(私にできるだろうか・・・) との疑問を抱きつつ頑張ってきた訪問介護だが、
今日辞表を提出してきた。
見習いをスタートしたのが8月16日だったから、40日しかもたなかったわけか。
我ながら情けなや・・・・・
仕事自体は嫌いじゃない。 なら何が嫌だったのか? 検証(おおげさ)してみよう。
① サービス利用者さんのお宅から次のお宅への移動。
5~10km弱の移動に5分しか時間が割り当てられていなかったりする。 不可能なのにっ!
ラッシュアワーや子供の登校・下校時間帯はさらに不可能なのに。
細い丘の坂道の奥に利用者さんのお宅があったりすると、対向車が来たら待避したりバックしたりせねばならず、
5分ぽっちなどそれだけでほぼ消えてしまう。 しかも移動時間は無給、無償。 マイレージのガソリン代がもらえるのみ。
グーグル・ストリート・ヴューからの画像になりますが、今日走らねばならなかった丘の坂道です。
この道 で対向車に出くわし、
この道 では訪問後のUターンに四苦八苦。
坂になった狭いスペースでハンドブレーキを緩めながら必死にエンジンをふかしすぎたせいか
車内にゴムの焼けたような臭いが漂ってきて、それで離職を決意した。
今の季節ですでに苦労しているのなら、凍結した冬季にここを運転してUターンまでするなんて絶対ムリ!
② 短すぎる介護時間
朝の介護の場合。 シャワー・身体拭き・クリーム塗り・着衣・歯磨き(入れ歯洗浄)・朝食準備と給仕・
ベッド作り・簡易トイレの掃除・バスルーム片付けは45分。
シャワーでなくストリップ・ウォッシュ(全身の清拭)の場合は身体拭き以下は同様で、たったの30分。
ストリップ・ウォッシュって、これがまたけっこう時間がかかるものなのだ。
座った利用者さんの身体を、まず薄めの石鹼水・・・石鹼湯で拭き、次にすすぎの意味でただのお湯で絞ったミニタオルで拭く。
正直シャワーの方がずっと速いしラク。 なのにあてがわれた時間は短いって・・・
私は仕事は丁寧だが、時間がかかるタイプ。 お年寄りを急かすのも嫌いだ。 急かしは事故のもとだし。
同僚は皆すごいと思う。 あの短時間でよくできるなぁ! と心から感心する。
③ 腰につらいダブル・アップ
ダブル・アップとは、二人一組でする介護。 ホイスト(吊り上げ機)が必要な、歩くことはもちろん立つこともできない
利用者さんの介護は常にダブル・アップである。
頑丈なスリング(吊り上げ布)を利用者さんの身体の下に敷き、機械で吊り上げ、ベッドの上で介護(清拭・おむつ交換など)をする。
簡易トイレに降ろして用を足してもらうこともあるが。
このベッド上での介護が、背の低い私には辛い。 背が低い=腕も短いから、背中を屈めて腕を伸ばさないと
利用者さんの介護ができない。 利用者さんの体格がいい場合はなおさらだ。
そのため腰痛が戻ってきてしまった・・・
しかもダブル・アップにはパートナーとなる同僚がいるため、自分がダブル・アップに遅れると
自分のその後の介護スケジュールだけでなく同僚のスケジュールも遅らせてしまうので気が気でない。
正直、吊り上げ機が必要な利用者さんがいるとは思っていなかった。 吊り上げ機が必要になるほど
身体が利かなくなった高齢者は、養護施設で暮らさざるを得ないと思っていたから。
④ 一シフトの有償となる労働時間が短い
早番の場合、介護が必要なのは、朝の起床時間に始まってお昼の食事時間までが主。
つまり早番で午前7時から仕事を始めても、早ければ正午過ぎ、遅くても午後1時半くらいにシフトは終わる。
遅番の場合、午後4時からシフトが始まり、夕食の介護から寝支度介護へと続いて午後9時か9時半頃にシフト終了。
たとえば朝番の場合、車での移動時間は無給無償なので、そうすると午前7時から午後1時半までの
6時間半働いたとしても、移動時間を差し引いた有償労働時間は6時間にもならない。
遅番の場合は必然的に、有償労働時間はさらに短くなる。
また介護と介護の間に埋められない空き時間ができてしまうこともあるし、スケジュールに入っていた介護がキャンセルされることもある。
(予約されていた時間から48時間以前ならキャンセル料は発生しないが、48時間以内の場合にのみ
100%のキャンセル料が入って訪問介護者に支払われる。 でもそんなラッキーは稀。)
それに比べて病院勤務なら、休憩の20分は差し引かれるものの、午前7時から午後2時50分までの
7時間50分が早番で、7時間半が有償の労働時間。
どうせ早起きして7時から働くのなら、私はみっちり働いてみっちり稼ぎたい。
