外国語をマスターするにあたって、どのあたりのレベルを目指すかによって、勉強方法や超えなければならないハードルの数や高さは変わってくるというのが前提です。その上で、自分とは意見が異なる点がいくつかあるが、概ねこの本に書いていることに賛成である。文法は外国語の構造やメカニズムを理解するのに大きな武器となる。赤ちゃんが親の言葉をききながら自然に母国語を覚えていく過程、つまり日本人が自然に日本語を覚えていく場合は特に文法の知識がなくても問題・障害はない。しかし、この過程を経ないで外国語を習得するには、文法をマスターするのは遠回りのようでいて、実は確実に近道なのである。文法を知らなくても、片言の外国語をしゃべれるようになるが、あるレベルで上達が頭打ちとなってしまう。かつて、自分が英会話ネタを頻繁に書いていた時期に、文法の学習を頭ごなしに否定してくる若い人が何人かいて、ああ、誰かに変なことを刷り込まれてしまったのかなと、ちょっと悲しい思いをしたことがある。文法をしっかり覚えるか、無視するかは個人の自由だけど、高いレベルまで上達したいなら文法は知っておいて損はない知識なんだけどな。。と歯痒い思いをしたものだ。若いうちにしっかり勉強しておけば後で役に立つ優れた日本の受験英語であるが、実は大きな欠陥もある。10年以上英語を学校で一生懸命勉強しても、ぜんぜんしゃべれるようにならない、聞き取れないという、日本人に英語コンプレックスを植え付けている根本的な問題も持っている。確かに受験英語で高得点をとれるだけの文法知識があれば、高度な論文を英語で書くことにそれほど苦労しないかもしれない。しかし、日常生活に必要不可欠な小さな子どものうちに覚えて、おとなになって、死ぬまで使う当たり前でしかも自然な表現の知識がすっぽり抜けているのだ。たとえば「彼女は長い髪が似合うのにな」という日本語を仮定法のwouldを使った自然な英語にすっとできる人はすごいです。高学歴で英語の成績が良かった人ほど、相当な難関ではないでしょうか。かつて英会話学校に通っていた時期がありましたが、これが出来る日本人は通訳の卵の人たちを除いて皆無でした。でもネイティブにしてみれば8歳レベルくらいです。この手の英語がすっぽり抜け落ちているのが日本人が英語が喋れない原因となっているとわし個人は考えています。ちなみに答えはShe would look beautiful with long hair.答えを見ればなんてことはない英語ですが、とっさにでてくるかとなるとどうしょうか?beautifulの部分はgoodでもprettyでもなんでもよいです。なぜ仮定法のwouldが必要かというと、「長い髪が似合うのにな」→「実際の彼女の髪は長くない」→「もし長ければいいのにな」longがいいのだけど、実際はlongではない。だから仮定法なのです。これが瞬時に変換できるようになるには、ちょっと訓練が必要な気がします。こういう英語を学校でもいっぱい教えてくれるようになれば、日本人の英語コンプレックスを払拭できるのにな。このネタを種明かしすると、今は夜逃げしてなくなってしまった渋谷の英会話学校Howdyにて叩きこまれたものです。