証券マンの田島光夫が、銀行に「山岡秋子」名義の通帳を持って現れる。
それを窓口で受付をしている滝村英子は不思議に思うが、男が女のみたい名前じゃいけませんか?と言われ、いえというが、男は田島光夫という本名を告げ、去る。
これがきっかけで出会った2人は結婚する。
英子が妊娠した。光夫は婿養子として英子の家に入ったが、彼女の両親が娘がちゃんとやっていけるのか不安だったと話す。
義父は、光夫に英子が妊娠を告げても喜びもしないというのに、男はそんなものだ、ああこれで逃れられなくなったと思うものだと軽口を聞いて楽しんでいる。
しかし、光夫は姿を消した。
彼にはスッナク(かなんかを経営している)乃里子にうちにいてくれたらいいのにという気持ちに答え、あっさり妻の英子のいる家を捨てたのだ。
仕事も辞め、乃里子に養ってもらうようになった光夫に、乃里子はお金がないことを言い、家にお金を入れてほしいという。
女は何をしたって稼げるという光夫が仕事を見つけてきたというのに、いやよ、私、ソープでなんか働かないというが、違う俺の仕事だという。
バーでボーイを始めた光夫は、証券会社で働いていた頃、彼の客だった女性から鎌倉夫人よと紹介された冴子に再会する。
夫は裕福で海外にいる期間が長い。自由な時間がある冴子と光夫はあっさり関係を持つ。
突然消えた光夫に乃里子は女ができたの、おばさんでしょう、だったらあなたを300万円で売るわ。買ってくれるかなと言い出す。
光夫はそういう面倒なことは嫌だ別れようというのを、拒否する乃里子と揉みあっているうちに彼女は石段から転落する。
乃里子に駆け寄る光夫だが、彼女が死んでしまったことに驚きを隠せなかった。
そして光夫は流れるまま冴子の所へ転がり込む。
しかし乃里子を手に掛けたのかと思う光夫は何かが抜けてしまったかのようだ。
冴子との生活も長くは続かない。
冴子は裕福な男の妻だと言っていたが、実は男の愛人だった。別宅を持たせてもらい、たまに旦那が帰って来るという生活を送っていた。
冴子は旦那が破産して本宅も冴子が暮らしていた別宅も奪われたという。
その冴子に、光夫は、知っていたとだけ告げる。
死にたいという冴子に流れるまま一緒に死のうと約束をして睡眠薬を2人でむさぼり食う。
海の家で心中を図ったが、冴子だけが死に、光夫は生き残ってしまう。
二人の女を手にかけることになってしまった光夫は警察に追われる立場になっている。
乃里子の事件から追っている刑事は、乃里子のときと同じだ。男が一緒に暮らしていても男の暮らしていたという実態が残っていないと、冴子の事件を捜査する刑事に伝える。
光夫は行き場を失って、妻の英子の所へ電話をかけてくる。
子どももおろし、光夫のことは忘れようとしていた英子だったが、光夫の元へ出向いてしまう。
そして二人の寄りが戻ったかのように見えたが。
英子は光夫の元を離れ、一旦家に戻ると両親が泣いていた。
光夫がとんでもないことをしてくれた。女を2人も殺して、警察が光夫を探していると告げる。
それに驚いた英子は再び、光夫のいる宿屋に戻るが、警察がすでに着ている。
刑事は、奥さんは彼を何にもしらない。今日は帰りなさいと言われ、一旦は帰路につこうとしたが、踵を返して光夫を探す。
英子は、酒を買って自販機のそばで、隠れるように飲んでいる光夫を見つけた………。
英子が気にしてるのは、光夫が結婚後、姿を消したときに辞めていたと知らなかった証券会社の上司から、女性がいたんじゃないかと言われときだ。
それから、出会ったときに持っていた通帳の名義の「秋子」という女性を気にしていた。
光夫は秋子とは誰だと聞かれるが、子どもの頃隣りに住んでいたばあさんだ、優しくしてくれたと答えていた。
まあ、結局嘘だったんだけど。
光夫が逮捕された後、英子が海辺の防波堤に立っていると巡査が、あんた自殺するつもりじゃないだろうなと心配して声をかけてくる。
その巡査はずっと昔、英子と似た後ろ姿の女性が子どもを道連れにして入水自殺をしたという。
そのとき生き残った男の子が「秋子」と叫んでいたという。
「秋子」という名前に、光夫を思い出す英子というシーンがる。
つまり「秋子」は彼の母親は道連れにして殺した彼の5歳の妹だった?
光夫は実の母に目の前で妹を道連れにされ、死なれていた過去があったのか?
そうするとこの光夫って本当に逃れられない宿命を抱えていたんだなと思う。
恐らくは幸せでなかった幼少時代に、母は目の前で妹ともに自殺している。
冴子との関係が心中で終わろうとしていたとき、冴子に誘われたとはいえ、彼だけが思いがけず生き残った。
彼は女が様々な理由から死を迎える際、それに立ちあわされている。
そもそもが、彼の母の死に際に立ち会わされた。母は妹を道連れにした。
心中の生き残りってつらいらしい。
母子心中で生き残り、証券マンになったんだからそれなりに頑張ってきたんだと思う。
しかし英子と出会ったときに彼女に亡くなった母をみてしまったのか?
だから英子とは結婚したのか?
乃里子、冴子という立場の女は母を見ていただけか。彼の母も何らかの水商売に関わっていて、愛人という立場だったのか?
彼が何かが切れてどうでもいいと流されるきっかけになったのは、英子の妊娠を聞かされたときだっのだろうか?
子どもが生まれ、家庭を築くという現実の前に、かつて彼の心にずっと遺恨を残していただろう、母と妹との暮らしが甦ったのか?
その途端、彼の中で何かが弾けた。
そして流されながら、彼は2人の女を殺したとして追われる身になっていったのだろうか?
松本清張の原作に光夫役に松田優作という異色作なのだが、監督が崔洋一ってあの映画「Shall we ダンス?」で一躍注目を受けた、あの?
松田さんが生きていらした頃なので、かなり若い時期の作品ではないか、と。
「土曜ワイド劇場」の作品としてこの「断線」は作られたらしい。
なんか途中から青春を生きる男と女みたいなノリになってたけど…。
ラストの松田優作さんが見せた光夫の呆けたような顔が印象に残ります。
DVDが出てるようです。
松田優作さんの前編を通じて、表情が落ちた何とも言えない顔が印象に残る作品ですが、お若い頃の崔洋一さんも監督として画面に当時の姿を現していらっしゃいます。
土曜ワイド劇場って初期の頃は、原作者、音楽、脚本、監督などが自ら画面に登場するという、ファンサービスをしていました。
原作の松本清張さんも…あら、どうしたの?と思うようなポーズで。
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