飛騨さるぼぼ湧水

飛騨の山奥から発信しています。少々目が悪い山猿かな?

おしゃべり薬箱! 薬の飲み忘れ防止

2021-10-28 10:25:23 | 発明アイディアの部屋

朝起きて寝ぼけの頭で朝食準備やトイレや朝ドラやニュース等いろいろ大変な1人暮らしである。
しかも二階部屋なので階段を上がったり降りたりと忙しい。
昼を過ぎて、あっ!とフと思い出す。
「今日、朝に血圧の薬を飲んだんだったっけ?」
慌ててポケットに手を入れると薬の空袋がある。
しかし、今朝入れたと言うはっきりした記憶がない。
「これって昨日の空袋のような気がする」
等々と言う事が起こる。

そこで、上記の、
おしゃべり薬箱! 薬の飲み忘れ防止!
と言う新製品のアイデアを思いついた。
これは、絶対に大ヒットする!と早速、構想を練った。
時計内臓の薬を入れる箱で、予め目覚まし時計のように時間を設定しておく。
その時間になると「薬を飲んでください」
と音声でしゃべる。
そして、薬を飲むまでは、十分おきぐらいにしゃべり続ける。
箱を開けて薬を飲むと、もうしゃべらなくなる。
また、朝昼晩と一日に何回も時間を私邸できるようにする。
多分、いつも過ごす居間やテレビの部屋に置かれる事になりそうだから、しゃべる内容も親しみやすくするために、
朝は「湧水さん、おはようございます、今日は10月30日、○曜日です。では薬を飲んでください」
等とあいさつ分を録音できるようにする。
またオプションで温度や湿度もしゃべるようにすると温度を感じにくい高齢者の熱中症予防等、より役に立つ。
価格は一万円以下で、数千円程度。
等々、考えていて、フと思いついた。
「待てよ、ひょっとしたら?そう、飲み忘れなんか前から起こっている事だ、需要があるはず、なので、もう売り出しているかも?」
と慌ててネットで調べる事にした。
するとやっぱり!幸か不幸か?そう言う商品は既に発売されていた。
「服薬アラーム」とか「服薬時計」とかいろいろな名で呼ばれている商品がいっぱいあった。
価格は数千円程度だった。
が、機能について詳しく調べようとしたが、ラクテンでもアマゾンでもやたらに宣伝文や初期メニュ頁が邪魔をして見たい場所に辿り着けない。
時間ばかりかかって目的が達せられないのでイライラしてストレスが溜ばかり、ヤーメタ!
と言う訳で、今回は似た商品が既に発売されていたので、もっと便利で安価で長持ちする今までにない「おしゃべり薬箱」を改めて考えようと思った。

(はい、以上  まずはご報告まででした)

「霜降」迎えど初霜はまだ! 真子様ご結婚!

2021-10-26 15:30:10 | 俳句日記の部屋

荒波も 乗り越え結ぶ 夫婦綱  湧水 夫婦岩みたい

寛大な 心で新婚に 初酒を  湧水

孫と嫁 ごとく冬支度 ヘルパーさん  湧水

衣食住 満ちて小春の 散歩爺  湧水

小春日の 日曜昼は ワルツ道  湧水

千張の 紅葉谷の テンとかな  湧水 北アルプスの柄沢

紅葉の カールの底も 色テント  湧水

重荷めく 枯れ草除去や 寒き雨  湧水

北風に 細きえんまの 辞世声  湧水

北風に 消えむえんまの 辞世唄  湧水

川柳

誰?と嫁に 言われよく見りゃ 隣り家  私って誰?あっ、林家きくおうでした!

下呂下呂!と 鳴きし上呂の かえる去り  飛騨川沿いに上呂村中呂村下呂町がある

地熱発電 一か所成れば 全温泉が続き!  火山列島は石炭石油原子力より地熱がある


(続) 連載小説「幸福の木」 283話 淋しき子猫?

