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 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

BONES~骨は語る~第2シーズン第23話~第43話(ハート・ハンソン総指揮)

2009-05-17 | Weblog
キャスト;エミリー・デシャネル、デヴィッド・ボレアナズ、ミカエラ・コンリン、エリック・ミレガン、T.J.サイン、ジョナサン・アダムズ

評価:☆☆☆

コメント:第1シーズンよりも第2シーズンのほうが確実に面白い。ほぼ毎回でてくる映画ネタもなかなか楽しいうえ、テンペランスの思わぬ方面の博学ぶりがさらに披露される。ただ現実世界でこういう女性が間近にいたら確かに嫌かもしれないが…

第23話「遺された想い出」(The Titan on the Tracks)  2両脱線、1両横転の鉄道事故が発生。ブレナンはそこで新しい研究所所長カミール博士と会う。この23話では株式売却が下敷きになっているのだが、「カラ売り」の構図がわかっていないとオチもわからなくなるかもしれない。株式の時価がこれから急落すると予測した場合には、先に株式を売却する契約を結んでおく。そして実際に株式の時価が急落したところで株式を安く購入してあらかじめ決めてあった高い価格で売る…というのが「空売り」。通常の商取引では安く仕入れて高く売るが、この場合には高く売ってその後で安く仕入れるという構図になる。鉄道事故がどうしてラストにつながるのかはこの「空売り」がわかっていると「なるほど…」ということに。

第24話「断ち切られた絆」(The Mother and Child in the Bay)  ここで出てくる「スパム」とは食べ物のランチョンミートのこと。ホットでスパイシーな肉の缶詰だが、スパムを使った実験では法廷で勝てないというのはランチョンミートと実際の人体とでは比較の対象にならないという意味。自らの子供を神に捧げようとした旧約聖書のアブラハムについてブレナンとシーリーが激論を交わす。そして人骨を丹念に分析していった結果、猟奇殺人事件と思しき母と「子」の死体は別の要因がからんでいることが判明してくる…。そして3D分析の結果、犯人の身長は1メートル61センチ前後…

第25話「ジュリエットの悲劇」(The boy in the Shroud) 原題のshroudは「経かたびら」「屍衣」のこと。被害者が未成年の場合にもFBIの管轄事件になるとのことで清掃車が交通事故を起こしたときに死体が発見される。ハーバープラザに住み、マサチューセッツ工科大学への進学が決まっていた優等生だった。確かに「ロミオとジュリエット」の台詞は引用されるのだが、このドラマもまたアメリカの日本以上の格差社会を残酷に描写する。ロケーションでアメリカ植物庭園での撮影がある。 「知りませんでした…。知らないままであったのが早すぎて、そして知ってしまったのは遅すぎて…」(ロミオとジュリエット)

第26話「殺人ゲーム」(The Blonde in the Game )  7~8年前に殺害された死体が発見。連続殺人犯エップスの犯行と思われた。このドラマではゲーム理論が登場してくる。「バットマン」でも「囚人のジレンマ」が登場していたが、このドラマでは「N人の合理的な人間と非実行エージェント」が登場するゼロサムゲームという構図。減菌作業に用いられるエチレンオキシドという物質が鍵となる。そして映画へのオマージュは「ジャスパー」
 確かにこのドラマでは「ゲーム」が演じられているのだが、ゼロサムゲームという言葉が表すように勝者と敗者が厳然と存在し、テンペランスとエップスのどちらかが勝ち、どちらかが負けるゲームとなる。ゲーム理論も普通の経済学と同様にプレイヤーは自己の便益を最大化しようとして行動する。テンペランスにとっての最大の利得は「真実」と「犯罪の防止」で、エップスにとっての最大の利得はテンペランスを「罪悪感」に陥れることだ。エップスは数々の「謎」をテンペランスになげかけるが、「解けない」あるいは「答えがない」といった謎は出さない。最初から解けない問題だった場合にはテンペランスには罪悪感が生じないので、必ず正解が存在する謎を出す。そして与えられた条件の下で解決可能な問題を出された…という想定でテンペランスは行動する。ゲームツリーをたどっていくと最終的に合理的な「解」に到達する。それは果たして表面的な出来事だけで勝敗を決めれるかどうか…。

第27話「嘘に溶けた真実」(The Truth in the Lie) 地図でみると隣同士のメリーランド州とバージニア州に2つの家庭を持つ男が特殊な形で殺害された。ちょっとひねりにかけるが、バードショットのくだりで「副大統領は失敗したぞ」というのは2006年にチェイニー副大統領がウズラと共和党支持者を間違えて撃ってしまったという事件。最初から最後まで「嘘」だらけの中に一つだけ真実があり、その「真実」が真犯人をあぶりだす。

第28話「スイートルームの女」(The Girl in Suite 2103)  麻薬対策会議の議場が爆破されたが、その場に謎の女性の死体が…。コロンビアの麻薬組織に対抗するためにエクアドルの麻薬調査官や神父などが終結しているところを爆破された。国務省のラモスはFBIの捜査を好ましく思わず、容疑者である外交官親子をコロンビアにそのまま戻そうとするが…。9・11の事件後は国務省では海外送金のデータベースを作成しているというエピソードもちらっとでてくる。「仏教の無我の境地よ」とテンペランスは東洋哲学の知識もみせる。また「安物の靴に高い時計、そういう女性だったってことです」というホテルの従業員の観察眼の鋭さを思わせる台詞も。

