電撃文庫のラノベ、『ヘヴィーオブジェクト』（鎌池和馬先生原作、凪良先生イラスト）が発売中です。
とある魔術の禁書目録で有名な鎌池先生ですが、デビュー５年目の新シリーズということで期待されていた方も多いのではないでしょうか？
表紙はヒロインのミリンダ。
オブジェクトと呼ばれる超巨大兵器を操るエリートパイロットという肩書きに似合わないスラリとしたスタイルと繊細な表情が魅力的です。
お話的には、全ての戦争は超兵器であるオブジェクト同士の戦いの勝敗のみに左右されるようになった・・・という近未来的世界観の中で、戦場へ派遣留学した学生である主人公、クウェンサーが、ミリンダと出会い、軍人である同僚、ヘイヴィアとともに戦火に巻き込まれていくという展開です。
全長５０メートル、重量２０万トン級という馬鹿でかい質量を持ったオブジェクトは、それ１機で大規模な戦車や戦闘機、あるいは核爆弾といった戦力を相手に壊滅させることも出来るほどの最強兵器なので、普通に考えるならクウェンサーも主役機的なオブジェクトに乗り込み、ガチバトルへ！という展開になりそうなところなのですが、そうではなく、生身の体１つでそんな兵器たちに立ち向かうというのが本作最大の見所です。
立ち向かうといってもいきなり異能の力に目覚めるといった事ではなく、オブジェクトに関する知識を用いて敵の急所をつくという流れなので、予想外の行動にドキドキさせられる事間違いなし。
完全にクウェンサーの独力でそれを成し遂げるわけではなく、相棒のヘイヴィアの持つ軍人としての分析眼や、時にはミリンダの駆るオブジェクトの援護を受けながら、協力して他の人間には真似の出来ない作戦を遂行していく姿が熱いです。
研究者としての成功を目標にしつつも、実際には目先の利益だけを優先せず、仲間のために命をかける事も厭わないクウェンサーは、大人しそうな外見や理系特有のクールな雰囲気を感じさせつつも、根は意外と熱血！という部分もあり好印象。
無茶な作戦に文句を言いつつも恋女房を務めるヘイヴィアとの掛け合いは、戦争映画でよく見かけるような兵士同士の悪態交じりのウィットとでも言うべき軽妙さでニヤニヤです。
敵オブジェクトの構造や特性を目視しながら、単身肉薄、時には潜入して弱点を探すというスタイルは、バトルというよりスニーキングミッション的な面白さが特徴的かと。
力に力で立ち向かうのではなく、頭を使って攻略する展開が理論的でスマートです。
兵器類や科学的な理論についての説明がなされた後で、その盲点を突くような行動で対応という感じなので、ある意味伏線チックと言えるかも。
専門的な用語については具体的なイメージが湧くように配慮されていますが、ある程度知識や造詣があるという方のほうがより楽しめると思います。
その辺りは、と禁の科学パートを兵器関連に特化してさらに伸ばしたような印象かと。
冒頭からボーイミーツガール要素はあり、ミリンダからも好意が寄せられている様子は十分に感じられますが、会話や行動でラブコメを描くシーンはそれ程多くなく、それを目的にされている方はちょっと違和感を感じるかも。
むしろ、男同士の友情的部分が生き生きと描かれているので、そのサッパリとした連帯感を心地良く楽しめた印象の方が強かったです。
戦友万歳ｗｗ
上記の３人と美人上司フローレイティアの他にはほとんど名前付きのキャラが登場せず、敵オブジェクトのパイロットについてもその詳細は語られないという、あまりラノベに見られない尖った作りは、やや読み手を選ぶ傾向があるように感じられますが、新鮮に感じられました。
そんな中、フローレイティアの個性的なキャラ付けは、ある意味ミリンダ以上に印象的に感じられる気も。
キャラの口調や方向性にはと禁のキャラを彷彿とさせる部分もありますが、切り口というか演出的な見せ方がかなり異なっているので、また違った趣のある作風に仕上がっていると思います。
個人的には、最初から最後まで女の子や人々のために命を賭ける上条さん的展開の方がストレートに響くので好きですが、これはこれでアリかなと。
また、ラストエピソードの段階になって、実は物語的に大きな仕掛けが施されていた！という展開は、説得力があり、作品としてとても興味深かったです。
クウェンサーたちのとってきた行動はどのように世界に影響を与えるのか？
そして彼らはどのように進んでいくのか？
一応綺麗に結末を迎えたという印象でしたが、続巻もあるのか気になるところです。
気になった方は、是非チェックなさってみて下さいませ。
