通訳案内士の気ままな生活

現役通訳ガイドのブログです。プライベートから気になる収入などの話まで!?包み隠さずお話します!

カナダのガイド

2010-03-25 21:32:13 | 通訳案内士のあり方
さて、昨今通訳案内士のあり方が検討されていますが、
僕はカナダのガイド暦もありますので
カナダのガイド事情をお話します。

カナダは観光大国ですが
ガイドの制度はありません。
山岳ガイドなどの制度はありますが
一般の観光にライセンスは必要ありません。
逆に言えば自然が売りのカナダですから
そこにはきちんとしたガイド制度があります。

もともと歴史の浅い国ですので
ガイドが深い話をすることもありません。
どちらかといえば見たとおりの自然の美しさを案内するので
個人によって大きな差が出ることもありません。
話す内容もどちらかといえばエンターテイメントで
正確性はさほど求められていません。
なので誰でもすぐ始められます。

仕事としてはどちらかといえば低技術な仕事と見られています。
賃金もさほど高くありませんが
TIPをある程度もらえることを加味しての賃金です。
ガイドが自らチップの話をすることも珍しくありません。
学歴的にも高学歴の人のやる仕事ではありません。

そして副業でやっていたり
将来へのつなぎとしてやっている人も多いので
一生の職業としてやっている人は少ないと思います。

ですがカナダでは
タクシー免許を取るのも簡単です。
一発試験で取れてしまいます。
日本で教習所でならう基本ができれば
誰でも取れます。
大型バスの運転手さんでも
マイクをつけて話しながら運転します。

ということで、
いろんな意味で規制がすくないので
自由度が高いです。


カナダで働いている日本人ガイドの事情ですが
お世辞にも良いとは言えません。
どちらかといえばカナダに長期滞在したいという夢がある人を
安く雇っている感じです。
そうでもしないと会社も利益が出ないのです。
もちろん、オプションツアーや
お土産販売のコミッションは重要な収入源です。
労働条件も違法です。
でも外国人だから問題にはなりません。
やってるほうは貯金を切り崩しながら頑張っていたりします。
やはりこれも移民資格を得るまでのつなぎの仕事と言えます。


というのが今業界が行おうとしている
通訳案内士制度改革の方向性ではないでしょうか。

ですがカナダと日本では大きな違いがあります。
まず移民国家ではない。
外国語を流暢に話せる人が少ない。
通訳案内士は高学歴である程度年齢の高い人が職業としてやってる。
独特な歴史、文化、ルールが多い。
カナダでは旅行者が英語を話してくれるので多言語サービスは必要ない。
日本では法律の規制が多く自由なビジネス展開は難しい。

ということで北米のような自由競争を
日本にも持ち込むのは危険です。
より一層低所得者層の職業を作ってしまいます。

もちろんそうなれば今の優秀なガイドさん達は
転職してしまうのではないでしょうか。

そして安い労働力として
留学生を使おうとしている政府にも不信感を覚えます。
日本の法律無視で、基本給無しでお土産販売の手数料収入のみのような
仕事に留学生が利用されないことを祈ります。

制度変更はやってみなければなりませんが
変えてみてダメだと分かっても
元に戻ることはできません。
歴史に関わる仕事をしてるからこそ、そう思います。

時代の流れに会った自由化。
聞こえは良いですが
そうやって古き良きものは
日本から消えて行きました。

競争が激化し
利益が上がらない企業は淘汰されていくべきです。
労働者を違法に安く使ってまで
生き残るべきではありません。


僕は自分がガイドじゃなかったとしても
この制度は保護されていくべきだと思います。
ただ残念ながら変更は免れそうにありません。

制度が変更されるのであれば
それに従うまでです。
そして衰退すると思えば見切りをつけ
盛り上がると思えば残ります。

色んな国の制度を研究してから
結論を出していただきたいものですが
どうやらタイムリミットありきの議論なので
結論を急いでいるように思われます。
Let's See ですね。

観光庁通訳案内士制度の見直しについて

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第5回ありかた検討会

2010-03-19 22:34:32 | 通訳案内士のあり方
まだ、資料が出揃っていませんが、
3月15日に検討会が開催されました。

傍聴したわけではないので
最新の議論はわかりませんが
過去の議論を見ていると
なんとなく方向性は定まってきたのかなと思います。

通訳案内士の必要性は十分に認識されているようです。
資格がなくなるようなことはないし、
逆に品質向上のために官民一体で動いていく気がします。
通訳案内士と顧客のミスマッチも解消方向に向かっていくでしょう。
そういった意味でこの検討会の意義は大きいと思います。

しかしながら、再三指摘されているにも関わらず
放置されてきている違法ガイドの問題は
なかなか解決しそうもありません。

世の中にはルールが必要です。
ルールが無ければ、適正な競争は行われません。
中国のガイドは無償だったりするそうです。
これを放置しておいて、適正な競争が行われるわけがありません。
適正な競争を維持するために法律があり、監督官庁があるのです。

本日はツアー中に中国人旅行客のグループを見かけました。
ガイドはもちろんノンライセンスでしょう。
それよりも車も白ナンバーです。

外国人との関係は非常に難しいです。
日本人の良心的な常識では考えられないようなことが行われています。
信号を守り、道に落ちてるごみを拾い、列に横入りしない
日本人の方が世界的に見たら珍しいのです。

