よりみち散歩。

日々の暮らしのなかで心に浮かぶよしなしごとを、こじんまりとつぶやいています。お役立ち情報はありません。

山本芳翡「浦島図」

2020年11月13日 | 美術

11月11日の夜、三菱一号館美術館で開催している「ルドン・ロートレック展」に行ってまいりました。

毎月第二水曜日の17時以降は、マジックアワーチケットが販売されます。

通常チケット料金2,000円のところ、1,200円になりお得なのです。

 

ですが、今回印象に残ったのはルドンでもなく、ロートレックでもなく…。

 

山本芳翠《浦島図》

 

なんというか・・・会場内で最もインパクトがある絵でした。

日本画でもなく、西洋画でもない。

最初に「インド絵画?」と思いました。

 

浦島の顔はあどけなさを残しているのに、亀を踏みしめる足は妙に年季が入ってがっしりしています。

周囲の美女や子どもたち、老人が妙に明るい表情なのに、浦島は憂い顔で乙姫の方に視線を流しています。

空は荒天。今後の運勢を暗示しているかのようです。

 

私は山本芳翠を知らなかったのですが、

パリで修行した時に描きためた絵(300~400枚)を

洋艦「畝傍(うねび)」に乗せた時、その艦が消息を絶ち

絵がすべて失われてしまったらしいのです。

 

どんな絵を描いていたのか、観たかったですね。残念。

 

あと藤島武二もローマ滞在中に盗難で殆どの絵を紛失したそうです。

現存する《浴室の女》⇓が見られて良かった!

 

それにしても。

ふたりとも、どんだけ盗難の神に愛されているのだ。

 

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ルノワールとパリに恋した12人の画家たち

2019年11月08日 | 美術
横浜美術館で開催されているオランジュリー美術館コレクションを観てきました!

実は数週間の木曜日にみなとみらい駅まで出向き「休館日です」と言われてしまったのです。
その時の脱力感といったら!月曜が休館だと思い込んでいたのですね。迂闊でした。
結構家から遠いので、時間と電車賃がもったいなかった…でもリベンジを果たしました。

混雑が嫌いなので、なるべく平日を狙っていくのですが、やはり混んでいました。

私の好きなルソー。



日曜画家で、デッサンが卓越しているわけではないけど、色彩感覚が豊かで、個性的ですよね。
この時代に、こういう絵を残したのはルソーだけ。

こどもの顔の描き方は、絵の初心者が描くような筆致なのですが、その朴訥さが好き。
よく見ると、股にスカートを挟んでいます。こどもはそういうことしますよね。


ルノワールのピアノを弾く少女は2点展示されていました。



こちらは非常に有名な絵です。



赤い服の女性の、肩から肘が少し長く見えますが…

ルノワールの女性たちはふくよかで、幸せそうです。
豊穣な感じがする。





この美青年は誰かと言いますと




この絵の作者、アメデオ・モディリアーニ。
彼の絵よりも、本人のほうが麗しい。イケメンですね。

はじめてモディリアーニの写真を見た時、映画俳優かと思いました。

この展覧会では、12人の画家が写真付きで紹介されていますので、とくとご覧あれ。



覚書メモになりました

コート―ルド美術館展 魅惑の印象派

2019年10月25日 | 美術
少し前になりますが、上野で開催されているコートールド美術館展に行ってまいりました。




エドゥアール・マネ《フォリー・ベルジェールのバー》
この絵が子どもの頃から好きで、本物が見られることを楽しみにしていました。

女性の右側にある花が刺さったガラスの透明感、これにとても惹かれて
昔はよく真似して絵を描いたものです。しかし、こんなに澄み切った感じはなかなか出せない。

これは、女性の後ろに鏡が置かれている絵なのです。
つまり、右側の女性は鏡に投影された姿なのですが――位置的におかしいですよね。
子どもの頃は、すっかり別の女性が後ろで紳士と話し込んでいるのだと思いました。

