すぐに炭のたくさん入った丸い竈を持ってきて、凹部み置くと、火を付けた。
そして手早く鮎に塩を付け、竹串を射して、周りの砂地に立て始めた。
呆気にとられて見ていた太郎が、フと我に返って叫んだ。
「そっ、そんな事は俺達がやるよ、鮎焼きは俺達の方が上だ、子供の時からやっているんだ」
と料理人から串や鮎を取りあげた。
すると、背後から木花咲姫の声がした。
「あらあら、始まるのですか?鮎焼きが、それなら、あの海外の方達にも声をかけましょうね」

縄文的発想? 右脳的スローアナログの知恵?

2022-03-25 15:36:13 | 発明アイディアの部屋

前々回に「おしゃべり薬箱」を紹介した。
独り暮らしの高齢者や忘れっぽい人達のための、薬の飲み忘れ防止用だった。
以前ならすぐに友人に来てもらって、ネット(アマゾン)で買ったと思う。
が、今は、その友人サポーターのお兄ちゃんが車の都合で来れなくなったので、もう二、三年ネット購入も途絶えている。
それはそれで、最近世界的に弊害の多いgafaの過成長の防止のためにも良いと、さほど苦にしていない。
窮すれば通ず!との諺のように、人間、困る事態になるといろいろな知恵が出るものだ。
近頃のaiやロボットや便利商品にも勝とも劣らない縄文的?なアイデアが湧く。
そんな事を考えていたら、昔の大学での初期のコンピューター時代の事を懐かしく思い出した。
今では日本のスパコン「富岳」が、世界の四冠(藤井棋士の五冠には負けたが)で、計算速度は「毎秒44京2010兆回と言われ、膨大な計算も瞬時に終わる。
しかし、初期の真空管コンピューターは一台で大きな部屋を占めて、計算速度も記憶要領も足りなかった。
それで研究者達はいかに少ない計算でより速く処理するかを人間の頭脳で考えた。
それで画期的な計算式や方法も出てきたようだ。
今は計算速度も記憶容量も十分足りているだろうから、昔のような苦労も不要だろう。
しかし、今でもそんな昔のスローな縄文的?な方法で最新のaiに勝つ事ができないだろうか?
そんなドンキホーテ的な妄想の元に、前回の「おしゃべり薬箱」に代わる勝るとも劣らない方法を思いついた。
それは、言えば怒られそうな事だが、
前の晩に、翌日に飲む予定の薬を、ポケットに入れておく事だ。
翌日は朝食後に気づいた時に薬を飲み、空袋はポケットにもどしておく。
そうすれば、「あーっ、今朝は忙しかったけど、薬を飲んだっケ?」と思った時に、ポケットに手を入れればそれが明らかになると言う訳だ。
特に夕方や夜はたいてい暇になるので、薬の事は忘れる事が少ない。
いろいろ試行錯誤してみたが、結果はこの方法が一番手っ取り速くて、お金もかからない方法だと思った。
これって、縄文的発想ではないか?
で、これを縄文的発想の (その 1 (として、これから思いつくままに、書き出して行こうと思う。

縄文的発想 (その 2 ) 筋トレ1

スポーツジム 車で行き チャリをこぐ!

と言う笑ってしまう川柳があるようだが、その逆を行こう。

筋トレ1 膝、腿、腰、両腕全般 
畑で防草シートの上の枯れ草集めて、運搬すると言う筋トレ。
一日一回、大きなバケツ一杯分の枯れ草を畑(休耕田)で集め、家まで運んで庭や鉢を覆う。
これは、チャリをこぐ!より有益だ。

(つづく)

彼岸の飛騨 寒き春愁!

