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 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

グエムル~漢江の怪物~(ポン・ジュノ監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;西暦2000年2月9日。在韓米軍ヨンサン第八基地内部。ブルーに統一された実験室で英語で会話が行われる。西暦2002年6月。釣り人の二人が何か珍しい形の生き物が泳いでいるのを見つける。そして西暦2006年9月…。のんびりした秋空の下で金髪のソン・ガンホが居眠り。テレビでは家族の一人がアーチェリーの試合をおこない、娘のヒョンソが中学校から帰宅してきた。漢江の周辺ではデートにきた人や釣りをしている人などでいっぱい。そして突然、「それ」が漢江大橋のたもとにぶらさがっているのが目撃される…。
出演;ソン・ガンホ 、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ
コメント;終始冷静にカメラが固定化されていて、非常に好ましい。ソン・ガンホのアップで始まり、アップで終わる構成は「殺人の追憶」そのもの。「怪物」のデザインはともかくとしても静かに流れる音楽と、ユーモアあふれる脚本作り。そしてラストでついに画面でも台詞でも明らかにされなかった別の「物語」がこの映画の裏側で進行していたことがわかる。夜の雪が画面の下にしずむラストをみて、観客ははじめて本当のエンディングを知るというすばらしい映画。主役は「怪物」ではなくて、やはりソン・ガンホやパク・ヘイル、そしてペ・ドゥナなどが演じる人間模様。青い色で統一された実験室と二人の登場人物のしらけた会話口調やビンが何本も横に並んでいるシーンが印象的。同様のあらすじ(たとえば映画公開時には日本の漫画「機動警察パトレイバー」との類似点などが指摘されたが、たしかに似てはいるが「パトレイバー」以前にも映画「アリゲーター」があったわけで、やはりこの映画は似ているようでぜんぜん違う別個の映画だろうと思う)の映画や漫画は多数あれど、この韓国という国が1980年代から続けてきた一つの歴史の流れがこういう形の映画や映像になって登場するのかと思うと非常に興味深い。日本ではやや韓国より早く1960年代安保でさんざんデモ行進した人間が大企業の管理職や国家公務員のキャリアになっていた時代とおそらく雰囲気が似ている。スローモーションというワザが多少使われてはいるのだが、すばやい動きをなるべく固定化して撮影を重ねていく作品の作りこみ画本当に素晴らしい。怪獣映画というよりもおそらく「人間模様」がどんどんかさなっていく映画なんだろうと思う。秋がすぎて冬が訪れる頃の演出となるともう無駄な台詞がまったくなく、観客は見ているだけですべてが把握できるという演出の凄さ…。

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