将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

将人が3時間走る!

2006年12月02日 | 体育


つい先日、秩父宮記念ロードレース大会が終わったかと思ったら、年末には光の村マラソンが催されるという。毎月定期的に行われている5㎞のマラソン記録会に毛が生えたくらいのものかと思っていたら、何と将人が3時間かけて20㎞走るのだという。

生徒の能力に応じて目標速度は個々に違い、速い生徒は時速10㎞だが、将人はまだ時速7㎞だ。だが、速度の違いはあっても、ごく一部の生徒を除き、走る距離はみんな、中学は20㎞、高校は42.5㎞だ。

何という学校だろう・・・。

7月にもこれに似た事があった。

将人は小学校時代、脱走してばかりいたので逃げ足が速くなっては大変だと思い、敢えて自転車の練習をさせなかった。そのため、光の村に入学した当初は自転車にも乗れなかったが、数回指導して頂いただけでもう乗れるようになり、今や自転車の魅力にとり憑かれたようだ。学校では自転車に乗る機会もそんなに多くはないのだろうが、家庭学校に帰ってきた時には暇さえあれば乗っている。そのせいもあってめきめき上達し、7月末の自転車記録会では59㎞を5時間30分で走りきったと先生から緊急ファックスを頂いた。

あの時も唖然とした・・・。 「できる」「できない」だけではなく、忍耐力をつけて、極めさせようとするのだ。

「光の村は子供たちを追い込む教育をする」とどこからか批判があったらしく、1学期の終わりに「追い込む教育」はしていない、と何度も先生が保護者会でおっしゃっていた。だが、何にもしない、できない将人を、少なくとも初めは追い込んで教育しないでどうするんだ、と本心思った。

実際、4月は暗い顔をして帰校して行った。ただ、不思議に「光の村、行かない。」とは言わなかった。本来どうしても嫌いなものは、「いらない!」とか、「行かない!」とか言えるのに・・・・。帰校のための自動車や電車にも乗った。そして、家庭学校で父と一緒に学校よりきつい筋トレをした。(父は昔からランニングは大の苦手だが、筋トレは得意だった。お父さんは腹筋100回するけど、将人は50回でいいよ、と言えば、時間はかかったが喜んでした。一緒にするのがとても好きなのだ。) そのうち、体力がついてトレーニングが当たり前の事となってくると、入学前の朗らかさが戻ってきて、ふざけるようにもなった。

夏休み前の保護者会は泊まり込みで行われたが、夜、生徒の相撲大会があった。笑いやおふざけもあった。こんなくつろぎもあったんだ、とほっとした。まるでオリンピックの強化選手並みの生活を、毎日強いられているものとばかりに思っていたから。

今日も一緒に家庭学校でランニングした。父が膝を痛めているのを知ってか、はたまた自分の体力が余っているのを知ってか、「お父さんは膝が痛いから、将人はマラソンする。お父さんは自転車で一緒に走る。いいですか?」と聞くと、一瞬、間が空いて、「中学校、10周」と答えた。親父が一緒に走るか、自転車で伴走するか、は全然問題ではなく、いつもしている「中学校の周りを自転車で10周(6㎞)走る」こだわりの方が大事なようだった。

果たして、問題なく自転車で伴走させてくれた。無事8周(4.8㎞)走って、ほとんど息を乱していなかったのは秩父宮ロードレースの時と同じだった。そして、更にいつも通り、自転車でそのコースを10周回った。もう5㎞のマラソンはちょっとついでにする事に過ぎなくなっているのだ。

これなら本当に20㎞を3時間というのも無理ではなさそうだ。

もう、追い込むとか何とかいうレベルの話を超越している。

確かに普通の子が憧れの選手のようになりたいと自ら求めてする、運動部のきつい練習とは違うだろうが、当初はともかく、少なくとも今は嫌な事ではないようだ。まるで「仕事」のようにこなしている。この粘りは将来に活きると確信を持った。



追伸1 :

父の自転車伴走を許した心がなせる技か、今まで何度頼んでもどうしてもくれなかったのに、「将人の明太子、ちょっとくれる?」と食事の時、今回も頼んでみたら、初めて自分から明太子の乗った皿を差し出してくれた。・・・・・・。ここまでが、実に長かった。しかし、運動させる事でどうしてこんな事まで変わるのか、本当に摩訶不思議だ。

追伸2 :

自転車で中学校の周りを10周走る時、もうマラソンしたのだから、後は好きにすればいいと思い、「将人一人で自由に自転車で走ったら」と言うと、それは嫌ならしく、[本当に走らなくとも、自転車の伴走でいいからついて来い]と言う事のようだ。
まだ、見放されていなかった!!\(^◇^)/

追伸3 :

この中学校は、将人が出た小学校の卒業生の半数近くが行く市立中学校だが、先輩も含めて、出会うと驚いたように「石川君!」とよく声をかけてくれる。将人もちょっかい出したり、会う人みんなに「お早うございます!」と言って回る。将人が自分を誇示するかのように颯爽と走るのが印象的だった。自信が出てきたように思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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