2021-10-23 22:02:58 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイ、おまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいやずいぶん寒くなりました、二週間前の夏から一気に冬です。
テレビやラジオでは何かと騒がしい中国や北朝鮮の新兵器問題や飾り言葉ばかりの政局の秋列島ですが、飛騨の山々は冠雪して、白雪紅葉緑樹の三色の静かな秋列島ってところです。
コロナも収まって外食や観光に人々が繰り出しそうで、何よりでーす。
はいてな訳で、ウチの先生の原稿も届きましたので、早速、小説に参りたいと思います。
はい、では、開幕開幕!

283 淋しき子猫?

やはり女神様方の神殿じゃのう、どこを見ても美しい女性達ばかりじゃ」
長老がしみじみとつぶやいた。
今までこんなにも美しい大勢の女性達に会った事もない太郎やタタロ達は、目が点になっていた。
「それにしても不思議じゃのう、お婆さんの姿が見えないのう」
「ほんとじゃ、それに子供の姿も見かけないのう」
長老と修験者が小首をかしげて囁き合っていた。
すると、ハナ達が顔を見合わせて言った。
「あのさ、余分な事かも知れないけど、もしかして忘れちゃったの?ここは女神様の神殿よ、レムリアの女神様達のおうちなのよ、メーガミよ」
「あっ!・・・」
気づいた長老達は少しだけ恥じて黙ってしまった。
「いやいや、そんな事よりも、ワシ等は何と恥ずかしい姿じゃ、女神神殿じゃと言うのに」
と長老達は、白い絹のロープに皆が一列に繋がれている事を気恥かしく思っていた。
見渡すかぎり広々とした神殿の広場には、大勢の女神や女神官や侍女達の姿が散らばって見えた。
が、皆はそれぞれ忙しそうで、身近な花に目を向ける程度で、キョロキョロ周囲を見ている人などいなかった。
例えば池の近くの長椅子に腰を降ろしている人達も、目的を持って何かを話し合っている様子か、何かをじっと考えているようだった。
つまり、長老が心配しているように誰も好機の目で見る人などほとんどいなかった。
対照的に、女の子のハナやハナナにとって見る物すべてが新鮮だった。
遠くから見る女神達の姿も衣装も振り舞いも仕草も何もかもが優雅で上品で、すべてに魅了された。
一方、太郎や長老達男達は、広大な広場の様々な庭の景色に魅了された。
凝った造りの池や水の流れ、それに様々な庭石や風流な形の古い立木等々。
詳しく観察すれば、水に関しても、噴水や湧き水や滝や落水やせせらぎ等々、見渡せば様々な見た事もない凝った庭のような景色が広がっていた。
皆は、どこもかしこも時間をかけてゆっくり見たいと言う誘惑にかられた。
そのため、誰か1人が立ち止まる旅に、一行の列の全員が停止した。
ハナやハナナ達も、つい目を奪われて何度も列を停止させた。
なので、今となっては、もう皆を叱れる立場では無かった。
やがて、皆の眼前に、刈り揃えたばかりのような広々とした緑の芝生が広がった。
その芝生を見ると、ハナとハナナは何かほっとした。
二人はグー太の頭越しに顔を見合わせて、
「ああ、あたい、ちょっと歩き疲れたわ」
「そうね、わたしも、ちょっと休憩したいわね」
と本音を漏らした。
すると、木花咲姫の傍の侍女が、
「はい、それでは、皆さん、ここの芝生の上で休憩にしましょう」
それを聞くと、皆は疲れ切ったようにロープから手を離した。
そして、倒れ込むように芝生に尻を降ろした。
または寝ころぶように横たわって沈黙した。
しばらくすると、空を見上げて、吸い込まれるような美しいスカイブルーなのに気づいた。
「・・・」
美しい空の青に自分達の疲れも吸い込まれるような気がした。
「あれっ、何か声がするわ?」
「ワンワン」
ハナナが言い、ケンが小さく吠えた。
皆が声のする方に目を向けた。
そこは芝生の横の花株の陰だった。
「にやー、にやー、にやー、にやー!」
甘えるように泣きながら姿を見せたのはまだ小さい子猫だった。
「あっ、猫だ、子猫だ!」
太郎とタタロが飛び起きた。
「えっ、こんな所に猫がいるのかい?」
「しかも子猫だよ」
皆が花の陰にいる子猫を見た。
