はるのほっぺ

備忘録です。仕事柄、政治の話題が中心です。

似て非なるアジア外交論

2006年08月18日 | 政治

 二人の政治家のアジア外交に関する報道がありました。
一人目は「天の時、地の利、人の和が欠けているので、今回は自重する」という迷言で総裁選出馬を辞退した山崎拓。
もう一人は「出馬については確信を持っていただきたい」と出馬する麻生太郎外相です。
 まずは山拓のアジア外交に関する報道がありました。朝日新聞<「アジア外交、超派閥で」 山崎拓・前自民党副総裁>から引用してみます。
<引用始め>
 自民党の山崎拓前副総裁は17日の山崎派の会合で、党総裁選に立候補しない考えを改めて表明したうえで「アジア外交の問題を超派閥で研究していきたい」と述べた。総裁選で安倍官房長官の優位が確定的になっている情勢を踏まえ、「安倍政権」を前提に、アジア外交の立て直しを考える派閥横断の議員グループを設け、党内論議の幅を広げる狙いがありそうだ。
 同派幹部によると、議員グループには、アジア外交の立て直しを総裁選の対抗軸に据えようとした山崎氏らの発言の足場を来年の参院選に向けてつくる狙いがあり、「総裁選に絡む多数派工作ではない」としている。
 山崎氏はまた、山形県鶴岡市にある加藤紘一元幹事長の実家などが全焼した事件について、「アジア外交に関して暴力で言論を封ずる風潮の顕在化と見る向きもあり、重大な問題と受け止めている」と強調した。
<引用終わり>

 この勉強会には、山崎拓や加藤紘一に加え、谷垣派の幹部、さらに津島派の幹部らが参加する見通しだそうです。関係者のコメントでは「小泉総理大臣の外交路線を基本的に継承するとしている安倍氏が次の総理大臣に就任すれば、アジア外交の立て直しは難しい」として、対立軸を明確にするねらいもあるのでしょう。
こうした議員たちが語るアジアは中国、韓国であることが明白です。政局に使いたいときだけの「アジア外交」という表現でしかありません。

 一方の麻生太郎のアジア外交はどうなっているのでしょうか。
同じく朝日新聞の<「外交の転換必要」 麻生外相が政権公約>から引用します。
<引用始め>
 政権公約は「日本の底力――活力と安心への挑戦」と題した。麻生氏は日本外交はアジアの安定を求めていくべきだと指摘。「特に良好な日中関係は、二国間の問題のみならず、アジア地域の安定のために欠かせない」と主張している。小泉首相の外交路線を引き継ぐとみられる安倍官房長官との違いを明確にする狙いがあるようだ。日本外交の現状については「国民の間に多くの不満がある」とも指摘。日中間、日韓間の領土問題や歴史認識などの違いについては「日本として譲れない点は筋を通して主張」しながらも、「バランスのとれた共通の利益の探求」が必要としている。
 そのうえで日本が「アジアの安定勢力」の役割を果たすよう、(1)政治、軍事、経済面で台頭する中国としっかり向き合うこと(2)アジア最大の民主国家インドと戦略的関係を深めること(3)朝鮮半島の将来を見据えた外交戦略を立てること――などが重要だとしている。
<引用終わり>

 外務大臣を務めるだけあって、感情的な親中派議員の外交論より戦略的なアジア外交論です。日米同盟と日本の経済力を基盤として「アジアの海を平和の海にする」という戦略を掲げて、近隣諸国との間で共通の利益を探求していくことを目標にしているとのこと。こうした構想のアジア諸国というのは、ASEAN地域フォーラム参加国を意識していると考えられます。
写真はASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議(クアラルンプール、平成18年7月28日)の様子です。


 まさに似て非なるアジア外交です。どちらの外交論が国益にかなうのかは一目瞭然です。21日、正式に麻生太郎の政策が発表になります。今から楽しみしています。
 「麻生は、玄人受けはするんだけど」と本気で心配していた推薦人になる議員。「キッチリ戦いますよ」と言っていたあの笑顔が忘れられません。

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