花夢

うたうつぶやく

069:卒業のうた

2008年02月29日 | 題詠2007感想
11月25日

七度目の卒業を迎えてもまだ桜の花の奴隷であります
橘 こよみ

ぐらぐらと螺旋に下るばねづたい卒業のない春をふらつく
やすまる



「卒業」というイメージが固定されている言葉は、かえって難しい気がします。
作品の内容が似たようなものになってしまいがちですね。

そのなかでも突出して好きなのが橘こよみさんの作品。
作者自身が教師という体験をもとに詠まれたうたでしょうか。
しかし、そういうふうに現実的に捉えるよりも、「桜の花の奴隷」として囚われている心に注目したい作品です。
「奴隷」というドキッとする単語を用いられるのが、こよみさんの手腕。

やすまるさんの着眼点は「卒業のない」現在に。
「ぐらぐらと螺旋に下る」という途方のなさが印象的。
区切りなく存在し続けることはなんてことだろう。それが大人になるってことらしいけれど。


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