「にやー、にやー、にやー、にやー!」
子猫は誰かに甘えるように皆の方へ近づいてきた。
「きゃーっ、かわいい、子猫だわ、はいはい、どうしたの?」
「まあ、なんてかわいいの、さあ、おいで、こっちへおいで」
ハナナとハナがあやすと子猫はさらに甘える声を出して近づいてきた。
「さあ、もう大丈夫よ、もう安心よ」
ハナナが抱きかかえると、さらに甘えて泣いた。
「あの、お母さんはどうしたのかしら?近くにはいないのかしら?」
ハナが子猫のいた花株をながめたが、母親らしき姿は無かった。
「ワンワンワン」
ケンも、母親はいないと言うように吠えた。
太郎が立ち上がって皆に向って言った。
「あのさ、それはそうと、どうしてここに子猫がいるんだ?」
「・・・」
皆の沈黙がしばらく続いた。
「どうして?って、そんなの、いるからいるんじゃない?」
ハナナが大声で答えた。
すると、抱かれていた子猫が少し驚いた。
「はいはい、それじゃ、今度はこっちへおいで」
ハナが手を差し伸べると子猫はハナに抱かれた。
人間にはかなり慣れている様子だった。
「だからよ、どうして猫がここにいるんだ?と言う事だよ」
太郎が立ったまま、子猫を見続けながら、また言った。
「だーから、言ったでしょ?ここにいるからいるのよ」
ハナナもまた答えた。
「そう言うことじゃなくて、どうしてここに、つまり女神神殿の境内に獣の猫がいるのか?って言う事だ」
太郎が怒鳴ると、ハナナも負けてなかった。
「そんなの簡単よ、ここに犬のケンだって、猿のゴクウだっているじゃない?きっとケンの姿を見つけて懐かしい仲間がいるって寄ってきたのよ、それだけよ」
「馬鹿、ケンとゴクウは特別だ、今回だけの特別なケースだ」
太郎は泡を飛ばして真っ赤な顔になった。
その時、
ようやく考えがまとまったのか、長老達が意見を言い始めた。
「ああほんとじゃ、どうして獣の猫がこの天国の女神神殿の境内にいるか?じゃ、不思議な事じゃ、猫は神の使いとは聞いた事もないがのう、ふつうここへは来れないはずと思うが、ほらっ、どこにも獣の姿がないじゃろう?太郎ではないけれど、実に不思議な事じゃ」
と長老が言うと、
「そうじゃな、下半身が馬の神とか翼がある神等は聞いた事があるけど、猫はさっぱり聞いた事がないのう」
と修験者もうなづきながら、駄目押しした。
ハナナが抱かれている子猫に向って言った。
「ねえねえ、子猫ちゃん、男の人達が気に入らないんだって、あんたはどうやってここへ来れたの?教えてちょうだいな!って爺ちゃん達までうるさいんだけど・・」
とハナナが尋ねても子猫はニャーニャー泣くだけだった。
「あらっ、この子猫、後ろ脚に何か巻いているわ」
とハナナが気づいた。
「あらっ、よく見たら細い腕輪を巻いているわ。腕輪なら前足の方が目立つんじゃない?」
と言って、ハナナは子猫の細い輪を外した。
それは布製の帯のような物で、巻き込んでいたために細くなっていたのだった。
ハナナは、両手に挟んで、その皴を伸ばすように押さえながら広げた。
すると、紫と赤の花模様の綺麗な横長の布となった。
「まあ、なんておしゃれな花柄、とっても綺麗な腕輪だわ!」
横で見ていたハナが、思わず叫んだ。
ハナナは自慢するように皆にも見せた。
すると、遠くから皆の様子を見守っていた侍女が、急に顔色を変えた。
そして、急いでハナナに駆け寄った。
「この葉乍らの布はどうしたのですか?」
と慌てて尋ねた。
ハナナが答えると、侍女は子猫の顔をマジマジと見つめた。
そして、慌てて木花咲姫の元へ引き返した。
「木花咲姫様、大変です、あの子猫は木花咲姫様の地上のお邸で飼っていた猫です。その証拠に足に草木染の花柄の足輪を付けております」
木花咲姫は驚いた。
「えーっ、あの飼っていた子猫の事ですか?確か、少し前に五匹産まれたばかりの、あの子猫ですか?」
「はい、そうです、まちがいありません、あの時の子猫です」
「でも、あの子猫達は、確か、村人の猫の欲しい方に差し上げたはずですよ?」
「はい、そうですけど、この子猫は、あの時の子猫にまちがいありません。足に巻いていた、この花柄をご覧ください」
と侍女は皴を広げた花柄の布を見せた。
