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The Town

2010-09-28 16:03:23 | 日記
The Town




ベン・アフレックが監督として再びボストンに戻ってきた。
とても荒削りな作品で、ベン・アフレックの才能と映画作品としての欠点が入り交じった微妙な出来映えだ。
総合評価は3.5星だが、映画の結末に向けての盛り上がりと、カフェテリアでの何気ないシーンの緊張感がこの星に貢献している。

まず本編のストーリーはダグ(ベン・アフレック)とクレア(レベッカ・ホール)のラブストーリーだ。
これがまずい。
無理があってどうしても信じられない。
一生懸命信じようとしたが無理だった。

************ スポイラー アラート ************

クレアとダグは釣り合わない。
クレアは才知に溢れ、地元の子供達に対する奉仕活動に力を入れている。
実際映画の後半では努めていた銀行を辞めて奉仕活動に専念してみると宣言する。
そんなクレアに対してダグは嘘を重ね彼女を裏切る。
クレアはPTSDの原因となったのがダグだと知って愕然とする。
にもかかわらず、クレアはダグを愛し続ける。
聡明な彼女は他人に対する愛に満ちており、凶悪な犯罪を繰り返すダグに対する信頼がたった2分間の会話で回復するとは到底考えられない。
そのストーリー展開は無茶だ。

幾つか光る場面がある。
まず、クリス・クーパー。
アメリカン・ビューティーや Capote で観られたようにここでもピリッと辛みの利いた脇役を務めている。
ピート・ポスルスウェート演じる花屋は世界で最も畏れられている。
Hurt Locker でハードコアの爆発物処理班員を演じたジェレミー・レナー演じるジェームスとダグ、クレアの三人がカフェで静かに会話を交わすシーンは銃撃戦以上に緊張感が高まる。
この場面は、ベン・アフレックの監督としての潜在能力の高さを表している。

情け容赦のない銀行強盗で始まった映画は、血なまぐさい銃撃戦の中を終末に向けて突っ走っていく。
スリリングなシーンを抜けた後は、不条理だが安堵感を覚える大団円を迎える。

こんなに欠点を抱えた荒削りな作品にも関わらず、誰かにこの映画はどうだったかと聞かれれば、何も聞かずに自分の目で判断した方が良い、と応えるだろう。
まさにこの点が、今後のアフレック監督の映画に注目しようと思った理由だ。
素晴らしい監督でなければ、こんなに矛盾を抱えつつも観客に満足感を与えられる映画を作製できる訳がない。