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芳賀明夫の思いつくままに

フィジーから帰国して

瀬戸内寂聴『風景』の中の『デスマスク』を訳し終わる

2012年10月29日 | Weblog
瀬戸内寂聴『風景』の小説集の一番目の『デスマスク』を私のヒンディー語訳の役割としては、やっと訳し終わった。
「やっと」というのが正直な感想だ。
瀬戸内寂聴さんとは永年、公私にわたっておつき合いして来て、その文章の読みやすさを知っていただけに、もっと簡単に訳せると思っていたのだが、さにあらず、ひとつの句を訳すのに丸一日かかったのもある。
その言葉自体は、実に分かりやすいのだが、訳すとなると、考え込んでしまい、時間を置いてから、また考え直して、やっと進むと言った調子であった。
先日、大学書林から買った土井久也のヒンディー語日本語辞書は、図書館に預けっぱなしだし、逆だから見てもしょうがないから、英語ヒンディー語辞書で訳した。日本語からいったん英語に当たる言葉を探す時は、研究社辞書部の1953年発行の市河三喜編新英和小辞典と岩崎民平編の新和英小辞典が一冊になった小型の辞書が役立った。この辞書は、インド旅行などで、必要がありそうな時に、インドに持って来ていたのだが、実際にはほとんど使わなかった。今回実際に使ってみて、よく出来ている辞書だと感心した。この辞書を買ったのは、恐らく1970年代だったと思うが、日本の英語研究が相当進んでいたことが分かる。ヒンディー語に関しては、わたしが学生だった1969年頃迄は、ヒンディー語英語辞書であった。
ロシア語は、『浮雲』の二葉亭四迷のような日本語口語の文章化を創始した作家が、研究している伝統があるので、今の光文社の亀山郁夫訳『罪と罰』のこなれた訳があるのであろう。
その意味では、日露関係は、言語を介してかなり良い関係を作れる筈だ。