ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

マジェスティック(フランク・ダラボン監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー ;1951年、アメリカでは非米活動調査委員会がいわゆる赤狩り(マッカーシズム)の嵐が吹き荒れていた。「サハラの盗賊」でスタジオから一定の評価を得た脚本家ルークは次回作「灰から灰へ」のクランクイン前に共産主義活動の疑惑をかけられ、その前途を閉ざされ、恋人の女優からも別れ話を切り出されて、酒を飲んで海岸線をひた走る‥。
出演;ジム・キャリー、マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン
コメント;コメディ俳優のジム・キャリーがハリウッドの暗い歴史である1951年当時のハリウッドを描く。1951年は朝鮮戦争が勃発した年でもあり、アメリカとソ連は朝鮮半島で代替戦争をしていたともいえる。マッカーシズムにより、ハリウッドでは「ハリウッド10」とよばれる10人の映画監督や脚本家らがいずれも失業したり投獄されたりした。この映画の巻頭でさりげなく撮影されている「アフリカの女王」の監督はマッカーシズムと戦ったジョン・ヒューストン。台本の端々に「ドレフェス事件」「エミール・ゾラ」「Dデー」‥といった当時の世相を象徴する言葉が描き出される。
 ジム・キャリーはローソンという街で映画館の復興に携わるが、そこでかかる映画もまた「欲望という名の電車」(エリア・カザン監督)や「地球の静止した日」(ロバート・ワイズ監督)などいろいろ「深読み」ができる構成で、しかも映画中の映画「サハラの盗賊」ではイスラム教徒とキリスト教徒が戦うシーンで「この異教徒め」といった台詞まで用意されている。
 
 とにかく老人役がいずれも渋くしかもかなり多くの重要な役割を演じている。街自体が若者が第二次世界大戦で戦死したという設定のせいかもしれないが、こうした老人役の多数の起用はこれまでハリウッドが忘れてきたもの。そしてまた、懐かしい蒸気機関車の走るシーンもまたすばらしく、車窓からみえる緑の木々がまた美しい。お相手役のローリー・ホールデンはブロンドの美女を演じるがこれもまた1951年にふさわしい設定だ。再興される映画館の名前が「マジェスティック」(威風堂々)。この厳しい思想統制の時代に、脚本家はいかなる形で「威風堂々」を貫こうとするのかが見もの。また、「アメリカ独立宣言」を「契約」と表現するのはかなり意味が重い。世界中で唯一「社会契約説」にのっとって国家を設立したのがアメリカ合衆国。その契約を重んじるか「紙切れの一枚」とするかでは意味合いが日本とまったく違う。そして映画館をフレッド・アステアなどの神々が降臨する神殿にたとえるのもユニークだ。

 この1951年当時にはハリウッドは思想的に非米活動委員会に圧迫され、商業的にはテレビの進出に圧迫される。この苦しい時代の暗い部分をかなり暗く、そしてまた一抹の救いをもって描いたのがこの作品。疑惑をかけられたことで自殺した映画人もいたらしいので、この映画の主人公のような真似は自分であれば‥多分、できない。ただし、おそらく1954年をピークに下火になっていったこのマッカーシズムもおそらく本当の神(社会契約説に唱える「神」、つまりアメリカ合衆国憲法)の前には「歴史上の汚点」としてのみ記録される結末となった。あれから約50年。21世紀にこうした映画が撮影される意味は政治的に大きく、そしてまた映画の中できらめきをみせる水の青い光や緑色の光は、セピア色の写真ではかもし出せない美しさをみせる。

 この映画のモデルは「ハリウッド10」の一人であるダニエル・ゴランボ(「ローマの休日」)とされているが、物語の伏線はさらに別なところにも多々用意されており、映画ファンなら楽しめること間違いなし。