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とある魔術の禁書目録で有名な鎌池先生ですが、デビュー５年目の新シリーズということで期待されていた方も多いのではないでしょうか？
表紙はヒロインのミリンダ。
オブジェクトと呼ばれる超巨大兵器を操るエリートパイロットという肩書きに似合わないスラリとしたスタイルと繊細な表情が魅力的です。
お話的には、全ての戦争は超兵器であるオブジェクト同士の戦いの勝敗のみに左右されるようになった・・・という近未来的世界観の中で、戦場へ派遣留学した学生である主人公、クウェンサーが、ミリンダと出会い、軍人である同僚、ヘイヴィアとともに戦火に巻き込まれていくという展開です。
全長５０メートル、重量２０万トン級という馬鹿でかい質量を持ったオブジェクトは、それ１機で大規模な戦車や戦闘機、あるいは核爆弾といった戦力を相手に壊滅させることも出来るほどの最強兵器なので、普通に考えるならクウェンサーも主役機的なオブジェクトに乗り込み、ガチバトルへ！という展開になりそうなところなのですが、そうではなく、生身の体１つでそんな兵器たちに立ち向かうというのが本作最大の見所です。
立ち向かうといってもいきなり異能の力に目覚めるといった事ではなく、オブジェクトに関する知識を用いて敵の急所をつくという流れなので、予想外の行動にドキドキさせられる事間違いなし。
完全にクウェンサーの独力でそれを成し遂げるわけではなく、相棒のヘイヴィアの持つ軍人としての分析眼や、時にはミリンダの駆るオブジェクトの援護を受けながら、協力して他の人間には真似の出来ない作戦を遂行していく姿が熱いです。
研究者としての成功を目標にしつつも、実際には目先の利益だけを優先せず、仲間のために命をかける事も厭わないクウェンサーは、大人しそうな外見や理系特有のクールな雰囲気を感じさせつつも、根は意外と熱血！という部分もあり好印象。
無茶な作戦に文句を言いつつも恋女房を務めるヘイヴィアとの掛け合いは、戦争映画でよく見かけるような兵士同士の悪態交じりのウィットとでも言うべき軽妙さでニヤニヤです。
敵オブジェクトの構造や特性を目視しながら、単身肉薄、時には潜入して弱点を探すというスタイルは、バトルというよりスニーキングミッション的な面白さが特徴的かと。
力に力で立ち向かうのではなく、頭を使って攻略する展開が理論的でスマートです。
兵器類や科学的な理論についての説明がなされた後で、その盲点を突くような行動で対応という感じなので、ある意味伏線チックと言えるかも。
専門的な用語については具体的なイメージが湧くように配慮されていますが、ある程度知識や造詣があるという方のほうがより楽しめると思います。
その辺りは、と禁の科学パートを兵器関連に特化してさらに伸ばしたような印象かと。
冒頭からボーイミーツガール要素はあり、ミリンダからも好意が寄せられている様子は十分に感じられますが、会話や行動でラブコメを描くシーンはそれ程多くなく、それを目的にされている方はちょっと違和感を感じるかも。
むしろ、男同士の友情的部分が生き生きと描かれているので、そのサッパリとした連帯感を心地良く楽しめた印象の方が強かったです。
戦友万歳ｗｗ
上記の３人と美人上司フローレイティアの他にはほとんど名前付きのキャラが登場せず、敵オブジェクトのパイロットについてもその詳細は語られないという、あまりラノベに見られない尖った作りは、やや読み手を選ぶ傾向があるように感じられますが、新鮮に感じられました。
そんな中、フローレイティアの個性的なキャラ付けは、ある意味ミリンダ以上に印象的に感じられる気も。
キャラの口調や方向性にはと禁のキャラを彷彿とさせる部分もありますが、切り口というか演出的な見せ方がかなり異なっているので、また違った趣のある作風に仕上がっていると思います。
個人的には、最初から最後まで女の子や人々のために命を賭ける上条さん的展開の方がストレートに響くので好きですが、これはこれでアリかなと。
また、ラストエピソードの段階になって、実は物語的に大きな仕掛けが施されていた！という展開は、説得力があり、作品としてとても興味深かったです。
クウェンサーたちのとってきた行動はどのように世界に影響を与えるのか？
そして彼らはどのように進んでいくのか？
一応綺麗に結末を迎えたという印象でしたが、続巻もあるのか気になるところです。
気になった方は、是非チェックなさってみて下さいませ。
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