将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

山下泰裕さん

2009年05月03日 | 父兄
昨年、日本自閉症協会全国大会が熊本で開催された際、大会役員の方がサプライズをしかけたと語っておられた。それが柔道の山下さんだというのは後で聞いたものの、どう自閉症協会と関係があるのかは知らなかった。

小生も長く柔道をやってはいたものの、ほとんど同い年である山下さんは雲の上の人だった。山下さんレベルの大会に出場した事もなかったが、23歳の時、水道橋の講道館に出稽古に行った際、本物の山下さんを間近に見たことがある。「あれが、山下か・・・」と仰ぎ見るだけで、稽古をつけてもらう発想さえ出てこなかった。あの巨体で、100メートルダッシュが12秒以内だとか聞くにつけ、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで柔道界を席巻している最中だった。

その人が、モスクワ五輪ボイコットに泣き、ロス五輪ではふくらはぎの肉離れに苦しみながら決勝戦の畳にあがり、そして日の丸を仰ぎ見た。英雄らしく連勝中にさっぱりと引退し、惨めな姿をさらすことなく、畳を去った。

総合の桜庭のように、あがく姿を世間にさらしながら頑張る格闘家の姿にも美学があるが、栄光のうちに幕を引く、山下流の美学もとても気持ちのいいものだった。

その山下さんが次男の自閉症を告白したと聞いた。  ・・・・。

「私はこれまで選手として、あるいは指導者として多くの人々に支えられながら活動してきました。努力したことがすべて結果に結びついてきたので、知らず知らずのうちに強い立場からものを見る人間になっていました。結果が出せない人がいると努力が足りないんじゃないか、工夫が足りないんじゃないか、全力を尽くして真剣にやっているのか、そういうふうに見ていたわけです。そんな私の生き方、見方を変えてくれたのが次男でした」

 昨年7月に熊本市で開かれた日本自閉症協会の全国大会でのことだった。ロサンゼルス五輪の柔道金メダリストの山下泰裕さんはビデオレターで語った。山下さんの次男に自閉症という障害があることは一部の親たちの間では知られていたが、公の場で山下さん自身が語るのはおそらく初めてだった。

 モスクワ五輪不参加で悔し涙を流した姿を記憶にとどめている人は多いだろう。ロス五輪では足を負傷しながら栄冠をつかんだ。努力こそが運命を切り開いていくことを身をもって示してきた金メダリストである。しかし、努力してもどうにもならないことが人生には起きる。山下さんは続けた。

 「人間は誰にでも素晴らしいところと足りないところがあると思います。誰一人、自分の力だけで生きてはいけないと思います。障害をもった人と接し行動することは、我々が持っていながら、しかし今の競争社会の中で失いかけている優しさや思いやりの心を我々に呼び起こしてくれる。私はそういうふうに信じています」

(以上、上記毎日新聞サイトより引用)



5月30日のNHKラジオ第2の社会福祉セミナーにも出演するとか聞いたので、自閉症のことだろうか。

小生にはいきなり、非常に心強い同士ができた気がする。スターの一挙手一投足というものはファンにとって、計り知れないほどとてつもなく大きな影響力を持つのだ。それも競争社会の頂点に立った、まさにその人がそういうものの見方をしているという事に深い深い意味がある。



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