昨夏、ユニークな開会式が話題になったロンドン・オリンピック。その目玉企画のひとつは、何といっても女王陛下ご自身が出演されたショート・フィルムでしたね。
バッキンガム宮殿に迎えに来たジェームズ・ボンドと共にヘリに乗り込んだ女王陛下。オリンピック・スタジアムの上空で、二人は何と空中にダイブ!でもパラシュートで無事に着地し、開会式に到着・・・という筋書きでした。
女王陛下のスタントマンをつとめたのはギャリー・コネリー。そしてジェームズ・ボンドのスタントマンをつとめたのは、マーク・サットン氏(下中央)でした。
スタントの練習のため、ウィングスーツに身を包んだ昨年5月のお二人。
ところがボンド役のスタントをつとめたマーク・サットン氏が、昨日(8月14日)ウィングスーツでの飛行中に、事故で死亡したとのニュースが入りました。
場所はフランスとの国境に近い、スイス南西部。ウィングスーツ・ダイビングのようなスリル満点のスポーツの映画を作る会社の招きで、サットン氏はほかの約20人とともに、ダイビングに参加していました。
14日午前11時頃、ヘリコプターから友人と共に、3300mの上空で空中にダイブしたサットン氏。畑地に着地する予定でしたが、何らかの手違いで岩場に、推定時速200kmのスピードで激突。即死でした。
遺体の損傷が激しかったため、身元の確認はDNAテストを使わざるを得なかったそうです。
サットン氏、4日前の土曜日には、「ここで飛ぶのは初めてだが、心の底から楽しんでいる」と Facebook に投稿していました。
ウィングスーツでの飛行(落下)では、1m下るごとに3m前に進むので、35度の角度で下降することになるそうです。ウィングスーツ・ダイバーは身体を使って飛行速度や方向や浮遊状態をコントロールし、地面が近づいたらパラシュートを開きます。上空にあった温かい空気の流れがサットン氏のダイブに影響したのか。サットン氏が地表の地形を見誤ったのか。事故の原因は、永久にわからないかもしれません。
オリンピック開会式の指揮をとったダニー・ボイル監督のコメントの抜粋です。
「あの素晴らしいマーク・サットン氏の、悲しすぎるニュースです。世界のトップクラスのスカイダイバーでありスタントマンである彼の死は、非常に大きな損失です。
彼はギャリー・コネリーとのすばらしいチームワークによって、スタジアムの、そして世界中の観客に息を呑ませ、忘れがたい思い出を刻みつけてくれました。彼と仕事ができたことを誇りに思うと同時に、友として彼と知り合えたことを心から嬉しく思います。
彼のご家族、友人そして同僚の皆様に、心から哀悼の意を表します。」
“女王陛下のスタントマン” ギャリー・コネリー氏のコメント。
「頭が良く明確で、その上面白い、素晴らしい友を亡くしてしまった。」
こんなに素敵なパートナーもいたサットン氏。42歳の、早すぎる死でした。
少なくとも本人は、心から愛することをしていて不慮の死を遂げた。それがせめてもの救いですね。
サットン氏のご冥福をお祈りするとともに、ご家族や友人の方々に、心からお悔やみを申し上げます・・・。