「あら、本当ですね、これは間違いなく私達が邸で染めて足に巻いた布ですね、すると・・・」
と、木花咲姫は考えるように天を見上げた。
黙って成行きを見守っていたハナや太郎達は堰を切ったようにしゃべり出した。
「えっ、この子猫って、地上のお邸にいた猫だって!それが、どうしてここにいるんだ?」
「決まってるよ、追いかけてきたんだ、あの木の枝やツルの階段を登って」
「まさか?こんな小さい子猫が、あんな高い階段を?有り得ない」
「誰か他の女神さんに連れられて来たんだ」
「いや、ここ空中神殿へ来る別の道か穴があるんだ、そこを通って来たんだ」
皆が好き勝手に意見や考えを出し合っていると、木花咲姫が侍女と共に静々と近づいた。
そして、ハナに抱かれている子猫の前に立って言った。
「皆さん、事情をお話しいたします。この猫は、確かにわたくしの邸で産まれた五匹の猫の一匹です。しばらく飼った後に五匹とも村人にあげたのです。
この子猫は、残念ながら、つい最近に亡くなったのでしょう。猫が死んでから行く天国は別の場所にありますが、この子猫は飼っていたわたくし達に会いたくて、そちらへ行かず、この神殿へ迷い込んできたようです。
しばらく飼ってあげて満足すれば、本来行くべき天国へ行くでしょう。それまで一緒に過ごさせる事にいたしました」
と言って、子猫に手を差し伸べると、子猫はあっと言う間に身を起こして乗り移った。
「まあまあ、子猫さん、よく来たね、本当によく来たね、もう大丈夫よ、これからはゆっくり気の済むまで、わたくし達と過ごしてもいいですよ」
と言うと、子猫は甘えるように泣いた。
隣の侍女が手を差し出すと、子猫は侍女の手に移り、その腕に抱かれた。
おそらく産まれ立ての頃に面倒見ていた侍女だろう。
侍女も嬉しそうな様子で、子猫も幸せそうにゴロゴロと喉を鳴らしていた。
その内に子猫も十分に抱かれて満足したのか、芝生の上へ降りたがった。
芝生の上に降ろされると、子猫はハナやハナナに近づき長老や太郎達にも近づいて一緒に遊ぼうとした。
「この猫は人なつっこいようじゃ、おそらく大勢にかわいがられていたんじゃろう、ずいぶん人に慣れているようじゃ」
と長老達が囁き合っていた。
しかし、子猫はすぐには猿のゴクウや犬のケンには近づかなかった。
が、特に嫌がっていると言う様子ではなかった。
「ワンワンワンワン」
ケンが吠えると子猫はビクッと驚き警戒した。
ケンが吠えた視線の先は青い空だけだった。
「えーっ、ケン、何だ?・・いや、何もないじゃないか、ケンよ、驚かすなよ!」
太郎がケンを叱った。
「いえ、隊長、何かが飛んでいますよ」
ゴクウが答えた。
しばらくすると、空から青色の蝶がヒラヒラと飛んできた。
そして、タタロが肩に巻いていた絹のロープの上に舞い降りた。
「えっ、蝶だ、しかも青い蝶だ、見た事もない青色の蝶だ」
太郎が驚きの歓声を上げた。
すると、不思議にも、青空から次々と青い蝶が舞い降りた。
そして、絹のロープの至る所に止まった。
「わーっ、綺麗!真っ青な蝶よ、こんなにたくさん」
ハナ達も大喜びだった。
数十羽以上の青い蝶が絹のロープや皆の頭や肩に止まり、皆が動く旅に舞い上がったり降りたりしていた。
「ワンワンワンワン!」
ケンはシッポを振って飛んでいる蝶を追い駆け、子猫も夢中で追い回して遊んでいた。
やがて皆の様子を楽しそうに見ていた木花咲姫と侍女が来て言った。
「あの、ちょっとお話させていただきます。この青い蝶はわたくし達が地上に送った蚕さんの兄弟です。青い色は地上では目立ち過ぎて特に人が青い羽を飾り物にしてしまう恐れがありますので、わたくし達もその心配をして、地上には青色でなく兄弟の白い色の蚕さんを送り出す事にしました。
ここへ飛んできた青い蝶達は、きっと白い絹のロープを見て、兄弟達の繭糸だと分かって近寄ってきたのでしょう。
この神殿では、この蝶さん達の青い繭も獲る事ができます。その糸は草木染めの青い糸よりも貴重な糸です」
しばらくすると、青い蝶達も、十分満足したのか全員がロープや頭や肩から飛び立った。
そして、緑の芝生の上を青い塊りの列となって舞い飛んで、花園の方へと飛び去った。
そこにはのどかな春の光と温かい風が吹いていた。