2022-03-23 14:33:56 | 俳句日記の部屋

寒暖の 激しき飛騨の 早春かな  湧水

邪念を 裏返し探す 春光かな  湧水

春憂や 北の地照らされ 光と陰  湧水

世の闇も 裏には希望の 春光かな  湧水

新しく 世も弁当も 早春飛騨  湧水

変わる事 恐れず逃げず 寒き春  湧水

更新を 愚痴らず楽しむ 早き春  湧水

良き悪きは 互いに表裏や 春寒き  湧水

小さなる 喜びさがす 寒き春  湧水

春の脳 埃(ほこり)はらいて 句作りかな  湧水

春散歩 脳を離れぬ ウクライナ  湧水

川柳 時事

わが不機嫌 原因さがせば 潜む理想  潜在意識にある自身の理想像が原因とか?

春うらら 頭に寒き ウクライナ  軍需産業や戦争屋が喜ぶ?

節電や カーボンゼロに向け 予備練習  小さなソーラーを発売したら?


(続)連載小説「幸福の木」 302話 かがり火と鵜飼船

2022-03-21 11:13:35 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、失敗失敗大失敗、いやいや、残念残念!
どう言う訳か、せっかく書き終えた先生の原稿の今週分が消去されてしまったようです。
先生が文字数を数えようと全文をカーソルでコピーした時に、気づかずにデリートを押してしまったようです。いやいや、やはり、慣れない余分な操作はすべきではなかったようで、この先は止めよう!との事でした。
はい、てな訳で、改めて気を取り直して書き始めたようです。

