ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

IMPRINT~ぼっけえ、きょうてえ~(三池崇史監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー ; おそらく場所は日本。そして江戸時代とも明治時代とも、あるいは昭和前期ともとれないことはない架空の世界の日本の浮き島。遊郭だけが存在するその浮島に向かう船に一人のアメリカ人が乗っている。川の流れにはまた身を投げた女郎の仏様が浮かぶが船頭も秒客も「成仏しろよ」と投げ捨てるだけで、本当に同情している様子はみせない。そして船は浮島につき、名も知れぬアメリカ人は格子によりもしないある遊女に目を留める。かつて自分が愛した女郎「小桃」を探してあらゆる遊郭を捜し歩き疲れ果てたそのアメリカ人はその遊郭に泊まる。そしてその遊女の口から語られる一夜のどこまで真実かわからない「物語」が始まる…。
出演 ;工藤夕貴 、ビリー・ドラゴ 、美知枝
コメント; あまりの凄惨な画像に途中真面目に気分が悪くなる。がどうしても画面に見入ってしまうのは、架空の話なのにとてつもなくリアリティがあるからだと思う。どこまでが真実かわからず、そしてどこが本当のエンディングかもわからないが、見ているうちに「業」という言葉を思い出すのは自分が日本人のせいか。髪型や服装はあきらかにモダンなのにもかかわらず、画面の中に流れているのは前近代的な日本。そしてその空間に紛れ込んだアメリカ人新聞記者は実は、この映画を見ている21世紀の日本人そのものだったりする。過去の「業」から逃れられないまま「銃」で解決しようとするアメリカ人は結局、画面の中の前近代的な世界からは逃れられないという「怖さ」。そして画面の中にでてくるのははてしがないほどの差別の抑圧の重なり合い。どこまでいっても誰かが誰かを抑圧して、最後には正義というものはどこにもないという「逃げ場のないエンディング」を迎えるのが苦痛を通り越して快感にさえなってくる。これが三池監督の「技」といえるのかもしれない。ただただ残虐なだけでなく、ラストに見えるのはおのおのがおのおのの「美学」に酔いしれる時間…。
 ビリー・ドラゴの演技がだれかに似ている…と思ったらクリント・イーストウッドだった。風貌も往年のクリント・イーストウッドを思わせるが、履歴を調べてみると「ペイルライダー」に出演している。悪者保安官の手下役だったと思うが顔つきはなかなかのもの。ただクリント・イーストウッドにはありえない大仰な身振りがちょっといただけない。どうせだったら静かな動きで演技すればよかったのだと思うが…。抑制したぎこちない動きがあれば工藤夕貴の演技との対比がもっと鮮明になったのに…と思わずにはいられない。これがもしクリント・イーストウッドだったらさぞかしもっとすごい映画になっていたのだろう。

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