ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

オペレッタ狸御殿(鈴木清順監督)

2008-01-05 | Weblog
ストーリー;「がらさ城」の跡継ぎ雨千代は、父親からその美貌を妬まれて、襲撃されるが狸姫に救われる‥
出演 ;オダギリ・ジョー、チャン・ツイィ、由紀さおり
コメント ;ストーリーはあってなきが如しの映画だがとにかく監督の演出力がすさまじい。低予算の中でありえない美学を追求する。チャン・ツイーがなぜか追いかけてきて一こまづつ巨大になったり、明らかな書割の舞台の上にポルトガル人やスペイン人がくつろいでいたりする。だが奇をてらうだけのよくある三流映画と異なるところは、すべてがいろいろな過去の映画とつながりをもちつつ、さらには意表をつく斬新な画面で観客をあきさせない。「関東無宿」という映画と比較をすれば、いかさま賭博の階段の下にはってあった針金と、チャン・ツイイーと薬師丸ひろ子が「綱引き」をしながら唄う場面は明らかに映画的模倣だし、チャン・ツイイーが平幹二郎に刺された場面で空に赤いデジタルの線が走る場面は、小林旭が人を二人袈裟懸けに切った後、襖が倒れるシーンを彷彿とさせる。だが、一番の凄みはオダギリ・ジョーとチャン・ツイイーが恋に落ちる場面を二人がタップをふむ数十秒のシーンですべてみせてしまうところだ。つまりセリフなどにはあまり重きが置かれておらず、場面場面ごとにダンスとオペレッタが挿入され、絵画の中を三次元的に俳優が浮遊する。ありえないはずの映画がなぜか成立してしまい、「チゴイネルワイゼン」などでは時間的配列をまったく無視した構成をしていた鈴木清順はこの映画では空間的配置や民族的な背景すらのりこえた独自の空間を作り上げたのだ。すごい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