第29話「幼きクイーンの悲劇」(The Girl with the Curl)  約2,900キロメートルの長さをもつパイプとつながっている給水場で幼女の死体が発見。歯にはラミネート加工がされ、コルセットのあともあった。変質者の犯行かと思われたが…。「ローマ滅亡の原因は美の追求よ」というテンペランス独自の哲学が披露される。もっとも実際には寒冷化が進んだことによってフン族が西へ移動、そしてゲルマン民族が移動し、ローマ帝国自体も寒冷化で作物が不作となり、国力が衰退していったという説もある。農業生産が基本だったローマ帝国にとってもゲルマン民族にとっても遊牧民族にとっても寒冷化による作物不作はやはりあまり喜ばしいことではなかっただろう。テンペランスはそうした諸事情も考慮して「食べるものより美を追求しすぎた」ということが言いたかったのかもしれない。

第30話「砂漠に捨てられた女」( The Woman in the Sand )  直径7・6センチのバットで殴り殺された死体のほかに全身に打撲傷のあとがある女性の死体も発見。映画「ファイト・クラブ」のよりリアリティを増加させたバージョンともいえる。ギリシア神話の英雄ペルセウス(メドゥーサを退治した英雄)などの造詣ものぞかせる。テンペランスが1920年代の女優クララ・ボー(映画「つばさ」など)のマネをする場面も。クララ・ボーの私生活と「BONES」でのテンペランスの複雑な生い立ちが重複するシーンでもある。

第31話「届かぬ地中の叫び」(Aliens in a Spaceship )
 通称「墓堀人」とよばれる正体不明の身代金誘拐犯。ジャックとテンペランスの2人が墓堀人に監禁され地中に車ごと埋め込まれる。誘拐の専門家もこれまで5回この「墓堀人」に遭遇しているが証拠の痕跡もみつけられない…。

第32話「眠れぬ森の魔女」(The Headless Witch in the Woods )
 明らかに「ブレアウィッチプロジェクト」にヒントを得た作品だが、「ブレアウィッチ」よりも面白18世紀の魔女狩りの被害者マギーが自分の首を探しているという設定。ドラマの中では「エクソシスト」「エルム街の悪夢」といったホラー映画の古典の引用も。また英国ロックバンド「マッシブアタック」なども台本に引用されている。現代版ギルガメシュ叙事詩を作成しようとした映画学科の学生の首なし死体事件。

第33話「過去からの告発」(Judas on a Pole)
 アビーがいよいよ博士論文の審査を受けるシーンから始まる。その最中に元FBI捜査官が殺害され、容疑者としてブレナンの父親が浮上してくる…。事件の背後には1978年の公民権運動が、そして両親が銀行強盗として活動していた背後にもその公民権運動で冤罪をかけられたマーヴィン・ベケットという終身刑を受けた人物が…。「血の復讐」という民数記の穏便でない言葉が引用される。「小さな謎」から「大きな謎」への解明が始まる。

第34話「最後の勝者」(The Man in the Cell)
 連続殺人犯でIQ180のエップスが脱獄。やはり「ゲーム」の続きをするが目的はテンペランスの「罪悪感」に変わりはない。「これから起こるすべてのことは君のせいだ」という台詞で2回目のゲームが開始される。しかし1回目と同様にエップスのしかけるゲームの「始まり」はすべてシンプルで、アディは「ブール検索」で最初の謎は難なく解いてしまうのだが…。考え方の異なるホッジンスとシーリー・ブースの間で「物事を正す…というその方法がよくわからない」という会話がでてくるのが印象的だ。

第35話「沼に沈んだ青春」(The Girl in the Gator)
 フロリダ州マイアミが舞台。ただし「マイアミ・バイス」が太陽光輝く地域を舞台にしているのに対して、このドラマではフロリダ半島南部のエバグレーズ湿地帯が舞台となる。独特の生態系をもつ湿地帯として有名だが、この回ではgatorとアダルトサイトの経営者が登場する。そのアダルトサイトの王とファンに「神の声」を伝えるという設定でキリスト教系新興教団の牧師が登場するが、カンザス出身。宗教的に「熱い」風土というのがカンザスのイメージなので、カンザスから来た牧師とバスで移動するウェブサイトの運営者という対立図にしたのかもしれない。
 その一方でブース捜査官はピエロの看板に「発砲」したということで精神科医のカウンセリングを受けるという妙に面白い構図である。「炉というのは家の中心という意味だ」とか英国出身のゴードン精神科医にあれこれ言われているシーンも面白い。「アスペルギスウスタス」という特殊な菌が登場するがテレビ画面でみる多様な種類はなかなか。