(つづく)

ハイハイハイハーイ、いやいや青い蝶とは綺麗でしょうね、天国だから青いバラも青い他の花もいっぱいあるのでしょうね。
そうそう、子猫も知ってる人に会えて良かったですね、それにしても女神神殿には様々な物があるのですね、さて、次には?はい、では、またのお運びを願いバイバイといたします。
バイバイバーイ!


十三夜 北国は冠雪!

2021-10-19 15:11:10 | 俳句日記の部屋

寒々と 月冴えわたる 飛騨の空  湧水

煌々と 冠雪照らし 十三夜  湧水

こおろぎの 声も消したる 寒き朝  湧水

声かける 猫さえもなき 秋の暮れ  湧水

やる気出ず ぼーっといつしか 秋の暮れ  湧水

川柳

体重計の 体年齢増える 誕生日  えーっ?体内年齢に歳なんか関係ないのに?

飲んだかな?と さがすゴミ箱の 破薬袋  意識せず習慣で飲むと忘れてしまう

それにしても 不思議な日本の コロナ激減 政医薬界はワクチンのせいと自賛だけど?

チコちゃんに ボーッとするな!と 秋の暮れ  近頃は句も沸かない!

ジイーッとして 億年経てば 石恐竜  ボーッからジーッとに変わろうかな?

(続) 連載小説「幸福の木」 282話 天からの虫の蚕達?

2021-10-16 10:23:52 | 小説の部屋

ハイハイハイハーイおまたせ、飛騨の小路 小湧水でーす、いやいや急に寒くなりました。いよいよ里も紅葉のシーズン到来です。
選挙も旅行解禁もです。それにしてもコロナって急に減りましたね、もしかして日本では弱い方に変異したみたいで?よく分かりません。
はい、何はともかく、やる気の全く無かった先生から原稿が届きましたので、早速、あっ、ウチの先生のやる気が出ないのも、ひょっとして未確認コロナ新株の後遺症かも?いえ、やる気がないのは、もういつもの事でした。
はい、では、早速、小説に参ります、はい、では開幕、開幕!

282 天からの虫の蚕達?

