通訳案内士の気ままな生活

現役通訳ガイドのブログです。プライベートから気になる収入などの話まで!?包み隠さずお話します!

NHK”中国人ツアーは嫌”

2012-07-09 21:49:32 | ガイド日記
本日NHK9時のニュースウォッチ9で
”中国人ツアーは嫌”という内容の特集がありました。
面白そうなので見てみました。

内容は日本の旅行会社やホテルなどが
中国の旅行会社に買いたたかれて悲鳴をあげているというもの。

なんでも中国本土では日本の旅行会社の支店は営業活動ができず、
その結果、中国の旅行会社の言いなりになって買いたたかれているとか。
宿泊施設や日本の旅行会社へのインタビューでは
限界以下まで値下げを強要されるので
そこまで付き合いきれない。
無理な条件では受けないことにしたということ。


それと同時に中国人観光客が
日本の免税店でぼったくられているという映像も。
日本人が立ち入り禁止の店内では
市場価格より高い値段で商品が売られ
その売り上げの半分が”ガイド”や旅行会社にキックバックされるとか。
ここでいう“ガイド”とはもちろんノンライセンスガイドのことです。

一般層が来日できるようになって、旅行代金は数年前の半額ほどになり、
旅行会社は旅行代金だけでは利益があげられなくなっていて。
そのためこういったところで利益を上げるのが必要だとか。
そしてぼられた観光客は「もう日本には行きたくない」と。


番組はここまでなのですが
ここからは補足です。


こういった格安ツアーの”ガイド”は通訳案内士の半額以下の料金で請け負っていて
さらに無料でツアーをさせられる”ガイド”もいると聞きます。
もちろんその料金では仕事とはいえないので
必然的にお土産屋さんなどから副(主?)収入をあげることが必要になるのです。
アメリカで違法就労のウェイターが
給料なしでチップだけで生活しているようなもんでしょうか。
これは雇い主側の搾取の例ですが。

さて前に少し前に日本在住のノンライセンスのガイドさんとお話しする機会があったのですが
その方の口からは
キックバックをもらえる店の名前が
次から次へと出てきました。
昔は日本の添乗員もお土産屋さんや写真屋さんに
お客さんを連れて行っては謝礼をもらっていたと聞きます。
中国はまだその状態なんだなと。

そのノンライセンスガイドはとてもいい人ですので
その方の違法行為を責めるつもりはありません。
どちらかと言えば、そういったガイドを薄給でこき使ってる
法令無視の会社に問題があるでしょう。
やはりノンライセンスのガイド達にも生活があり、
きちんとした収入がもらえなければ
怪しいことに手を出さずにはいられないのです。
通訳案内士がそういった怪しい誘いに惑わされず
お客様の立場に立って仕事ができるのも、
それなりの報酬をもらっていればこそです。

中国語の通訳案内士の方々はこういった値引き合戦の真っただ中にいて
ダンピングガイド達と戦っています。
クリーンな通訳案内士でいるためには
安売り合戦に参加してはいけないのです。

かく言う私もカナダのガイド時代には
お土産屋さんからのキックバックは重要な収入源でした。
もちろん日本の旅行会社のやることなので
ぼったくりではないのですが
何かしらそういった営業活動は必要でした。
ガイド制度が法制化されておらず、ガイドが守られていなカナダでは
やはりガイドは十分な収入は得られません。
そうるとどうしても無理をするガイドも出てきます。
観光庁はカナダやアメリカのようにガイド制度がない国もあるから
日本も規制緩和してもいいと思ってるいようですが
裏の調査もすべきですね。


むやみな安売り合戦に加担しようとしている
観光庁には現実をきちんと見てほしいです。
何千万人と言う数値目標ありきで
規制緩和を推進するのは止めるべきです。
手放しで中国人観光客を誘致していた
旅行会社やホテルなどもそろそろ気づいたはずです。
利益にならない客数がいくら増えても仕方ないと。

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