ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ(三池崇史監督)

2008-07-30 | Weblog
キャスト:伊藤英明,佐藤浩一,伊勢谷友介,小栗旬,安藤政信,松重豊,香取慎吾,境雅人,石橋貴明,木村佳及,香川照之,桃井かおり,クエンティン・タランティーノ,塩見三省

評価:☆☆☆☆☆

コメント:もう見逃すのは勿体ないというほどの日本映画の傑作ウエスタン。テーマソングはなんと北島三郎。クリント・イーストウッドへのリスペクトがあちこち散りばめられており,「ペイルライダー」「荒野のストレンジャー」のような「名前のない男」に伊藤英明が扮する。寡黙で目的が見えないその役まわりは「荒野の用心棒」そのまま。そしてラストの雪化粧の世界は,ロバート・アルトマンの「ギャンブラー」を思わせる。「どこにいようが,自分がどう世界と向き合うかだ」と言い放つヒーローの台詞と「平家物語」「ヘンリー6世」の台詞が飛び交う無国籍舞台設定は,そのまま三池崇史監督のテーマになっている。看板や墓石などもちゃんと画面には出てくるのだが本質的な「標識」ではなくすべて右から左へ「あてよみ」するように標識として掲げられ,日本映画という分類もあてはまらない。なにせ「畑根」と書いて「(ねばだ)」と読ませる趣向で,源氏の与一の部下の名前はなんと「松坂」と「桑田」。木村佳乃が映画の中で踊る姿はシャーマニズムを思わせ,時代の感覚すらむちゃくちゃになっている。季節の感覚もでたらめにあえて配置されており,ススキの中を走る平家の赤い馬の群れの美しさのあとに,突如雪が降り始めるなど,場面場面に応じた美学が貫徹。映画の中で「良識」のシンボルともいえたアキラ(小栗旬)はとんでもなく残虐な殺害をされる。そして対立する二派にはさまれた「保安官」(香川照之)は二重人格の症状をみせはじめ,源氏のあじとにかざってある「寄贈 三末屋岡林」の鏡にむかって演じる「どっちにつこうか…」と迷う当たりから,時代設定を超えた映画の中でさらにもっと違う世界にリープしてしまう。近くに住む先住民のトランペットの音色をきいた「義経」が「洗練されてはいないが深い」と評する場面があるが,粗筋も設定も洗練されてはいないが見ていると深い世界がどんどん表出。山の中平八の吹く音色と雨が降る様子がまた見事。殺害シーンが多い中に微妙な笑いも取り入れて「死と笑い」の世界が続けざまに登場するのも観客をあきさせない。「血まみれの弁天」として桃井かおりがひさかたぶりのアクションシーンを見事にこなすシーンも痛快。「サヨナラだけが人生だ」となぜが画面に大写しにされたあと,名前もなにも残さずに立ち去るノーネイムマン。西部劇の真髄と源平物語のスキヤキ・ミックスをハクサイの甘みを引き出してうまく調理したような映画。痛快である。

ストーリー: 壇ノ浦の戦いから数百年が経過。平家の落人が開拓した山村には昔から埋蔵金伝説が存在した。他の埋蔵金伝説のある村で本当に埋蔵金が発掘されたことから,静かに暮らしていた村によそ者が埋蔵金めあてに殺到。さらに平清盛(のちにヘンリーと改名)が率いる平家軍団が入り込み,事態が沈静化するかとおもいきや「祟りがあると書かれた木簡」が発掘されたことから,源義経が率いる源氏軍団は宝が発掘されてから横取りする作戦を展開。そこへ登場した流れ者ガンマンが両者のバランスを覆し,村はとつじょ銃弾が飛びかう世界へ…。

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