愛しのローズマリー(ボビー&ピーター・ファレリー兄弟)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー;厳格な牧師を父にもつ9歳のハル。今わの際に父親の残した言葉がトラウマとなり、「女性は見た目」で一方的な勝負を続けるハルだったが高名なカウンセラーとエレベーターの中に閉じ込められたことから、「心」で女性をみるようになり‥。
出演;グウィネス・パルトロウ、ジャック・ブラック 、ジョー・ヴィッテレッリ
コメント ;画面や演出には文句をつけたくなるところが山ほどあれど、それでも「泣ける」ストーリー。アカデミー主演女優賞を「恋に落ちたシェイクスピア」で受賞したグウィネス・パルトロウが「笑い」「特撮」に挑戦。見事にそして成功。はかない表情とさりげない演技に胸が熱くなる。ブラック・ジャックは、導入部分では「ややテレビ」的な演技だったが、ラストに近づくほどに味わいのある表情をみせるようになる。高名なサイコセラピーのアンソニー・J・ロビンスが本人役で登場し、実際に脊髄に支障を」きたしているレネ・カービーなどが出演。
 ストーリー自体は当初の「予測」を裏切り、どんどんシリアスな方向へ。「美人~性格が悪い」「国際ボランティア~心が優しい」といった二元論で切り捨てるのではなく、どんでん返しの連続のこれぞラブコメといったストーリー。

(キリバス)
 映画の中にでてくるキリバスはオーストラリアの近くに存在する南太平洋の島。観光収入に頼る部分が多いものの映画の中で言及されているように経済状態はあまりよくないようだ。ただし公用語は英語なので、国際平和部隊が行くにはコミュニケーションが取りやすいのかもしれない。
(シエラレオネ)
 これも映画の中ででてくる国名。キリバスよりも状況は深刻でアフリカ西部にある国。寿命が世界一短い国といわれている。
(パメラ・アンダーソン)
 いわゆる「セクシー女優」だが動物愛護運動もしているらしい。パメラ・アンダーソン以外にもレベッカ、ブリトニー・スピアーズなどの写真をあらかじめ見ておくと、ちょっと「わかる」部分が増えてくるかも。主人公の好みがかなり高い水準にあることがわかる‥。

ブレイブハート(メル・ギブソン監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー;スコットランドはイングランドとの圧制に苦しんでいた。13世紀、あまりのエドワード1世の非道な政治にある農民が立ち上がる‥
出演;メル・ギブソン 、ソフィー・マルソー、ブレンダン・グリーソン
コメント;この映画ではフランスとの100年戦争がエドワード3世によって開始されるちょっと前からおこなわれていたスコットランドとイングランドとの戦いを描いている。関連作品として「ジャンヌ・ダルク」や「タイムライン」があげられるだろう。「タイムライン」では現代から当時のフランスに渡った人間はフランス人に「スコットランド人だ」といって言い訳をする場面があるが、ある意味ではフランスとスコットランドとはイングランドを敵としている部分で共通していたのだろう。
 ソフィー・マルソーがエドワード2世に嫁ぐシャルル4世の妹イサベラの役を演ずる。映画の中でも弱気な「ゲイ」として描かれているエドワード2世だが、その後、イザベラとの不仲が原因で王位を奪われ、1327年にバークレー城で暗殺される運命にある。このエドワード2世の父親エドワード1世はヘンリー3世の息子で模範議会などを召集し、貴族の反乱を調停した人物。血も涙もない王として描かれているが国内外の状況を考えれば、エドワード2世に王位を継がせることに執着しすぎた感もある。スコットランドは結局、その後14世紀にロバート・ブルースが独立を達成。ただし1603年にエリザベス1世が死去により、スコットランドでいえばジェームズ6世(イングランドとしてはジェームズ1世)が即位し、同君連合といわれる形となる。
 映画では、おもに「自由」を求める平民ウィリアム・ウィレスの人生を描く形式だが、スコットランドのハイランドの風景がいかにも綺麗で、この映像だけでも十分楽しめる。貴族と平民、農民といった階級間のいがみあい、もしくは土地税などとイングランドの関係は、西洋では一般教養として扱われているのだろうから、ある程度世界史の知識があるとかなり楽しめる作品だ。ただおしむらくはメル・ギブソンの演技は「リーサルウェポン」とさして変わりがない味気なさ。監督業に専念するというのも一つの方策なのかもしれない。100年戦争はその後エドワード2世の子エドワード3世が、カペー王朝の断絶に付け込んで始めることになる。映画のちょっとした隠し味を考慮すると、エドワード3世というのは‥ということになるのだが‥。このエドワード3世自体は再びスコットランドに大きな影響力をもたらすので、解釈は歴史的には難しいところだろう。
 
