ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

レイク・オブ・ザ・デッド(ジェイ・ウォールフェル監督)

2008-01-13 | Weblog
ストーリー;病に倒れた父親の看病をしているうちに11ヶ月も自宅にとじこまったきりだった娘レベッカ。門限も忘れてバーで知り合った男と夜を明かすが、そのとき自宅でガス漏れ事故が発生。両親はともに亡くなってしまう。罪悪感におそわれて避暑地の別荘に逃避するが、そこは死者が集う「亡霊の湖」だった…。13という数字と数字にもとづく「仮説」に幽霊も人間も縛られて行動しラストはアメリカ的家族愛を完全にうたいあげるという革新的なまでの保守的映画。そのわりには門限やぶりのレベッカはいきなり脱いじゃったりするわけだが、このヒロインではちょっと…。そもそもストレスなんて感じているようにはおもえないほどの血色の良さがDVDの画面にはくっきり映し出されていて、いや別に不健康である必要はないのだが、死者と平気で会話したりしなかったりという物語の流れは、仮説に縛られて身動きのとれなくなったアメリカ市民の行動原理そのまんま、とも思える…。無邪気な資本主義的論理ですべてが動く112分…。
出演;テイタム・アデア、ティム・プリンドル、グレゴリー・ケニヨン
コメント;とんでもないホラー映画だが、でもホラー映画ってこれが本流といえるのかもしれない。途中で「数字の13」について妙な議論が始まり、ヒロインのレベッカは、「エジプトでは13はもともと幸福の数字だった」とか「旧約聖書でも13は不吉だった」とか意味不明の言動を取り始める。罪悪感に襲われている割には、避暑地の別荘でもわりと快適な生活をエンジョイしているようにもみえる。そもそも得体のしれない事件が相次いでいても別の場所に移動しようとはしないわけで…。13年ごとの13日に必ず死者がでて死者がまた死者を呼び寄せる…という粗筋ではアメリカ合衆国の「合理的精神」の表れともいえるかもしれない。幽霊が「数字」に縛られて行動するという発想そのものが、おそらくアメリカ資本主義の精神を無意識のうちに表現しているとも思えるからだ。これが韓国美少女ゴシックホラーでは、数字や論理には縛られない映像展開をするわけで、こうした一種の地縛霊的な怖さを演出するのにはアメリカよりも東南アジアの監督や俳優で映画を製作したほうが成功していたのかもしれない。脚本も監督のジェイ・ウィールフォールが担当していて、ロメロ監督にこの映画はささげられている。もしロメロ監督をアメリカ映画の流れで分析するのであれば、やはりデニス・ホッパーなどの「イージー・ライダー」と「ドーン・オブ・ザ・デッド」のヒットがほぼ同時期で、それまでのアメリカ保守社会に一石を投じる社会派映画であったということについてジェイ・ウォールフォールはあまりにも無邪気すぎたのかもしれない。出来の悪さの中にも意地の悪い「市場主義」は顔をあちこちに出していて、それが不気味といえば不気味。もしこの映画で怖い部分があるとすれば仮説をそのまま現実社会にもちこもうとする得体のしれない精神構造の幽霊達の「考え方」そのものかもしれない。なにせカレンダーといったものまで無意識のうちに精神が肯定しているわけで、これってまさしく近代的な幽霊だな…。

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