かなり前にハナとハナナのけたたましい雷が落ちた。
その後、一本のロープの両側に太郎や長老達が並んでいて、各々が片手でロープを握っていた。
明らかに旅の一行の並び方が変わった。
まず、木花咲姫が先頭に立って、後ろに1人の侍女がいた。
その後ろにハナとハナナがグー太をはさんで歩いた。
ここまでは以前と同じだった。
その後が大きく変わった。
ロープを挟んで二列になった。
まずタタロが体にロープを巻き、隣のゴクウの手に握らせて後ろへ回した。
その後には長老と修験者が並び、二人の間のロープを片手で握り、後ろに回した。
最後に太郎とケンが並び、太郎がロープを片手で握り、残りをケンの首にかけていた。
今までと同じ、一番後ろには見張り番のように1人の侍女がいた。
「いやいや何て不格好なサマじゃ、なんでロープなんじゃ?子供の遊びじゃあるまいし、これじゃ、まるで鎖につながれた罪人みたいじゃ」
長老と修験者の爺さん達が嘆くようにこぼした。
「だーから、縛るのをやめて、自分で握るようにしてあげたんじゃないの」
ハナナが厳しい口調で言った。
「・・・」
納得がいかないと言う沈黙が流れた。
「あのね、分かっていると思うけど、また列から外れて道草するといけないからよ」
ハナが静かな口調で答えたが、その声は明らかに怒りが込められていた。
不穏な雰囲気の中、チグハグな旅の一行の歩みが続いた。
「あーっ、思い出した!」
突然、長老が歓声を上げた。
「そうじゃ、そうじゃ、そう言えば、ずっと前に、女頭のような恐いお婆さんに案内してもらって旅をした時があったな」
すると、タタろが続けて言った。
「ああ、そうでした、あの時も、このロープを皆で掴んでいたんだった。これで列になって過去や未来へ飛んで見学旅行をしたんだった」
「いやいや、あの時は楽しかったのう、懐かしいのう、ほんとじゃ、まったく、このロープは便利なもんじゃ、いろいろな事に役立つのう。作ってくれた爺や婆さん達にお礼を言わなきゃな」
長老が心から感謝するかのように言った。
すると、今までの皆の話を静かに聞いていた木花咲姫が、白いロープに眼差しを向けて言い出した。
「そうですね、そのロープは絹の糸をより合わせて作ったものでしょうね、わたくしも、たった今、その事に気づいて驚きました。
よく考えて見れば、このロープには蚕さんの命と爺さんや婆さんの深い愛情と想いがたくさん籠っているように見受けられます。
なので握る手に柔らかくてもよく伸び縮みしても見かけ以上に丈夫なのです。
わたくしが想像しますに、おそらく爺さんか婆さんが森の中で野生の蚕の繭を見つけたのでしょう。それを集めて糸に解いて少しづつ撚り合わせて太くしていったのでしょう。
なので、この太さとこの長さのロープを作るには、繭も何百、いえ千個以上も必要ですので仕上げるのに何十年もかかった事でしょう。
もしかしたらお嫁さん達が何代もかかって受け継いで作り上げた家宝のようなものかも知れません」
「・・・」
この木花咲姫の話に、長老達はもちろん、ハナや太郎達も初めて聞く繭や絹糸の作り方の大変さと、絹のロープの貴重さを初めて知らされた。
そして、村で送り出してくれた優しい婆さんや爺さんの事を懐かしく思い出した。
すると、タタロが体に巻き付けていた余ったロープを前に伸ばして、ハナ達の手にも握らせた。
さらに、侍女や木花咲姫も触れられるようにした。
すると、侍女も木花咲姫も手に取って、興味深そうにしげしげと観察していた。
「実はわたくし達も、絹を大切に使っています。ここの神殿の一郭や地上の大陸の森で、ずっと前から蚕さん達に糸作りをしてもらっています。
それを紡いでわたくし達の着ている衣装を作っています。
ここは五次元の天国なので気候も寒くも熱くもなく年中春のような温かさです。地上のレムリア大陸も同じです。
