Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その228

2011年05月14日 | 制作裏話


Part.2 造形の問題(1)

 今日は「モスラ幼虫」の造形にあたって見つかった原型作業の前での問題について。


▲最終チェック前の原型。口が開いている方が「太郎」です。

■統一されていない双子の造形
「モスラ幼虫」を商品化するにあたって立ちふさがった大きな問題の1つは、幼虫そのものの造形でした。

 同じように見えて「モスラ幼虫」は登場する作品ごとに全て造形が異なります(流用フィルムを使用しているものを除く)。
 弊社で発売しようとするのは『モスラ対ゴジラ』に登場した双子の幼虫です。ですからその劇中に登場した幼虫の造形にすべく作業を開始した訳です。
 原型制作前には、いつものように書籍、ムック本等の写真を集め、映像でも確認をします。
 調べれば調べるほど幼虫の造形が大変である事がわかってきました。
 双子の幼虫は、便宜上「太郎」と「花子」と呼ばせていただきます。ゴジラとの戦いで尻尾に噛み付いた方を「太郎」、岩影から先にゴジラに向けて糸を吹いた方を「花子」とします。もちろん劇中の設定ではこのような名前はありませんし、雌雄の差も明確ではありません。ここだけでの呼び名ですので誤解のないようにお願い致します。今後の「裏話」でもそのように呼称させていただきますので、あらかじめご了承下さい。

1. 同じ、もしくは似ているようで双子は完全に別の造形で作られている事。顔からボディのしわや傷まで同じではなく、特に頭の下(あごの裏や足の付け根等)には決定的な違いがあります。全く同じではないのです。
2. 劇中では双子それぞれ、ギニョールタイプ、自走式タイプ、操演タイプの3種類があると思われ、計6体劇中スーツが存在します。その6体がまた造形に差があるため、「太郎」「花子」それぞれでも統一された形をしていないのです。
3. さらにこの6体のスーツにおいて、全て左右非対称なのです。ボディはまだわかりますが、正面から見た時の顔の左右があまりにも違いがありすぎます。
4. 人気作品なので、資料が他の昭和初期作品に比べて多いかと思われますが、意外にも幼虫そのものの資料が少ない事。書籍、ムック本等で確認しても双子の造形の差について記載されているものが皆無で、当然3種類のタイプの差もまた明記されているものがないのです。中には『モスラ対ゴジラ』の記事でありながら他作品の幼虫の写真を使用しているものすらあります。

 大きく3つに分けると以上の問題がありました。
 1についてはおそらくそうだろう事は予想していたのですが、234については予想していなかった事でした。
 そこでまず可能な限り、幼虫について把握すべく、モスラが登場する全ての作品の映像を見直し、資料を集める事から始めたのです。原型を作るための粘土を目の前にして、数日間この作業にあたりました。
 その結果が2010年5月17~24日に掲載した「見聞録」です。興味のある方は見直してみて下さい。

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