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社労士受験支援塾(三好塾)

社会保険労務士受験に役立つ情報をお伝えしたいと思っています。

(労働基準法の判例集(要旨)第9条)定義[労働者]ーその2

2008-01-10 00:59:56 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)第9条)定義[労働者]ーその2


労働基準法第9条(定義[労働者])
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

2.労働者とされた例
(1)取締役等役員
名古屋地裁昭和55.10.08判決
従業員たる工場長が取締役に就任した場合、従業員たる地位と取締役の地位は並存する。

京都地裁昭和50.08.22判決
会社の監査役であっても代表者の指揮命令に従って庶務会計の事務に従事し右労務の対価として報酬を支給されていた者は労働者として就業規則所定の退職金請求権を有する。

次に続きます。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)第9条)定義[労働者]ーその1

2008-01-09 00:59:18 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)第9条)定義[労働者]ーその1


労働基準法第9条(定義[労働者])
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

1.一般論
浦和地裁昭和54.08.10判決
一定の就業関係が法律上雇用か請負かは、実体を観察して判断する。当事者の付した契約名にこだわらぬ。

2.労働者とされた例
奈良地裁昭和27.01.30判決
会社取締役について、労基法、労災保険法においては、その法の目的に適合する如く労働者の意義を定むるのが妥当であり、取締役と雖も、一労働者として実際労務に服する場合、各種の危機にさらされ災害を蒙ることがあるのは自己の会社であると否とを問わず、全く同一であり、ただそのものが自己の会社に勤務するの故をもってこれに対し労働者として労災保険法の保護を拒否するの理由はない

札幌地裁昭和42.02.22判決
副社長の肩書で採用された者もその使用関係の実態から本条の労働者と認められる

次に続きます。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その7)公民権行使の保障ーその3

2008-01-08 02:05:12 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その7)公民権行使の保障ーその3


労働基準法第7条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

2.公の職務の執行
東京高裁昭和58.04.26判決、浦和地裁昭和55.03.07判決
従業員が市議会議員に当選したこと自体を解雇理由とすることは許されないが、これにより業務に支障を来たし社会通念上相当の事由があると認められるときは解雇は正当

大津地裁昭和55.10.17判決
公民権行使に要した時間について無給としたり、賞与等の計算において勤務していない時間と取扱うことは労基法第7条に抵触するものではないが、地方議会議員への就任ということだけを理由として、解雇・休職等の不利益処分に付することは許されないものと解するのが相当である。しかしそれによって労働契約上の義務を遂行することが困難となり、使用者の業務遂行が阻害されるような場合には、阻害の程度に応じて解雇したり、休職させたりすることは、労基法第7条に抵触しない

この項終りです

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その7)公民権行使の保障ーその2

2008-01-07 00:59:28 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その7)公民権行使の保障ーその2


労働基準法第7条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

2.公の職務の執行
最高裁第二小法廷昭和38.06.21判決
公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の就業規則条項は、労基法第7条の規定の趣旨に反し無効

大津地裁昭和55.10.17判決
町議会議員に就任したいという理由だけで、その者に無給休職処分のような不利益取扱いをすることは許されない。
反対
大津地裁昭和58.07.18判決
町議会議員就任により会社の業務を十分遂行できなくなると認められ、無給休職処分は有効

更に続きます。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その7)公民権行使の保障ーその1

2008-01-06 02:21:09 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その7)公民権行使の保障ーその1


労働基準法第7条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

1.公民としての権利
青森地裁昭和35.10.28判決
公職選挙法による被選挙権は本条にいう「公民としての権利」に含まれ、又これに当選して就任すべき議員たる公職は右法条にいう「公の職務」に当たる、

青森地裁昭和37.04.10判決
本条は労働者から公民権の行使等のため必要な時間の請求があったとき、これを拒絶することを禁止している規定であるから「公職選挙法による選挙に立候補しようとするときは会社の承認をえなければならない」旨の就業規則も一概に無効というべきでなく、ただ使用者は労働者からその承認を求められたときは、右就業規則の規定にかかわらずこれを拒みえない。

次に続きます。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その6)中間搾取の排除ーその3

2008-01-05 00:57:01 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その6)中間搾取の排除ーその3


労働基準法第6条(中間搾取の排除)
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

4.利益を得る
大阪高裁昭和25.09.30判決
(イ)会社が各人の年齢技術経験等に応じ各人別に賃金を査定していること、
(ロ)被告人が雇い入れたり解雇したりすることができないこと、
(ハ)被告人が使用者として法律に規定する義務を負っていないこと、
(ニ)被告人が個人別計算給料袋を一括受領していること
等から判断すると
被告人と会社との間には単なる雇用関係があるのみで請負契約ではなく、
これにより利益を得た被告人の行為は中間搾取、

