
今回、候補に挙がる前に順位が下がり、全日本へ辿りつけなかった。
現役であることは知っていた。
かつては「氷上のアクレトス」と呼ばれ、その表現力が女優張りと評価されていた金メダル候補だった。
一時は会社社員としてやりたいこともある。けれどスケートは自分の一部だから現役を止めることはないと言っていたのをどこかで読んだ。
荒川静香と同期で、まだ荒川が現役だった頃は彼女より目立った存在だったのが村主だ。
今も、得点争いに意識が行くフィギア界にもっと大切なことがある、フィギアスケートの良さを伝えたい、彼女なりにやりたいことがあると現役続行を宣言した。
荒川が五輪で金メダルを獲得後、すぐに現役引退表明をしたことを「ずるい」とまだ一緒に戦いたいということをどこかで言っていたとやはり読んだ。
30代でも選手を続ける者はフィギア界では少ない。
それはそれで意義があることかもしれない。積んだ経験を活かせる、なによりそれが大きいだろう。
しかし最近はジャンプがうまく行かなくて思考錯誤を繰り返しているそうだ。長く経験すれば、考えること、実験してみたいことも増えたのかもしれない。
ご本人は靴がしっくりこないことが原因とおっしゃっているようだけど。
フィギア選手に靴は大切で、結ぶ紐さえ、切れても切れた部分をそこで結び直し、全部を変えないほど、みんな神経質になっている。
個人だし、やれるところまでやってみるのもいいかもしれない。後援してくれる人がいるなら、彼女を押している人や企業があるということだ。
可能性があるということだ。
ただ五輪に出る選手はアマチュアだということも念頭に入れていただきたい。
でもプロに転向するには、それこそ荒川静香のように金メダルを下げていかなければ、アイススケートショーに呼んでもらえることもない。
実際は、浅田選手、安藤選手など、現役引退を表明する選手が多い。浅田選手など23歳での表明だし、そうすると安藤選手の26歳という年齢が、ずい分頑張ったんだなと見えてしまう。
大晦日で33歳になる村主選手の挑戦は、人々にはどう映るだろう?
ヤフーでは意外に好意的な意見が大きい。
それなら世間も彼女の背中を押しているということだろう。
しかし、なのだ。
彼女が現役だということは、席を1つ持っているということになり、若い選手が出てくる席を開け渡さないということでもある。
そこがね、難しいところだと思うのよ。
どこの世界でもそうなんだけど、先輩に第一線続行を続けられると、それを乗り越えてでも出てこれる若手が出るに出られない場合がある。
それでも力がある若手は出ていくだろう。
ちょっと微妙な選手が困ってしまうのだ。
微妙なら、その程度の力と割り切ってしまえばいいことかもしれない。けれど、経験を積めば、メンタル面で問題があって、大勝負に出られなかった村上選手のように五輪出場を決める選手もいる。
そこなのよ。
自分の意志を貫くか、後輩に道を譲るか。
そこなのよ。
やはり競争の激しい世界で生きている私などは、それなりに活躍した方々にはある年齢を持って引退していただきたい。
私もフリーランスの仕事だから、席が開かなければ出ていけない。
そこを無理矢理でも奪えばいいわけだけど…。
そこなのよ。
そこを考えちゃうのよ。
それで少し手厳しいことも言ってしまったりする。
世界が違うので、村主選手のことはただ黙って見ている。どんな活動を30代の選手として魅せてくれるか観客としてみている。
けれど、胸中は、少し複雑だったりする。…いろんな意味でだ。
応援したい気持ちと…。
いろいろだ。