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狼と香辛料13巻の感想レビュー(ライトノベル)

2009年11月08日 21時23分09秒 | ライトノベル・小説
電撃文庫のラノベ、『狼と香辛料ⅩⅢ Side Colors Ⅲ』(支倉凍砂先生原作、文倉十先生イラスト)が発売中です。

表紙は勿論ホロ。
ホロといえば狼、もしくは麦!というわけで、麦束を抱えてポーズをとる仕草も様になっていますね。
麦をつかさどる神と奉られた彼女にこんな笑顔を見せられたら、今年の麦の収穫も豊作間違いなし!と疑うことなく信じられそうですが、ロレンスにとっては彼女の存在自体が一番の収穫、みたいな感じかも。
というか、今回も2人のやりとりにはニヤニヤさせられっぱなしでした。

短編集である今巻では、ロレンスとホロの日常の1コマが描かれるお話に加え、人気キャラであるノーラがロレンスたちと別れた後、どうなったのか?を描くエピソードも収録。
彼女は無事に服の仕立て屋になる事ができたのか、ファンの方には必見の内容となっています。

しかも、それを語るのはノーラ自身ではなく、彼女を守る黒い騎士こと犬のエネク、というのが大きなポイント。
彼の視点から描かれるノーラの旅と新しい生活は、短い期間しか経っていないにもかかわらず非常に波乱万丈な内容になっていてハラハラドキドキさせられました。

貧乏ではあっても、頭の回転が速く、しっかりものという印象も強いノーラでしたが、おっとりと間の抜けたところもあったり、怖くて足が震えてしまう事もあったりと、歳相応の少女らしさを持っていないわけではなく、一番信頼を寄せるエネクの前でだけ見せる、弱くて無防備な姿がいじらしかったです。

お話的には、商会への紹介状と、以前の事件で手に入れた蓄えを持っているとはいえ、何事も順風満帆といかないのが世の常。
疫病で多くの人口が失われた街でなら、自分にも仕立て屋の職を得られるチャンスがあるかもしれないと意気込むノーラですが、目の前で襲われている司教を助けた事がきっかけで事態は予想外の方向へ・・・といった展開です。

主人のために、牙や手足を武器に、体を張ってノーラをまもるエネクの騎士っぷりがニヤニヤです。
犬にしておくには勿体ないほど達観した考え方を持つ彼ですが、愛するノーラとじゃれあう時には早々に服従の姿勢を見せたりと、なかなかに人間くさい?一面を見せてくれるのが面白かったです。
危機的な状況では、ほんのわずかの仕草や声音でノーラと意思疎通する格好良い姿を見せてくれることもあれば、日常では全く逆に、ノーラに考えている事と全く違う解釈をされて腹を立てたりする滑稽な様子を見せてくれたりw
時に彼女の僕として、時に彼女の保護者として、影に日向に寄り添う1人と1匹の様子は、最高のパートナーと呼ぶに相応しいものでした。

ラストの彼女の決断と、それを象徴するようなイラストの相乗効果は素晴らしいの一言。
彼女の踏み出す新たな一歩を、祝福せずにはいられません。

3人称ではなく、特定のキャラの視点で物語が描かれる事で、ガラリと作品の雰囲気が変わっているわけですが、エネクの個性付けとその人柄?を描いた丁寧な文章のお陰で、興が削がれることはなく最後まで新鮮な気持ちで読み終えることが出来ました。

また、ホロの視点からロレンスとのやりとりを描いたエピソードも収録されており、普段は気丈さや心の余裕を感じさせる彼女も、本心では色々と思い悩んだり、寂しさに沈みかけることがあるという一面が見えてきたりして興味深かったです。
ロレンスとのラブラブっぷりはすっかり定番となっている感がありますが、男のロレンスではなかなか気付けない女性の心の繊細さが感じ取れるエピソードは必見かと。
『賢狼ホロ』は、無闇やたらに全ての感情をさらしてしまうことはめったに無い訳ですが、その裏側からだからこそ見えてくるものもいろいろあったような気がします。
孤独を嫌うホロの性格は今までも事あるごとに描かれていましたが、それをより身近に、切実に感じられると思います。
直前に、ホロと別行動をとるロレンスというシチュエーションのあるエピソードが描かれていることも、ある意味どこか対称的で、読み比べるのに丁度良い感じかと。

ホロの胸中が直接描かれたことで、今までも十分に描かれていたホロからロレンスへの愛情が、より一層強い説得力を持つようになったのではないかと思います。
これからもロレンスとのやりとりを安心して楽しんでいけそうですね。

あとがきを見ると、いよいよ本編も終盤戦へ・・・という雰囲気が感じられてしんみりしてしまう部分も。
その一方で、新シリーズも着々と温められているご様子なので、今から期待するしか!!
3人称でもキャラクター視点でも器用に文章を書き分けられるということは、今回のエピソードでも改めて証明された訳ですし、まだ見ぬ新作がどんなジャンルのお話になるにせよ、期待を裏切らない魅力的な作品になってくれそうなので楽しみです。

気になった方は是非、チェックなさってみて下さいませ!

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