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よりみち散歩。

日々の暮らしのなかで心に浮かぶよしなしごとを、こじんまりとつぶやいています。お役立ち情報はありません。

サザエさんの哲学ー先のことはわからない

2014年09月26日 | 読書
長谷川町子さんの四コマ漫画に、こんな話があった。


成人式間近の娘とその母親が、振袖を買いに呉服屋に足を運ぶが
値札を見て「高いわ~」と尻込みをする。

すると店員が
「振袖を堪能され、ミセスになった後は袖を切ってご着用に、
更にお年を召したら、染め直しをなされば一生ものになります」
と言葉巧みに売り込む。

そのセールストークに母娘は「そーねー」と同意し、高額振袖を
買う運びとなるが…

四コマ目は雲の上で、天使と神様の会話。

天使「あの娘は一週間後に交通事故で天国にまいります」
神様「時々神様業がイヤになる…」



長谷川町子さんの漫画には、非常に考え込ませる叡智というか、
深淵を感じてぞくりとするものがあるが、これもそのひとつだと思う。

命はいつかは尽きるが、それがいつかは誰にもわからない。

若者は先が長く、老いたものは残り少ないように思い込んでいるが
それすら絶対ではない。

日々を少しでも愛おしんで、大事な人を思いやって暮らすよう
少しずつでも努めていきたい、そう反芻してみる。

本当に、先のことはわからないのだ。

一寸先は闇かもしれないが、もしかすると光かもしれない。
願わくば、光あふれる日々であってほしい。

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もしヒットラーが画家を諦めなければ

2014年08月26日 | 読書
宮沢賢治は「どんぐりとやまねこ」で
一番馬鹿でみっともなくて立派でない者が、一番偉いと断じたように
記憶しています。

偉い人って、一体なんでしょうね。

塩野七海さんは
日本人は転落をした人間が復活すると奇妙なほど讃え褒めそやすが、
日常で多くの誘惑をかいくぐり、普通の生活をコツコツ営み、
多くに迷惑をかけず、人畜無害な小市民のほうが、どれだけすばらしいか!

と当たり前を踏み外さない人たちを高く評価しています。

確かに、一理ある。


たまに思ったりするのです。

あのヒットラーが画家志望の青年時代、彼の才能を献身的な愛で支える女性がいたら
どうだったろうか、と。

ユダヤ人虐殺もなかったし、第二次世界大戦も起きなかったかもしれない。

貧しいアパートで夢を食べて、幸せな生活を送っていたのかもしれない。


そう考えると、誰かの思いやりや親切で、歴史は随分かわるものだなと感じる。

見捨てられたと思っていたこどもが、温かい笑顔で少し心を開くように。
誰かのわずかな優しさが、そのひとと地球民族をまもっていたのかもしれない。


人生は、幾層の分岐点をもっている。不思議。




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遠藤淑子「なごみクラブ」

2014年08月05日 | 読書
5巻を読みました。
はー…この世界観には、やっぱり癒されます。
こんな世界があったら訪れてみたいな

断捨離人の私は、かなりの本をブックオフに持っていったのですが、
遠藤さんの本だけは捨てられません。

人生の節目節目で、迷ったとき、心が疲れた時に
絶対必要になる本だと思っているからです。事実そうなんです。

ときどき読み返したくなる漫画家さんは、今のところ彼女だけです。

絵はうまくない(というかその逆)、でもそのためにますます
話の良さが伝わってくる気がします。

中途半端に絵が巧いと、何故か読者は反発するんですよね…。
不思議なものです


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村上春樹「ノルウェイの森」

2014年02月17日 | 読書
先日、図書館に行ったら真新しい文庫版『ノルウェイの森』が
新着コーナーに鎮座しているのを発見、すぐに借りました。

数十年前のベストセラーですが、今まで読んだことがなかったのです。
村上春樹さんの本は『1Q84』と短編を少し読んだ程度で
まったく詳しくありません。

さて…『1Q84』でも感じたことですが、登場人物の思考回路や行動に
まったく共感できず、しかしリアル芸術家の系譜を辿ったりすると
もっと奇行に走る場合もあるので(ダリとか)、そういう視点で読み進めました。

うん、少しシュールレアリスムの絵を鑑賞したような、少し清々しい
置き去り感があります。

登場人物はどこにも属しておらず、分断された世界と価値観の中で
頑ななまでにマイペース。そして、主人公にかかわる多くの人間が
自死という形でこの世から姿を引き取っていきます。


ふと思い出したのが『めぞん一刻』。
あれも登場人物は皆自己中心的で、身勝手で、マイペースで、
主人公は彼らの強力な個性に翻弄される話でしたが、
殆どのキャラクターに共感ができたんですね。

『めぞん一刻』が互いに強い関心を持った、共存性の強い話だとすれば、
『ノルウェイの森』は諦観を底に秘めた、乖離性の強い物語ともいえます。

それは1969年の時代を生き抜いた、村上氏独自の諦念、無気力感、
飽和、散乱した思考の結晶の一部なのでしょうか。




大雪のため、久々に自宅に引きこもり、10冊以上の本を読みました。
雪は遠くから眺める分には美しいけれど、接近は遠慮したい対象のひとつかも…。



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浅田次郎「世の中それほど不公平じゃない」

2014年02月16日 | 読書
さて、浅田さんの最初で最後の人生相談に興味深い一節がありました。


写真をクリックすると大きくなります。


うんうん、と首肯することしきり。

つながっている錯覚に陥るよりも、
自分自身の人生をしっかり踏みしめて歩いていく
それが一番大事なんだなとしみじみ思います。

たしかに、自分の人生を中途半端にしていながら、
他人の生き方を容喙する権利などないですものね。

他人の生き方は、指標にしたり反面教師にしたり、
とにかく「自分の生き方の参考」程度にとどめるものでしょうね…。

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