なのでわたくし達の衣衣装はとても薄くて透けて見えるくらいです。
そのため衣装を作るのに、蚕さんの繭もほんの少しでいいのです。
しかし、あなた方の住んでいる土地は寒い冬があるので、わたくし達のように衣装を絹で作るのは大変な作業になり、おそらく不可能でしょうね」
と木花咲姫は侍女の顔を見て頬笑もうとした。
その時、絹のロープを一心に調べていた侍女が叫んだ。
「木花咲姫様、大変です、この絹はわたくし達の絹と同じ糸です、きっと同じ蚕さんが作ったものでしょう」
すると姫は驚いた。
「えっ、まさか!そんな事はないはずですが・・・」
と慌てて絹の糸を覗き込んだ。
「ああ、ほんとですね、同じ蚕さんの糸ですね、これはどうした事でしょう?誰かが蚕さんを盗んでいったのでしょうか?」
と困った表情になった。
すると侍女が、慌てて付け足した。
「木花咲姫様、分かりました。思い出しました、以前、と言っても、もう百年ほど前の事ですが、姫様の夢の中に親孝行な若者が毎晩現れて困っていた事がありました・・あの事を憶えていらっしゃいますか?」
と聞き返した。
それを聞いて姫は、
「ああ、そうでした、思い出しました、あの時に、確かわたくしが蚕さんをあげるように指示したのでした、もしかしたら、あの時の親孝行な若者とは?・・・」
と話が想わぬ方向へ進んだ。
それは、こんな話だった。
「寒い冬のある日、年老いた母親が病気で寝込んでしまった。
親孝行な息子が、寒いと言う母親を何とか暖かく寝られるようにしたいと山の神様に毎晩毎晩お祈りした。
すると山の神様は、それなら絹の布で鳥の羽毛を包んで布団にすれば良い!と、繭の在処を夢で若者に教えてくれた。
若者は教えられた通り、繭を一個づつ探しながら、その繭に導かれるようにして山奥に入って行った。
そして、一本の大きな木に真っ白な繭が果実のように成って集まっているのを見つけた。
若者は大喜びで、その繭をすべて持ち帰って、せっせと糸を紡いで袋を作り、その中に鳥の羽毛を入れて母親用の布団を作った。
そのお蔭で母親は暖かく寝られるようになって、病気も回復した。
それからは、若者も嫁さんを迎え、夫婦となり、毎年二人はその山奥の森へ行き、繭を集めるようになった。
初め繭が果実のようにたくさん成っていたのは、それまでの何年分かの繭が残っていたためで、毎年となると十数個の繭しか集められなかった」
と言う話だった。
この時の若夫婦が、後に生まれた太郎とハナの祖父母だった。
その後その若夫婦が亡くなった。祖父母がその夫婦に代わり、孫の太郎とハナが旅立つ時に、旅のお供として絹のロープを持たせてくれたのだった。
こうした長い話の後に、木花咲姫は、
「そうでした、百年ほど前にわたくし達が、あなた方の大陸まで行って蚕さん達を放ったのでした。
その蚕さん達が自分達の好きな木の葉の森で育っていたのです。
そして、毎年少しづつですが繭を作っていたようです。その繭から何十年もかかって、婆さんと爺さん達がこの絹のロープを作ったのでしょうね」
と姫は祖父母さん達の苦労をいたわるように説明した。
その時、ハナナが突然質問した。
「あの、思ったんですけど、それはそうと、蚕って繭を出て蛾として飛び立つ時には繭を食い破るのでしょ?」
「ああ、それはそうじゃ、もちろんじゃ、でないと雄雌が交尾して卵を産めないからな」
長老が当然と言う顔で答えた。
「でもさ、だとしたら、あたい大変だと思うわ。もしよ、繭が食い破られるとしたら、糸がズタズタに切られちゃうでしょ?」
ハナナの話にハナも慌てた。
「確かにそうね、そうなると、糸を作るのが大変になるわ」
皆も、切られた短い糸を結び合わせる作業を想像して困り顔になった。
すると太郎が大声で、
「そんなの感嘆だ、繭を破られる前に糸を取り出せばいいんだ、それだけの事だ」