神戸地裁昭和38.12.23判決
労災保険料や失業保険料を分担していても、実態判断において事業の遂行については現場責任者が指揮監督しており、また、日々の出面とその作業内容を記した工事日報についても現場責任者が作成しているもので、被告は単にそれを参照して月毎に稼動時間をとりまとめているにすぎず、これにより利益を得たことは中間搾取。

この項終りです。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その6)中間搾取の排除ーその2

2008-01-04 01:16:08 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その6)中間搾取の排除ーその2


労働基準法第6条(中間搾取の排除)
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

3.他人の就業に介入
最高裁第一小法廷昭和31.03.29判決
民法上の雇傭契約に限らず広く法8条の労働関係に第三者が何等かの因果関係を有する関与をなすをいう。

名古屋地裁昭和37.03.31判決
法定の除外事由がないのに鳶職、土工の賃金について業として他人の就業に介入して利益を得た飯場経営者が懲役刑に処せられた例、

山形地裁鶴岡支部昭和38.06.16判決
法定の除外事由がないのに業として455名の就業を斡旋して斡旋の報酬として約36万円を利得した者が懲役刑に処せられた例。

なお次回に続きます。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その6)中間搾取の排除ーその1

2008-01-03 02:23:29 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その6)中間搾取の排除ーその1


労働基準法第6条(中間搾取の排除)
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

1.何人も
仙台高裁昭和24.06.29判決
部下の賃金の横領が一面本条に触れる。

2.業として
仙台高裁昭和24.06.29判決
反覆継続の意思をもって同条所定の行為をなすことである。

次回に続きます。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その5)強制労働の禁止ーその2

2008-01-02 01:57:45 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その5)強制労働の禁止ーその2


労働基準法第5条(強制労働の禁止)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

4.不当に拘束する手段
東京高裁昭和44.02.28判決
会社が従業員に特別賞与金の引当として取得させた自社株式につき、従業員が定年退職する場合は会社においてその譲渡を受け時価相当の金員を支払うが、定年前任意退職する場合は右株式は原権利者に返還される旨の約定は民法第90条(公序良俗)に違反するのみならず、労基法第5条の精神にも違反し無効

札幌地裁昭和46.01.25判決
現業国家公務員が辞職の申し出をした場合これによって直ちに公務員たる身分が消滅しないとしても憲法第18条[奴隷的拘束及び苦役からの自由]、第21条[集会・結社・表現の自由、通信の秘密]、第28条[勤労者の団結権]ならびに労基法第5条に違反しない

東京地裁昭和50.07.28判決
毎月支給する金員の半額にも相当する程の部分を賃金でなく所定の契約期間を勤続した場合に支給すべき勤続奨励金を引当てとする前貸金であるとし途中退職する場合はこれを返還するとする合意は労基法第5条、第17条(前借金相殺の禁止)、第20条(解雇の予告)の脱法行為に当たり民法第90条(公序良俗)に反し無効

この項終りです。

(担当:社労士久)

(労働基準法の判例集(要旨)その5)強制労働の禁止ーその1

2008-01-01 02:39:53 | 判例集
(労働基準法の判例集(要旨)その5)強制労働の禁止ーその1


労働基準法第5条(強制労働の禁止)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

1.暴行
東京地裁昭和46.04.09判決
手拳で同人の頭部を2回号殴打すること、手拳で同人の顔面を殴打したり、腹部を突くこと。

2.脅迫
東京地裁昭和46.04.09判決
日本刀の鞘を払って右手に振りかざし、いきなり同人の顔面の直前に振りおろし、同人の生命、身体に害を加えるかのような態度を示すこと。

3.監禁
工場出口の硝子戸のタコネジのネジ棒をさしこんでも監禁したとはいえぬから不当に拘束する手段とは認められぬ。

4.不当に拘束する手段
宇都宮地裁足利支部昭和24.05.10判決
嫌みを申し、同人の意思に反していわゆる泊りをさせること、

広島地裁昭和26.05.01判決
辞めるなら前貸してある金や反物又は喰い代を返せと泊ること、

名古屋地裁昭和25.09.30判決
同旨、

水戸地裁昭和25.05.29判決
就寝時に外出着、下着をとりあげて逃走を防ぐこと、

福島地裁昭和23.02.07判決
父が怪我したすらすぐ帰れという趣旨の電報の来て居ることをきいて帰郷の承諾を
求めに来たのに対し右電報を、前に右飯場を逃亡した者達の作り事であるかの様に取扱い帰郷の承諾を与えないこと。

次回に続きます。

(担当:社労士久)