302 かがり火と鵜飼船

濃尾平野を流れる長良川、その上を小さな飛行機?が飛んでいた。
四機の鳩コプターには、木花咲姫と侍女、ハナとグー太、ハナナとタタロ、長老と修験者の順にそれぞれ二人づつ乗っていた。
最後は太郎とゴクウとケンがやや大きな鷹コプターに乗っていた。
ようやく五機のミニコプターは無事に高圧電線を飛び越えて、元の高さにもどった。
「やれやれじゃ、ワシは今か今かと雷のイナズマが飛んでくる心配ばかりしていた」
「そう、ワシもじゃ、ワシなんかは、髪の毛までビリビリと静電気を感じていたんじゃ」
と長老達がホッと安堵していると、声がした。
「はーい、皆さん、お疲れでした。これから先の岐阜の飛行場までには、もう高圧線はありませんから、ご安心してください、夕方までには到着したいと思います。到着後にはすぐに鵜飼を観覧する予定ですので、お楽しみにしていてください。
木花咲姫の声だった。
「えっ、鵜飼って、何?」
太郎が即、聞いた。
「鵜飼って言ったら、鵜が魚を取るのじゃろうが、以前にやっている漁師を見た事がある」
と長老が答えた。
「あっ、もう陽が暮れようとしているわ」
ハナナが言った。
出発が遅かったためか、西の空には、夕日がもう山々の影に入ろうとしていた。
「まあー、夕日が真っ赤できれいー!」
ハナが感嘆の声を上げた。
やがて、西の山脈の暗い影が、長々と延びて長良川の上を覆い始めた。
「あっ、河の中に灯りが見える!」
二番機体のハナの隣りのグー太が叫んだ。
「あっ、本当だ、ひとつじゃない、離れているが、いくつか見えるぞ」
三番機のタタロが言った。
「おお、あれはきっと河を下っているんじゃろう、あの赤い光はまるでタイマツみたいじゃ」
四番機の長老が言った。
やがて、皆がさらに上流へと飛び進むと、詳しい様子がはっきりと見えてきた。
辺りはさらに日が暮れて暗くなっていた。
「はーい、皆さん、ただ今眼下に見えてきたのは鵜飼船と周りの観覧船です。鵜飼船は船先にかがり火を燃やしていて、集まってきた鮎を鵜匠達が鵜を操って捕獲してます。周りの観覧船はお客さん達がその様子を見物しているのです」
「へえーっ、そうなの?」
皆は興味をそそられ、もっと見ようとついレバーを倒して高度を下げた。
「あっ、それ以上高度を下げて近づかないように、観覧船にひかかると大変な事故になりますので」
慌てて侍女が注意した。
眼下には明々と燃えるかがり火の鵜飼船が、数隻離れて河を下っていた。
そして、その両側を多くの観覧船が取り囲んでいた。
その観覧船の中には、いかにも豪華そうな立派な船もあった。
眼下の鵜飼船団の列を通り過ぎると、河の右側に街の灯りと暗い山が見えてきた。
暗い山の頂上には城らしき建物があった。
近づくと、それはライトアップされた岐阜城だった。
その手前の山の麓の灯りは岐阜の市街地だった。
岐阜城を右横に見ながら飛んでゆくと、その先に飛行場らしき滑走路の灯りが見えてきた。
「はーい、皆さん、まもなく岐阜の河畔の飛行場に着陸いたします。今回は皆さんは初めての着陸です。それにもう日も暮れて暗いので、自動操縦モードで着陸する事にします。なので、今すぐに、緊急ボタンを押してください。・・・はい、ありがとうございました、これで機体はaiによる自動操縦で安全に着陸いたしますので、居眠りなさっていても大丈夫です、はい、では、また後ほど」
滑走路に着陸すると、高級そうなバスが迎えに来た。
観覧船の乗り場まで皆を運ぶためだった。
「あっ、でも、鵜飼船って、もう河を下ってしまったんでしょ?また、もどって来るの?」
ハナナが運転手に質問した。
「はい、それは最初に出発した第一船団だと思います、お客さん方がこれから乗るのは最後の第三船団です」
「へえーっ、そんなにたくさんお客さんや船があるの?」
ハナナが驚いた。
「でも、そんなにたくさん河の中に鮎がいるの?」
今度はハナが疑問に思った。
「はい、以前は船団はひとつだけでしたが、豪華な観覧船を造りましたら、お客さんが急に増えてきたのです。
それで、どんどん工夫して様々な種類の観覧船を造ったために今のように何倍もの観光客を乗せるようになったのです。
鵜も鵜匠も鵜飼い船も増えました、もちろん鵜飼船は昔のままで、今も船大工の作る昔の観覧船もあります」
「へえーっ、そうなんだ、でも鮎は獲り尽してしまわないの?」
ハナはまた鮎が気になった。
「あっ、到着しました、どうぞ降りてください」
高級バスのドアが開いて、青い制服の清楚な女性が出迎えていた。
「あの、鮎は獲り尽くす事はないのですか?」
ハナが突然、あいさつをするその女性に質問した。
「えっ?・・・はい、大丈夫です。以前と違って今は天然鮎がもどってきましたから、この地域の鮎が減っても、下流や上流からどんどん集まってきます、なので獲り尽くしても大丈夫です、はい、どうぞ、こちらへ来てください」
と青い制服の若い清楚な女性はにっこり笑いながら案内した。
皆は、その建物の中で鵜飼の説明の映像を見せられると、一番豪華そうな観覧船に案内されて乗船した。
先ほどの青い制服の女性も乗船して、続けて付きっ切りで案内してくれた。
「この観覧船は日本の皇室や海外の貴賓の方達が乗られる特別な最上級の船です。
また鵜飼船団は三つありますが、それぞれに同様の最上級の高級船が一隻づつあります。
その他に、昔風の木造観覧船も、学童用の団体船も、家族や接待用の船も、また、透明壁で水中の様子が見られる船等いろいろな船もあります。
今回は、たまたま外国の貴賓の方が数人乗られて空いていましたので、神社や皇室関係で木花咲姫様一行に乗船していただく事になりました。私が案内約を務めますので、どうぞ、よろしくおねがいいたします」
と案内嬢は、改めて深々と頭を下げた。
「へえーっ、木花咲姫さんのコネってすごいもんじゃ!」
長老達は小声で耳打ちした。
太郎はと言えば、突っ立ったまま案内嬢に釘付けだった。
ハナはまだ納得がいかずモヤモヤしていた。
「あの、さっき天然鮎がもどってきて、鮎は獲り尽くす事はないと聞いたのですが、どう言う事ですか?鮎って元々天然ですが?」

(つづく)

ハイハイハイハーイ、今回は、この辺で次回にします、いやいや今日は彼岸の中日?さくらも咲き始めたようで、早く北の国にも春が来てほしいですね、ではまたのお運びをねがい、バーイ!でーす。