と簡単そうに答えた。
駄目よ!そんな事をしたら中の蚕さんが死んじゃうでしょ?」
ハナナが怒った。
太郎も少しムカッとしたが、黙っていた。
長老が仲裁するように言った。
「うーん、しかし、まあ、それは仕方ないな、蚕より糸の方が大切で、それが目的じゃからな」
すると今度はハナが怒った。
「駄目!あのさ、蚕さんが死んでしまったら、翌年に繭ができないでしょ?よく考えてよ」
そう言われ、長老達は顔を見合わせた。
「おお、そうじゃ、そうじゃった・・・うーん、困ったな、それじゃ、中間の案として半分だけ、そうするか?」
「・・・」
皆はまた黙ってしまった。
するとクスクス笑っている声がした。
誰だ、こんな時に笑っている奴は?と皆は内心怒りながら、その声の主を見た。
すると、それは木花咲姫と侍女だった。
「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい、笑ったりして、つい以前の会議の事を思い出してしまったのです。昔、全く同じような会議が、ここの女神神殿の中で行われたのです。女神様達とあの学者さん達が同じようにケンケンガクガクの大激論をしたのです。
それを思い出して笑ってしまったのです、お赦しください」
と言いながらも、まだクスクス笑っていた。
皆が内心イライラしていると、侍女がきっぱりと言った。
「はい、その問題は幸いな事にみごとに解決したのです。しかもそれはそれは素晴らしい方法でです」
と侍女は木花咲姫を見て頬笑み合った。
「それで、どう解決したのですか?」
即、ハナナが聞いた。
「はい、当初は学者さん達が、蚕さんが繭を作り始める時に、繭の出口になる扉のような物を作ったらどうかと案を出しました。
その扉を絹糸で作って、頭の近くに置いておけば、繭を出る時に、その扉を開けてあげればいいのじゃないか等と面白い案でした。
ところが、研究室のある女神様が、蚕さんに向って繭を出る時に糸を切ると私達が困るのよ!言いながら愛情をかけて育てていると、その蚕さんが、繭を破る時に、糸を切らずに押しのけて繭を出るようになったのです。
繭には穴が空いていましたが、糸は切られていなかったのです」
と侍女は頬を赤くしながら詳細に説明した。
「わーっ、そんな事が!パチパチパチ!」
感動したハナとハナナが思わず拍手をした。
「へえーっ、それじゃ、穴は開けられても糸は切られていないと言う事か?それは蚕さん達もずいぶん賢いものじゃのう、いや驚いた」
と長老達も舌を巻いていた。
「はい、そうです、女神様方の愛情の方が学者さん達の知恵に勝ったのです」
と侍女は自分の功績のように得意満面の顔になった。
しかし、木花咲姫はもういつもの真顔にもどっていた。
「はい、今のところはそれで良いですけど、この先、地上の人間達の人口が増えると、やはり絹糸は足りなくなります。
その時のために、わたくし達は現在は綿花と言う植物も研究開発しています。もう既に準備もできております、必要な時代が来たら、また地上に送り出します」
と付け加えた。
「えっ、綿花って?それはどんな草ですか?獣の皮よりも草花の筋よりも便利なのですか?」
「はい、そうです、軽くて温かくて丈夫です、地上の寒い土地でもこれで着物を作っれば、素晴らしいものになりますよ、しかし蚕さん達が作ってくれる絹には敵いませんけど」
と木花咲姫はにっこり頬笑んだ。

(つづく)

ハイハイハイハーイ、いやいや、蚕って殻を破る時には糸を切らないって本当ですか?ああ、知らなかった!知らなかった!とウチの先生もヒエーッ!と驚いてます。
蚕って掌に乗せると、見かけよらず心地良いのですね、アッシも幼い頃にそんな経験がありました。
はい、てな訳で、またのお運びを願い、バイバイとさせていただきます、はい、ではでは!