Along with the Mekong

メコン川の流れのように

Destination

2013年02月10日 | タイのこと

敬愛するTUAさんの戯曲Destination。
先週、出版用の翻訳原稿を脱稿した。

タイの民主化運動を背景に
政治に翻弄される登場人物。
そしていたるところに仕掛けられた言葉遊び。
作者の、人への愛と政治や権力に対する毅然とした姿勢が伝わる作品。
けれど決して重過ぎず、ウィットに飛み……
いやいや奥深い作品。

短い作品だけれど、戯曲の翻訳は初めてだし
緊張し、時間もかかった。
ひとつのひとつの単語に集中し過ぎていると
作者が仕掛けた“悪戯”を見落とすことも知った。
こんなにしつこく言葉を考えたこともなかったし
こんなに何回も作品を読んだこともない、と言いきれるくらい
mameにしては珍しく、粘着質気味にいじくりまわしたけれど
それでも、TUAさんが伝えようとしたことやこの作品の魅力の
すべてはとてもとても訳し出し切れなかった……。

幸い、出版に先立ってリーデングという形で上演してくれて
しかも、その場にTUAさんも来日してくれたので
原作の直しも合わせて、日本語版のブラッシュアップをする機会には恵まれた。
後は私のタイ語&日本語のボキャブラリ……
引きこもり生活が続き、失語症傾向の今のmameには
最初からかなり無理をしないと辿りつけないゴールだったのかも。

でも、なにはともあれ、入稿した。入稿、で・き・た

タイの現代戯曲が初めて日本語に訳され、紹介される。
その場にこんな風に関わることが出来た幸運に
震えるほど興奮するmame。

この作品が大好きだし
20年来の友人である原作者のTUAさんはチャーミングだし
リーディングの演出家も役者さんたちも
みんなみんなステキだった。

こんなステキなセッティングをありがとう、
タイ演劇の神様

またここから何かが始まる気がする。
迷子気味のmameに与えられたDestination。
宝物。

 リーディングチーム


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