イギリスの離婚率はかなり高い。2人に1人の子供が親の離婚を経験しているとか。学校の中ではきっと「ああ、お前んちもか」ってなもんなのでしょう。私より一世代前の人であるクリばーちゃんでさえ、「今どき離婚なんて珍しくもない」と言い放ったくらいだもの(ちなみにクリばーちゃんもバツイチ。)
日本の田舎で両親の下、のほほ~んと育った私にとって、健の学校や普段の生活を通して見えてくるイギリスの家庭事情は時々悩ましいことがある。
結婚して、子供ができ、しばらくして離婚。その後新たな出会いがあり、結婚しないまま次の彼との間に子供ができたりする。そしてそのうちその彼とも別れて、また別の男性とくっつくから、子供はみんなお父さんが違っていることがある。
健の友達のお母さん D は10代から次々と子供を生み、一番上の子と一番下の子の年齢差が優に20歳以上ある。子供は全部で8人。上の娘が子供( D の孫)を生んでから、D自身がまた子供を生んだので、小学4年生の子供が小学5年生の子供の叔父さんになるという、なんとも摩訶不思議な状況が発生。初めて聞いたときは図式にしないと理解できなかった(苦笑)。
どー見ても50代に見えるお母さんの彼氏が、先日22歳の誕生日を迎えたり(愛があれば年の差なんて、か・・)。
自由奔放といえば自由奔放。自分を生きているというか、なんというか。。
クリばーちゃんはピーターと離婚した後、ディックと再婚した。この3人、ピー太がこれを過去のこととしてちゃんと割り切っていれば、まだいいんだけれど、彼の話には「私がまだクリス(ティン)と一緒だった頃・・」というのがやたらと多い。私たちがイギリスに引っ越して間がない頃は “お義父さん、一人暮らしで話し相手がいないから・・” と根気よく耳を傾けていたのだけれど、これも6年を超えると聞いてて哀れというか、情けないというか。。
そのピーちゃんがこの10月で80歳を迎えた。娘のヘレン(マークの妹)の提案で、ピーちゃんの80の祝いを、なんとクリばーちゃんとディックの家ですることになった。元旦那の祝い事を現旦那の家でする。まあ、ディックはピーちゃんと特別仲がいいわけではないけど、いがみ合っているわけでもないから問題はないんだろうけど、ほんとに大丈夫なんだろうか。ヘレン一家(大人2人、子供2人の4人)、お兄ちゃんのポール一家(大人2人、20歳の双子、それと今年生まれた赤ちゃん1人の5人)、それにうちの4人の計13人が彼のうちに結集するんだよ。
「ディックの家がバージェス、バージェスするけど大丈夫?」って冗談っぽく聞いたら、「んー、大丈夫じゃない」と即答。彼独特のユーモアだったのか、本気だったのか。。
パーティー当日、ディックの家のリビングでピー太の子供たちがシャンパンやワインをどんどん開けて、「お父さん、80歳おめでとう!!」、「お父さんの80年の人生を振り返りたいと思います」と、彼が生まれてから現在に至るまでのあれこれを紹介。もちろんその中にはクリばーちゃんとピー太の馴れ初め話も含まれているし、二人の結婚式の写真を披露したりもしている。ピー太も「彼女と初めて出会ったのは・・」なんて語ってるし、クリスティンまで「あら、それは違うわよ。あの時は・・・」と話に参加している。まじっ?!
ディックはこれをどんな気持ちで眺めているんだろう。愛しい妻の離婚話や元旦那は彼女の歴史として受け入れるとしても、それはそのまま過去にそっと置いておきたいんじゃないだろうか。私だったらそう感じると思う。
それを元夫の子供たちが自分の家で掘り起こし、生き生きと(まざまざと?)再現し、シャンパンやワインで浮かれ騒ぎ。。
もう少し家主であるディックへの配慮があってもいいんじゃないか。これではあまりにも無神経じゃないか。娘と息子たちが次々にピー太へのスピーチをする中、なんだか私はディックが気の毒になった。彼はソファの端に座って何も言わずにワインを飲んでいた。
でも後日、イギリス人の友人にその話をすると、「えー?ディックは別にかわいそうでもなんでもないよ。みんな大人でしょ。僕がディックなら気にしないよ」と言われた。今度はこっちが「えーっ!?」って言う番。彼の言う「大人」というのをどう理解すればいいのか分からないけれど、イギリスではそんなもんなんだ???
イギリスの家族関係/人間関係はよく分からん。。