訪問介護には雨の日も風の日も雪の日も移動が不可欠だが、病院勤務なら一度建物内に入ってしまえば
シフトが終わるまで同じ屋根の下でぬくぬくと過ごせる。
私の初めての見習い shadowing のスケジュールが手元に残っていたので、ご参考までに。
後からわかったのだが、このシフトは訪問先がすべて近距離にあるラッキーなシフトだった。
仕事のため午前7時から午後1時半までの6時間半拘束されたのに、有償労働時間は5時間15分・・・
やっぱり、 「やってらんないぃ~っ!」
* * * * * * * * * *
早朝(午前6時20分)訪問介護に出発して午後2時頃帰宅したら、月曜日なのでもちろんオットーは仕事に行き、家にはおらず。
キッチンに入ったら静かで寂しかった。
もう 「ハト、ただいま~! 元気にしてた?」 と声を掛ける相手がいなくなっちゃったから ・・・・・
生き物がいる生活って、やっぱりいい。 どうして人間て、生き物がいると自然と話しかけちゃうんだろう。
そういえば訪問介護先のお宅でも、猫を話し相手に暮らしている一人暮らしの高齢女性が複数おられる。
子鳩を失い(自ら安楽死させたんだけど)仕事まで失った(自発的に辞めたんだけど)自分を慰め元気づけるため、
帰宅途中に寄ったスーパーでこんなものを買った。
濃厚そうなチョコレート・ケーキと 『おつとめ品』 になっていた Swordfish・・・ 剣魚・・・ メカジキ。
剣魚は無難に煮つけにしたけれど、あっさりしてなかなかイケました ケーキは直径13cm、高さ5cmと小ぶり。
大変おいしゅう ございました。
サービス利用者さんの中にはとてもいい人もいて、仕事を辞めたら会えなくなるのが残念。
仕事を辞めてもボランティア訪問したいと思うくらい。
でもしないけど。 そこまでしたら変な人になっちゃうし、下心があると思われるかもしれないから。
『オレオレ詐欺』 みたいに高齢者を騙そうとするヤカラが多いご時勢だものね。
ということで、また高齢者精神科病院での非常勤ヘルスケア・アシスタント一本に戻ります。
駆け出しの私の場合、離職の通知は一週間前でいいそうだから、最後の訪問介護は来週の月曜日の予定。
でもどうせ辞めるんだしもう必要ないとされれば、それより早く終わるかも。
訪問介護が続かなかったのは残念だけど、一度試してみたいと思っていたから試せて満足。
早番の訪問介護の大変さ・有償労働時間の短さがわかったから、これからは病院でもここしばらくやめていた早番を
再開しようと思う。 訪問介護の早番に比べたら、病院での早番は本当に恵まれている。
と気づけただけでも、訪問介護を試した価値はあったというものだ。
それにしても訪問介護者ってすごい。 ものすごくハードな仕事なのに、皆よく頑張っている。
病院のスタッフの倍は働いているように思う。
彼ら訪問介護者のおかげで、ちょっとだけ助けてもらえば自宅で暮らし続けられるお年寄りが、自宅での生活を継続できている。
有り難いことである。
勤務中はせいぜいボトル飲料を飲むだけで、何かを食べる時間なんてほとんどないというのに。
早番でも遅番でも、皆シリアル・バーをかじるくらいでシフトを終えるようだった。
私も食事抜きで働いたので、40日間で約3kg減量。 これは嬉しいボーナスだ。
人間て一食くらい抜いても結構大丈夫なんだな。 訪問介護のおかげでちょっと少食になれた気がする。
このまま少食を続けてさらに減量する可能性は、しかし、・・・極めて低い。
ほんと、ストレスで脳溢血や心臓発作でも起こしたら、それこそ元も子もないですよね。
病院の仕事は訪問介護に比べたら、精神的にも身体的にもずっとラク。 焦らず自分のペースで仕事ができるのは、本当にありがたいでず。
早番を入れれば働きたいだけのシフトは入ると思うので、マイペースでやっていければ・・・と願っています。
辞表を提出されたとのこと、でも色々試してわかることも多いし、比較できただけでもよかったですよね。
ほんと訪問介護のお仕事、大変そうだし、やられている方たちには頭が下がります。
いま自分にできることを精一杯やる、それでいいんだと思います。
私自身にも言い聞かせています。
変に無理して体でも壊したら、元も子もないですから。
それにしても、あんな狭い道路、ほんと対向車が来たら終わりですよね。
みんなどうやって運転するのだろう。。。素朴な疑問。
あと、私も以前出張レッスンをしていたのですが、車でも電車でも、時間に追われて限られた時間内に移動するって本当にストレスですよね。しかも5分。。。無謀です。
これからはまた早番も入れて、自分のペースで働けるといいですね。