Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

初代ゴジラ見聞録・6

2014年11月30日 | 羽沢組的怪獣見聞録




6 ゴジラの色

 初代ゴジラのスーツの色は何色なのか? ファンの皆さんはもちろんの事、特にフィギュアメーカーにとっては実に悩ます問題です。
 映像ではモノクロですし、カラー写真はありません。ポスターも人工着色しているものですから。現在はモノクロ写真や映像をカラーに再現できる技術もありますが、高価なので簡単にはできません。(『ウルトラQ』のようにカラー化してほしい気持ちもありますが、このままモノクロのままであってほしい気もあるので、個人的には何とも言えません)
 となれば、当時の関係者の証言に頼るしかないわけです。

 以前書きましたようにスーツの表面には制作過程でゴムが重ね塗りされていたとの事。何度かの「焼き」が入って硬化させて完成されたそうです。そのゴムの色はほとんど白に近いものだったらしく、でき上がってから着色されました。
 その塗料も書籍での証言には食い違いがあります。しっかり塗り固めるために油性ものと証言しているものもあれば、証明の反射を押さえるために艶が出ないように水性だったというのもあります。色も「黒」というのもあれば「青味がかかっていた」や「真っ黒ではなく黒に白を混ぜた灰色」もあります。書籍での発言が取材当時の証言通りに書かれたとしても、同じ方で時間の経過で証言が違う事もあるのです。古い記憶ですし、失礼ながら皆様ご高齢ですので記憶が明確ではない事も推測できます。
 映像や写真で明らかに黒であるもの(髪の毛や夜のシーンでの影など)と比較して見ると、ゴジラの全身は真っ黒ではない事は想像できます。モノクロ映画である事は前提としてわかっていたのですから、フィルムになった時にどう写るかが大事で、全身の色へのこだわりはほとんどなく彩色されたものであるだろうとは容易に想像できます。
 モノクロ映画ですから、陰影の表現は充分に考慮はされていたと思います。いくらライティングや演出で調整しても真っ黒であればそれが難しいと思われるので、シンプルな黒ではないと思われます。

 弊社は日頃「色」を扱う事の多い仕事です。ゴジラ関連のお仕事をさせていただく事も増えた近年では、たくさんのゴジラの写真を目にします。編集やデザイン業務でモノクロページに掲載するために、カラー写真をモノクロ(グレースケール)にする作業が多々あり、逆の見方で(あくまで感覚ですが)モノクロ写真の元の色がどの程度の彩度、濃さだったのかは想像はできます。
 そこから各写真だけを見て想像するに、全身はやや濃いめのグレー、足下や尻尾の下部分はおそらく何か、埃や汚れなどで何か別の色がついてしまっているように感じます。背びれの先端などは白系だったのが汚れなどで色がついてしまっていたりしたように見えますし、ツメなども真っ白ではないと推測しています。

 ビジネスとして成立するだろう事は予測されるので、もしかしたらいつかカラー化された『ゴジラ』(1954デジタルリマスター・カラーバージョン)が作られるかもしれません。その時までどんな色なのか想像できる時間があるのだ、それはそれで楽しいじゃないかと思う私です。