ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

愚かなる妻(エーリッヒ・フォン・シュトロハイム監督)

2008-01-12 | Weblog
ストーリー ;モンテカルロの町にやってきた自称ロシア公国竜輝兵大佐のカラムジン。自称伯爵の彼は娼婦二人を従姉妹と偽り、モンテカルロにやってきたアメリカ行使夫妻に狙いをつける。お金は贋金作りに依頼して調達して、詐欺をたくらむが…
出演 ;エーリッヒ・フォン・シュトロハイム、メイ・ブッシュ、モード・ジョージ
コメント;1921年作品。白黒映画の一つの頂点を極めた作品。ユニバーサル映画はこの映画のために一時期倒産しかかり、エーリッヒ・フォン・シュトロハイムを解雇。もともとは30巻あった長編を10巻に縮小して公開する。ストーリーは1921年とは思えないほど「残虐」といっていいかもしれない。自称伯爵の浅ましい人間性が時間軸を追うほどに明らかになっていき、ラストはモンテカルロの下水道に捨てられる。とてつもない予算枠のはみだしは、とてつもない迫力を確かにうむ。偽の涙を流すためにフィンガーボウルの水を使ったりといった小技もあちこちあるが、大セットを組んでモンテカルロの街を再現し、さらにラスト間際で炎に包まれる迫力もCGでは演出できない凄みである。なにせ無声映画なのにホテルの部屋にすべて電話を配置したという完全主義者。女優の着ている衣装が風になびく場面も本当の絹でできているのであろうと思わせる上品なたなびきだ。そしてそれと対照をなすお手伝いさんの機能的で質素な部屋。
 すさまじいまでの人間の浅ましさをこれでもかこれでもかと繰り出す手法は、「純愛」といった言葉もかすむほどの悪辣ぶり。映画史上に残る傑作だがこれがまた現在ではDVDで入手可能(30巻全部を収録したDVDもあるようだ)だから嬉しい。モナコ公国の雰囲気と当時の世相をしっかり画面に焼付け、垂直に女性の部屋をめがけてののりつづけるカラムジン伯爵の姿が鬼気迫る。本当にむごい怪物とは実は人間だったのだと1921年の映画で語りつくされているようだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