花夢

うたうつぶやく

2008年題詠 011~015

2011年02月24日 | 題詠2008感想


腕高く掲げたままで錆びている除雪機をつい父さんと呼ぶ
011:除(水須ゆき子)

負けないで夢は必ず叶うから(一部の地域を除く) ※かっこいちぶのちいきをのぞく
011:除(市川周)

(ゆるゆると)蛇口ひねれば(思い出す)いつも(優しい)さびしい(あなた)
013:優(こはく)

まっすぐに飛ぶものを優先させて流星群のなか すれちがう
013:優(やすたけまり)

祈りあう(何を?)(何かを)祈りあうたとえば朝が優しいように
013:優(瑞紀)

やさしさをさしだす胸の、でもいつか涸れる泉を思う十月
014:泉(ひぐらしひなつ)

久方のひかりのどけき春の日に温泉を掘りあててもひとり
014:泉(市川周)

アジアでは花に生まれた ものいわぬものにうまれてくりかえす罪
015:アジア(吹原あやめ)



2008年の題詠を読むにあたって、
その膨大な量を前に、できるだけざくざくと読んでいる。

ゆっくり、じっくり味わえば、うんうんと頷けるものもあるだろうし、
そこにはそれぞれの喜怒哀楽のある世界が広がっていることも知っている。

今の私は、キャッチーな魅力をもったものに足を止めがち。
ブラックホールのような吸引力。得体の知れなさ。
引きつけて離さないもの。

私には、ときどき、三十一字が狭い檻のように見える。
それなのに、そんな枠のなかでものすごく自由にはばたいているひとがいて、そんなふうに、どうして自由にいられるんだろうと思う。
うらやましくて仕方がない。