米国の世界戦略と日本の立場

最近になって、米国の公文書が公開されたことで、日米両政府間の秘密協定が明らかになってきている。日米安保条約に付随する秘密協定は、これが、不平等条約なのに、そうでないかのように見せかけられているのは、日本国民を刺激しないように両政府間で相談した結果であることが伺える。英国が世界中に植民地を築いていた頃は、あからさまな不平等条約を締結していたが、それが混乱を引き起こし、第２次大戦となったことへの反省から、宗主国が植民地に対してその国民を刺激しないように条約の表面的な文章を双方に利益になるように書いたのであろう。
日本は、明治維新で勤王攘夷から、勤王欧化を選択し、欧米列強に追いつこうと、江戸時代のすべてを否定して、富国強兵政策を追求した結果が、太平洋戦争の未曾有の敗北を喫した。米国の戦死者数は、３０万足らずだが、日本の戦死者数は、３００万を越えている。このほかに広島長崎、沖縄、満州での民間人の死者は１００万近い。その結果が無条件降服であり、米国及び、連合国側の要求を全て無条件にのんだのだから、見せかけはともかく、不平等条約で当たり前であろう。戦勝国の米国も３０万近い兵士を戦死させているのだから、それを日本に償わせる条約をむすんで当然だった。これが、下級貴族と下級武士たちによって武力と陰謀によって起こされた明治維新の帰結である。イラーク戦であれ、アフガーニスターン戦であれ、米国の要求を、国際貢献と呼び替えて米国に協力しなければならないのは秘密協定を結んでいる日本政府としては、受け入れなければ、日本政府の存立基盤がなくなることなのだ。
日本は米国の世界戦略に無条件で組み込まれているということであろう。