深い底なしの沼

2010-02-27 22:00:00 | 思い出
 たまたまといいましょうか。
 家は親が医療関係の仕事をしていたせいもあり、たまに病気の相談を持ちかけられることがありました。

 電話で話していたり、直接誰かが訪ねてきたり、たまたま耳に入ってしまうことがありました。

 けれど私はあくまで素人の第三者ですから深刻な事態があれば、普通に胸を痛めます。

 その時もたまたまその話を知ってしまいました。

 ご病状が重い。
 
 私も知ってる方のお話です。
 お嬢さんが誰に話せばいいのか迷い、そんなお話をなさったのです。

 正直知りたくなかった。

 人様のこととは言え、心が痛い話でした。

 でも今になって思うのです。
 
 お嬢さんは本当に辛くて誰かに助けを求めたい、それくらいつらくて悲しかった。

 一瞬にして、ずんと胸に深い底なしの沼が空いてしまったような、言葉にできない悲しみがあったのでしょう。

 千粒の涙を流してもけして沼が埋まることはないのでしょう。
 万粒の涙を流しても、沼は埋まらないのでしょう。

 誰でも出会う現実ですが、みんな深い沼をどうやって越えているんだろう。
 時間だけが解決するのでしょうか。

 沼はいつしか埋まり、花が咲く時代も巡ってくるのでしょうか。

 ふと思い出しました。
 先月きたあの時のお嬢さんの顔に万遍の笑みが浮かんでいたからかもしれません。


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