取り締まらなければ、黙認されていると思い
エスカレートしていきます。
日本の法律自体が甘く見られているのです。


通訳案内士の間では
自分で車を運転しガイドをするには二種免許(タクシー免許)が必要で、
タクシー事業者の認可を受けたグリーンナンバーの車でないと
やってはいけないというのが共通認識ですし、
みんなそれに従いやっていません。
ですが、これをいとも簡単に無視する人達がいるわけで
それをガイド個人の営業努力で・・・
のような議論は意味がありません。

とにかく官は官で役割を果たしていただき
法治国家として秩序ある競争をもたらしていただきたいものです。


どうせ法律を変えるなら
この2種免許だと思うのですが。
通訳案内士が自家用車でツアーできるようにすれば
色んな需要に格安で対応できるようになりますよね。
と、ガイドの誰もが思ってることですが。

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通訳案内士のあり方検討会

2010-02-28 00:33:02 | 通訳案内士のあり方
観光庁で通訳案内士のあり方検討会というのが行われており、
今週第4回を迎えました。

資料をみているとなかなか面白いのですが
やはり通訳案内士当事者と
当事者以外の方々とは考え方に開きがあります。
制度を改善していくにはこの開きを縮めていくことが必要でしょう。

大まかな流れとして
通訳案内士が使いづらい→
独占業務を撤廃してはどうか→
そうすれば留学生や、ボランティアガイドを合法で仕事に安く使える。

ガイドの数が不足→
違法ガイドが横行→
合法ガイドが生活できないので結局増えない。

などなど色々な議論がありますが
着地点は不明です。

一有権者として観光立国を目指す上で是非検討していただきたいのは
優秀で、国を代表するガイドを育てるには
どうしたらよいかということです。

ガイドはもっと営業努力をして
買物のアテンドなどの仕事をしたり
1時間単位で時給をで仕事をしたらどうか。
などという意見もあるようですが。。。
まあ、こういった発言をする人が
自分でその仕事をやりたいと思えるのかですね。
自分でやりたいと思える仕事でなければ
優秀な人は集まりません。
優秀じゃない人を国の代表にしたいなら別ですが。

日本だけのことを考えて議論をすると
話がおかしくなりますので
世界に目を向けて考えてみましょう。

例えば、私達庶民が海外旅行に行って
買物に付き合ってくれる通訳をいちいち雇うでしょうか?
そいうった通訳を雇うという行為自体が
裕福な方のやることなのでは?

お買物だけではないです。
プライベートのツアーでガイドを雇うのは
どこの国でも高いですよね。
僕も雇ったことなんてありません。
庶民は団体のバスツアーに参加するのが精一杯で
ガイドを個人では雇いません。
40人でガイド料金を頭割りすればたいしたことはありません。
でも、なぜ日本ではガイド料金が高いといわれてしまうのか不思議です。
人を一人自分のために働かせるなんてとても贅沢な話なんですが。

そして日本ではまだまだ流暢なバイリンガルというのは貴重です。
それだけで、料金が高くなるのはある程度仕方ないと思うのですが。。。
もしガイドが高いと思うのなら
通訳さんを雇えばいいのではないでしょうか。
それこそ1時間で1万円とか請求されると思いますが。


ガイドは皆、ガイドを”好き”でやっています。
今の制度はこの”好き”というとこから来る
ガイド個々人のホスピタリティーによって支えられているといっても過言ではありません。
皆さん、ガイドしかできない人達ではありません。
魅力が無ければそこまでしがみつく必要も無いのです。
一時間単位で安売りしてまでこの世界にしがみつかなくても
他の世界でいろいろできることはあります。
そこを勘違いした議論は意味がありません。


とにかく、ガイドを必要としている人達は
お金持ちの個人と団体旅行客であり
その人達に対して質の高いサービスが提供できるように
ガイドの質を向上させるシステム、
優秀な人材が定着するような魅力ある職業としての確立を図るには
どうしたらよいかという議論に集中するべきではないでしょうか。

それ以外の客層や業務などには多様なサービスが提供できるように
通訳案内士法の緩和を図るのも確かに手かも知れません。

一般の格安旅行者でも、誰でもガイドを雇えるようにしようとするのは
制度的に無理がありますし、必要ないです。
どこの国でも、そんな良心的なシステムはありません。
格安旅行者はパンフレットや標識、
観光案内所の充実などでカバーするべきです。
そして無償のガイドさんに対応をお願いすると。

ただ無償のガイドとボランティアガイドさんはまた意味が違います。
旅行会社などがボランティアガイドさんを利用して
利益を出すのは間違っています。

ボランティアではなく
企業や自治体が報酬を払い無償でサービスを提供するガイドをつくるべきです。
それは通訳案内士を雇用してもいいでしょうね。


と、色々議論は尽きませんが
一ガイドとしてはこの成り行きを見守りつつ
自分なりのガイドのあり方を考えて行きたいと思います

ガイドの置かれている状況が厳しいと感じる方も居るかもしれませんが、
僕はそうは思いません。
こういった検討会が開かれていること自体、注目が高い証拠ですし、
観光立国になる上での通訳案内士への期待がさらに高まってきていて
そのなかで重要な役割を担っていくことになるのではないかなと思っています
let's see...

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