Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その229

2011年05月16日 | 制作裏話


Part.3 造形の問題(2)

 今日は「モスラ幼虫」の造形にあたって見つかった原型作業の前での問題についての続きです。


▲最終チェック前の原型。口が開いている方が「太郎」です。

■双子の造形の違いは妥協したくないのです!!
 前回書きましたように劇中に登場する造形が統一されていなさすぎる幼虫です。しかも双子です。
「太郎」「花子」共にどれを基本にして作っていいのかわかりません。ましてや全6スーツとも各方向から見たアングルの写真がありませんし、映像で何度も確認しても6スーツとも全方向のシーンはありません。さすがにこれは困ってしまいました。
 日頃新商品を作る時は他社さんの同一名商品は見ないように心がけています。そのメーカーさんのディフォルメテイストや個性に影響を受けたくないためや、間違った造形的情報の可能性もあるためにそれを取り入れないためです。が、この時だけはさすがに困ってしまい、他社さんではどうしていただろうと思い、自分のコレクションを引っ張り出して比べてみました。結果は2010年5月24日の記事にある通りです。
 レトロタイプとしての商品が多いためか、ほとんどが明らかにオリジナルディフォルメの造形、もしくは他作品の幼虫との混合の形をしています。『モスラ対ゴジラ』の幼虫に近いものでも「太郎」「花子」そして3種類のスーツの混合としての形で作られているのです。ましてや私が持っているものの中で「太郎」「花子」ときちんと造形の違いを出しているものは1つもありませんでした。2体セットのものでも単に口が開いているかいないか、もしくは尻尾がまっすぐか曲がっているかだけの違いです。

 これまで発売してきた弊社のソフビ商品ではできる限りディフォルメとはいえ、そのキャラクターの特徴や個性を入れたものにしたいと考え取り入れてきました。当然「モスラ幼虫」についてもそうありたい訳です。
 弊社が知る限り、「モスラ幼虫」で双子の造形の差を作り分けている塗装済み完成品のソフビ商品はこれまでなかった訳ですが、やはり商品化するのであればそれに挑戦しなければGメモリーズセレクションらしくない「妥協」となります。
 ディフォルメ商品なのですから、造形が明確にされていない所はオリジナルテイストのディフォルメアレンジにして、無理に双子の差も付ける必要はないかもしれませんし、お求めいただくお客様のニーズももしかしたらそこまでないのかもしれません。
 が、「(双子の差をはっきりさせた造形の幼虫を)どこもやらないならウチがやろう!」という気持ちはもちろんありますし、何よりもどうせ作るならいつものように羽沢組らしく可能な限り徹底的にベストを尽くすそうと考えを改めました。他社さんは他社さん、ウチはウチ……と気持ちを切り替えて、もう一度写真や映像を確認してたくさんのスケッチと「太郎」と「花子」の差をはっきりさせるための注意書きを書き溜め始めました。
 これほど何度も見ただろうかというぐらい映像をコマ送りでゴジラ作品を見たのは初めてだったかもしれません。まさか、ゴジラではなく幼虫でこのような事をするとは夢にも思っていませんでした。

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