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赤朽葉家の伝説

2010-04-22 21:00:00 | 
 


 言わずと知れた直木賞受賞作品です。

 赤朽葉家の伝説 著:桜庭一樹 東京創元社

 赤朽葉(あかくちば)家の千里眼奥様と呼ばれた祖母・万葉(まんよう)とその娘・毛鞠(けまり)。孫・瞳子(とうこ)。
 この三世代の女が山陰地方で過ごした戦後から現代に至るまでの話です。

 瞳子が語り手となって祖母と母の人生をそれぞれ語っていきます。

 世界観にすっぽりはまりましたね。
 2、3日この世界観に浮遊してた感じです。

 感想、ではないんですが、凄い共感を感じた部分がありまして。
 これは事実だろうなと思っちゃった。

 瞳子の母、毛毬はいわゆるバブル世代にレディースでブイブイ言わせてたんですが、それがある日、少女漫画を書き出し、レディース時代の話を週刊誌に12年間連載して、ずっとトップを走り続けるんです。

 


 若くして大金が転がり込んでくる、この特殊な、少女漫画という世界において、長く現役生活を続けることは茨の道であったが…(中略)…「赤朽葉毛毬のライバル現る!」と騒がれたが、大金をつかんで精神を病み、わずか数年、短ければ数ヶ月で業界から消えていった。この業界において強いのは、稼ぐ必要のある者と、一攫千金を夢見るものだった。…(中略)…大金に戸惑う、純朴な若者ほど、こころがかんたんに壊れてしまうのであった。彗星のように現れる期待の新人たちは、肩で風切り、パーティーの席上でも極楽鳥のように着飾ってやってきては生意気を言ったが、描き続けることができず、描いても人気を持続できず、若い方には背負えぬ重荷に、わずか半年ほどで誰もが劇的に面変わりした。異常な太り方をしたり、ミイラの如く痩せ細るのであった。青い顔をして、もう描けないと泣き、つぎつぎと人知れぬ奈落へ消えていった、一度消えたら、二度と戻ってはこなかった。




 と文中の一部を引用させていただきましたが、私も実際に漫画家さんじゃなくても周囲で感じることがあります。

 1ヶ月で頬がげっそりそげた人、まだ若いのに頬の下に中年のような脂肪がたっぷりたまる…ストレスから来る暴飲暴食から来るものだろうなと想像できる…人もいた。

 これは話の本当に一部でしかないんですが、ここに1番共感を覚える私はなに?


 漫画はね、読む分には30分とかからないのにね。描き手は本当に大変だろうなと思います。

 瞳子の時代になると、千里眼奥様の残した告白の謎解きなど出てきて最後まで飽きさせません。

 せかいは、そう、すこしでも美しくなければ。
 
 帯に書かれた言葉が染みます。

 



 『まやかし嬢』
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