第36話「友情とルールのジレンマ」(The Man in the Mansion)
 ジャック・ホッジンスが主人公となる。一方、テンペランスは新しい恋人サリーとデートを重ねるが、サリーは一向に「大人」としての行動にでてこない。あだ名が「ピーナツ」ということで、おそらくゴールデンタイムの人気番組であるにもかかわらず「あのね、筋肉とか収入とか抜け毛とか性器の大きさとかを気にするのは男性だけなのよ」とか(個人的に)驚愕するような台詞も登場。この回でもゴードン精神科医が登場してブースに「思考の変化」を与える。

第37話「赤いテープ」(The Bodies in the Book)
 FBIのサリー捜査官と恋人になったテンペランスだが、テンペランスの作品の模倣犯が現れる。容疑者はそれぞれ現れたがいずれもアリバイがある。しかし3つの死体を精密に調査していくうちに、テンペランスは奇妙な「異なる点」に気づく…。映画「コピーキャット」のちょうど逆をいく作品だ。また薬物反応がない…という矛盾を見事に科学的にも納得できるオチにしてくれている。完成度が高い。

第38話「骨のない死体」(The Boneless Bride in the River)
 湖の中に古めかしいトランクと骨を抜き取られた死体が発見された。結婚紹介所の断定的な相性テストに対してテンペランスが「人間には何万もの要素があって400やそこらの適合性だけで相性は決まらない」と反論するところが面白い。
 また移民対策としてだろうが、「婚約ビザ」は90日以内に実際に結婚をしない場合には国外退去になるというシステムも初めて知った。「ライコウトウ」という漢方薬が登場するが、トリプトリド化合物を含む実際にかなり扱いが難しい薬品らしい。
 脚本家がどうやって中国山西省に伝わるこの「陰婚」もしくは「冥婚」とよばれる風習を知ったのかは定かでないが、未婚の独身男性が死亡したときに未婚の女性も一緒に埋葬する儀式で山西省ではまだ現存する儀式だ。ドラマの最後のほうでなんらかの儀式が行われようとしているがこれは「陰婚式」だろう。
 この儀式で犠牲になるのはやはりなんらかの理由で家計の足をひっぱる若い女性で殺人事件そのほか人身売買も起こっているという。このドラマでは2万5千ドル(約250~約270万円)という金額だが中国では約50万~60万が相場らしい。ドラマのラストで「人生なるようになる。焦らないで、しかし準備だけはしておこう」というシーリー・ブースの言葉が暖かい。

第39話「神の庭の犯罪者」(The Priest in the Churchyard)
 200年の歴史をもつ墓地で給水菅が破裂し、死体が地面に投げ出されてしまう。埋葬記録とともに死体と墓地の確定をテンペランスは進めていくが、明らかに数年しか経過していない死体が発見される。
 「ドルイド僧が神聖な木と考えたものをキリスト教が取り込んだ」というテンペランスの台詞は、樫の木とヤドリギを指す。フランスではもともとドルイドの影響が強かったがその上に塗りたくるようにキリスト教が伝播していったことを鹿島茂が指摘している。そしてキーとなるのが銀の聖杯。第41話ではブロードソードが台詞の中に登場するが、この回周辺はアーサー王伝説に題材をとったものがいくつかある。日本にも植生しているイチイの木とイチイに含まれるタキシンというアルカロイドが鍵となる。「Journeys end in lovers meeting」というシェイクスピアの台詞が引用されるのが心にしみる。

第40話「君を諦めない」(The Killer in the Concrete)
 コンクリートの中から死体が発見され、さらにテンペランスの父親も関係が…。そしてウエストバージニアのマフィアが登場するが素朴な風体がリアルでちょっと怖い。ワシントンDCとはもちろん別の州だが設定としては日本の東京からちょっと郊外…という感じになるだろうか。

第41話「切り裂かれた栄光」(Spaceman in a Crater)
 空から人間が落ちてくるがそれを評して「原子心母(ピンク・フロイド)みたい」という台詞が面白い。宇宙で重力が低いと骨がスカスカになってしまうという話はこのドラマではじめて知る。「ブロードソードみたいな刃物」という台詞はアーサー王伝説の一つで、岩に刺さっている剣をひきぬいたものが英雄となるというその伝説の剣。

第42話「光る骨」(Glowing Bones In The Old Stone House)
 日本の「スシ」が題材。マグロの握りやツナの握りなどをシーリーが頼むシーンが印象的。「スシビート」というオリジナルのネーミングやカリスマシュフのメニューなどは確かに美味しそう。

第43話「愛ゆえの選択」(Stargazer in a Puddle)
 22口径以下の銃で撃たれた「子供」らしき死体が地下から発見される。「物事は二律背反では進まない…」というアディの独白が印象的。DNAヘリカーゼという一種の「酵素」が働かないことで発症する場合があるともいわれているウェルナー症候群が登場する。きわめて稀な症例の中でもさらに稀な症例ということになるが、日本人でスシを毎日食べていても「光る骨」(42話)になる人はめったにないのと同様で通常とは異なる事件なのでより深くて広い洞察が必要になる…という設定だろう。HIVの増殖をおさえる「ネピラピン」というお薬も登場。


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