以前日本に帰ったとき買ってもってきていて1年くらいそのままになっていた
水村美苗さんの「本格小説」を読み終わりました。
久しぶりに読み応えのある本でした。
上巻では著者の実体験が著者の実名で語られているので
この物語に現実性が与えられます。
また、小さいころから日本の文学に慣れ親しんできたという
著者の日本語の確かさ(~アメリカの大学で日本文学を教えている)に信頼性をもたせられます(と書いている自分の日本語変ですが)
上巻は一年以上前にちょっと読んでストーリーにはいっていけず、読みかけたままでした。
その間何冊も別な本を読んでいました。
購読しているブログで海外在住の弁護士さんが読んでいらした、さだまさしの「眉山」を先日一気読みして、
日本の小説を読むのに勢いがついたところで、再びこの文庫本を手にしてみました。
再開して下巻にはいってからは久しぶりに読み始めたらとまらなくなった本でした。
アマゾンでも寝ずに一気に読み、もう一度読み返したという感想がありました。
前知識なしに読み始めましたが、途中「嵐が丘」にとても似てきたと思い読んでいましたが、やはりモデルになっていたんですね。
記憶の新しいうちにメモといいますか、対「嵐が丘」出演者一覧(≧∀≦)
Lockwood = 加藤祐介(聞き手)
Ellen "Nelly" Dean = 土屋冨美子(話し手+お手伝いさん)
Heathcliff = 東太郎
Cathering Earnshaw = 宇多川よう子
Earhnshaw家 = 三枝/宇多川家
Linton家 = 重光家
Edgar Linton = 重光雅之
Mr Earnshaw=宇多川家のお祖母さま
Heath=ススキの野原(!?)
アマゾンの感想で「最後に三女の冬絵が冨美子と太郎の関係を語るのはわかりきったことなので冗長」みたいなことを書いている女性がいました。 そうなんですか。。。すごいと思いました。 自分にとってはわかりきったことではなかったのです。 アンナカレーニナもわたしはたぶん初心(うぶ)な読み方をしてしまうのでしょう。
Wikipedia: 嵐が丘
125夜『嵐が丘』エミリー・ブロンテ|松岡正剛の千夜千冊
松岡氏が読まれたのは新潮文庫版のようです。
アマゾンには『(新潮版は)あまりにもひどい翻訳に、頭を掻きむしった。読むのが苦痛である』という、
読者を1万人は減らせるくらいの感想がありましたので新潮社版はパスしたいですね。
嵐が丘 (新潮文庫) | |
エミリー・ブロンテ | |
新潮社 |
*英語はKindle版は無料です。
青空文庫は準備中とありました。
本格小説〈上〉 (新潮文庫) | |
水村 美苗 | |
新潮社 |
ちょうど本格小説を読んでいるときに、水村さんの作品がまた賞をもらったというニュースがはいってきました。
『RT: 第39回大仏次郎賞(朝日新聞社)水村美苗『母の遺産 新聞小説』(中央公論新社)賞+賞金200万円贈呈式1月31日、帝国ホテル http://on-msn.com/UNX8Bb @advertisementj1』
それ以外の彼女の本も殆どは賞をもらっていて、これから読むのが楽しみです。
新潮社「波」インタビュー~水村美苗: 『嵐が丘』の奇跡をもう一度
自分も大好きだったのでジェーンエアを好きな人には共感。
こちらでも放送されているUpstairs Downstairsにもふれてあるのも時代を共有している感じです。
『本格小説』(水村美苗)における「語り」の構造 嵐が丘との相違点や差異についてもふれてあります。
とりとめなく書いておりまして嵐が丘との比較が中心になってしまってすみません。
上下巻をつうじて、海外での生活のことや、日本にも存在する階級のようなもの、を意識しながら読めました。
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[追記] Amazonにあった東太郎のモデルとなった大根田氏の本の感想です。
私は水村美苗さんの「本格小説」を読んで、この作品にたどり着いた。
基本的に「小説」はあくまで「フィクション」だ。
「私」小説であろうとも、小説はあくまで「フィクション」。
事実を基にしても、作家の「つくった世界」での出来事に過ぎないのだ。
一般の人に、その線引きができないから、ややこしいことになる。
「本格小説」のタローちゃんのモデルとなった大根田氏。
モデルとして自身を使われたばかりに、
タローちゃんが「事実」と周囲に思われたのがこの本のきっかけだとか。
特に「出自」については、相当な誤解を受けたらしい。
それだけに、「生粋の日本人」としての彼の半生記が赤裸々に綴られる。
中卒ながら「なにくそ」で勉強しまくった若い頃、
また、オリンパスに出世の道を閉ざされ、
さらに歩合まで減らされていったアメリカ時代。
そこからビジネスパートナーを得て、
アメリカン・ドリームを体現していく様子は、やはり感動的だ。
そこには誇張も謙遜もなく、どうやってビジネスを成功させたか、
また、失敗した時の苦労まで、記録として載っているのもいい。
途中、聞き書き担当者による「億万長者の教え」などが入るが、
私はこれは余計だったように感じる。
読後、水村美苗氏が、この大根田氏をモデルに書きたかった理由が分かる。
それほど、大根田氏は魅力的な人だったのだ。
両者にわだかまりがなければいいのだが、と思ってしまった。
中卒の組立工、NYの億万長者になる。 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
文庫本もありました
中卒の組立工、NYの億万長者になる。 (角川文庫) | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |