よりみち散歩。

日々の暮らしのなかで心に浮かぶよしなしごとを、こじんまりとつぶやいています。お役立ち情報はありません。

村上春樹「ノルウェイの森」

2014年02月17日 | 読書
先日、図書館に行ったら真新しい文庫版『ノルウェイの森』が
新着コーナーに鎮座しているのを発見、すぐに借りました。

数十年前のベストセラーですが、今まで読んだことがなかったのです。
村上春樹さんの本は『1Q84』と短編を少し読んだ程度で
まったく詳しくありません。

さて…『1Q84』でも感じたことですが、登場人物の思考回路や行動に
まったく共感できず、しかしリアル芸術家の系譜を辿ったりすると
もっと奇行に走る場合もあるので(ダリとか)、そういう視点で読み進めました。

うん、少しシュールレアリスムの絵を鑑賞したような、少し清々しい
置き去り感があります。

登場人物はどこにも属しておらず、分断された世界と価値観の中で
頑ななまでにマイペース。そして、主人公にかかわる多くの人間が
自死という形でこの世から姿を引き取っていきます。


ふと思い出したのが『めぞん一刻』。
あれも登場人物は皆自己中心的で、身勝手で、マイペースで、
主人公は彼らの強力な個性に翻弄される話でしたが、
殆どのキャラクターに共感ができたんですね。

『めぞん一刻』が互いに強い関心を持った、共存性の強い話だとすれば、
『ノルウェイの森』は諦観を底に秘めた、乖離性の強い物語ともいえます。

それは1969年の時代を生き抜いた、村上氏独自の諦念、無気力感、
飽和、散乱した思考の結晶の一部なのでしょうか。




大雪のため、久々に自宅に引きこもり、10冊以上の本を読みました。
雪は遠くから眺める分には美しいけれど、接近は遠慮したい対象のひとつかも…。



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浅田次郎「世の中それほど不公平じゃない」

2014年02月16日 | 読書
さて、浅田さんの最初で最後の人生相談に興味深い一節がありました。


写真をクリックすると大きくなります。


うんうん、と首肯することしきり。

つながっている錯覚に陥るよりも、
自分自身の人生をしっかり踏みしめて歩いていく
それが一番大事なんだなとしみじみ思います。

たしかに、自分の人生を中途半端にしていながら、
他人の生き方を容喙する権利などないですものね。

他人の生き方は、指標にしたり反面教師にしたり、
とにかく「自分の生き方の参考」程度にとどめるものでしょうね…。

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