位置もそうですが、正面を向いている女性の表情は、どことなく物憂げで茫洋としており、
誰かと対峙しているような雰囲気が感じられないのです。

鏡があるように見せかけた虚像が後ろにある、もしくは
正面向きの女性が幻影であるような、不思議な印象を与えます。


セザンヌ、ルノワール、ドガ、ゴーガン、ロートレックといった
素晴らしい名画もたくさん来日!しっかり堪能しました。



上野によく出没しています

ハプスブルグ展 600年にわたる帝国の歴史

2019年10月24日 | 美術
上野の国立西洋美術館で開催しているハプスブルグ展を観にいきました。

ベラスケス「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」の隣に
フアン・パウティスタ・マルティネス・デル・マーソの「緑のドレスの王女 マルガリータ・テレサ」があり
本当に同じ顔で描かれているので、多分王女はこういう容貌だったんだろうなと推察しました。

ハプスブルグ家は近親婚が多かったので、身体が弱かったんですよね。
そして顎が少し前に出ている特徴があります。

(スペインの美術館に行ったとき、ガイドさんが「アントニオ猪木なんですよー」と
語っていたのを思い出します)


好きな主題は「ユピテルとメルクリウスを歓待するフィレモンとパウキス」。
これは絵というより、ストーリーがとても好きなのです。

簡単に言えば、清貧な老夫婦のもてなしが全能の神ユピテルを感動させ、
彼らの願いを叶えようとする。そのとき夫婦が口にしたのは

「死ぬときはふたり一緒に」。

愛する人との別離は辛いもの…ギリシア神話では大抵神様が人間に介入すると
ロクなことにならないのですが、この夫婦はつつましく幸せな人生をまっとうします。

ここで描かれている主題は、貧しいにもかかわらず、ガチョウをつぶして
客人(旅人に身をやつしたユピテルとメルクリウス)を歓待しようとし
ユピテルが止めるシーンシーンです。

フィレモンとパウキスの善良さと老い、ユピテルの存在感が際立つ作品でした。


混雑を避けて平日にいったにもかかわらず、けっこう入館者が多かったですね。
女性7、男性3の割合かな。

マリーアントワネットやエリザベートなど、女性が好きな華やかな人物像もありますし。

国立西洋美術館は、常設展も充実しているので、お腹いっぱいになるほど
美術品と戯れてきました。



常設展では、やはりルーベンスの「眠る二人の子ども」が好きです。
本当に癒されます。

小学生の団体をときどき見かけました。
その時価値がわからなくても、頭や感性が若い時に、いろいろなモノに触れることは
大事ですね。

そう思いつつも、子どもたちを見かけたのが男女が絡み合う彫刻付近だったので、
ちょっとドギマギしたのでした。


24日なので巣鴨の縁日にも行きました

ゴッホ展(上野)を観に行きました

2019年10月18日 | 美術
ゴッホ展を観に、上野まで出かけました。

実は、10月14日(祝)に、会場の前を通ったんですけど、
人、人、人…とすごい列ができていまして、人混みが何より苦手な私は
そのまま回れ右をしてしまったんですね。



今日は平日の金曜だから、多少はマシかなと思いきや、
…やっぱり館内は混んでいました。

ゴッホ人気をなめちゃいけない。
印象派展覧会に出向いても、ゴッホのところだけ、いつも人が滞留していますもの。


「タンギー爺さん」の肖像画が個人的に好きです。



タンギー爺さんと言えば、この絵が有名ですが、展覧会に出展されていたのは別の絵です。
ゴッホの絵を評価してくれた画材商のタンギーに、ゴッホも信頼を寄せていたようで、
この絵以上に、慈愛に満ちた穏やかな表情を浮かべています。


<ジャガイモを食べる人たち>
この頃よりも、人物の表情描写が繊細になっていますね。

いかにもゴッホ!という糸杉の絵もいいのですが、
農家のひとたちの質素で我慢強い性質を表した人物画も好きです。

あと、暗すぎて何を描いたか判じにくい、鳥の巣の絵も面白かったな。
ゴッホは鳥の巣をたくさん収集していたようです。


解説文を読んでいくと、ゴッホの気性のせいか、いろいろな人と交流をもっても
すぐに袂を分かってしまうように思えました。
娼婦シーンと1年半同棲して、それがもとで周囲と決裂したような解説文もあり
「え?なんで?何があったの?」とゴッホの生き方が気になってしまいました。

弟テオに送った手紙(翻訳文)を読むと、弟にはかなり自分の心を開陳していた
ように思えます。

ゴッホの人生を語った本があったら読みたいな、と思いました。




混んでいたけど行った甲斐がありました!