 その後のイングランドの話だが、まずはエドワード1世自体は英国国民にさして人気がなかったわけではなかったらしい。当時はすでにマグナカルタがあったが議会の操縦もうまかったようだ。
 ウェールズ人を敵に回してケルト人の首領レヴェリンをまず殺害するが、これが現在のウェールズ独立運動のシンボルとなってしまう。映画の中でもウェールズ人がスコットランドと手を組むシーンがあるが、それは当時、このエドワード1世がウェールズを攻め込んだためだと思われる。ウィリアム・ウィレスは実際には絞首刑の後体を4つに裂かれてしまう。ブルースのロバートはその後スコットランドの王となり、フランスと手も組む。エドワード1世はこのロバートを追いかける途中1307年に68歳で死亡。羊毛税を引き上げて議会を怒らせるがなかなか見事な君主だったらしい。一方、映画の中でもやや頼りなく描かれているエドワード2世だが、「親友」の二人は事態をこじらせたため、地方の貴族に殺害されてしまう(映画の中ではエドワード1世が殺害していたが)。そして1314年にスコットランドのロバートにバノクブーンの戦いで敗北する。採取撃てて金はその3年後の1327年に退位させられる。映画の中でソフィー・マルソーが演じていた奥さんに殺害され、井戸に放り込まれる。
 そしてウィリアム・ウィレスの子どもという設定のエドワード3世が登場。かなり華やかな消費生活を送るが、このエドワード3世が百年戦争を始める。さらには、黒死病がはやり始める。晩年はやや寂しい人生だったようだが‥。しかしその後を継いだリチャード2世は、ロンドン塔に閉じ込められて殺害。その後のヘンリー4世は直接の家系ではないので、実は映画のオチとしてはあんまりうまく言ってない気もするのだがな‥。

チェ・ゲバラ(マルセロ・シャプセス監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー;1928年生まれのアルゼンチン人エルネスト・ゲバラの主にメキシコからキューバ革命樹立までの時代を描くノンフィクションルポ。
コメント;チェ・ゲバラというのは実はあだ名で本名はエルネスト。「チェ」は「you」とかそうした意味合いに近いようだ。愛称なのだろう。キューバでなぜ共産主義革命が成功したのかは、やや不明なのだが、少なくともカストロとこのゲバラという歴史に残る人物が大きな役割を果たしていたことには間違いないのだろう。映画の中ではゲバラが武装革命のみならず、冷静に東欧社会主義の限界をみすえていたことも紹介している。実際に東欧社会主義は崩壊してしまったわけだが、貿易や教育といった社会的基盤を重視する方向性は当時の共産主義運動では相当に珍しかったのだろう。また共産主義者の多くは政権をとると同時に「私腹をこやす」「極端な弾圧を加える」といった例がみられるが、キューバの場合にはカンボジアのような大虐殺もなければ、文化大革命のような思想統制もなかった。ゲバラはなんとアメリカで演説をしたり、フランスでサルトルなどと対談をする一方で産業も重視するというかなりの戦略家だったのだが、この39歳でボリビアで殺害される人物がなぜにここまで歴史や社会の行く末をみとおしていたのかはまったく不明だ。勇敢であると同時に自らの苦手な部分をも認識していたというこの人物は、「権力を握らないことで歴史に名を残した」ともいえるのかもしれない。
 なお、映画「父の祈りを」の主人公は獄中の中でこのゲバラの写真を壁にはっている。主人公はアイルランド独立運動の活動家であって共産主義者ではないわけだが、こうした普遍性もかなりすごいことではある。

ゴーストシップ(スティーブ・ベック監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー ;1962年に行方不明となった豪華客船がベーリング海に漂流しているのが発見された。サルベージ船のグループはその回収に乗り出すが‥
出演;ガブリエル・バーン、ジュリアナ・マーグリーズ、ロン・エルダード
コメント;幽霊船といえば昔懐かしき恐怖話を思い出すが、この映画ではデジタル機器を備え付けた最新のサルベージ船を描く。映画の途中でローレライ、マリーセレストといった有名すぎるほど有名な船の名前が飛び出す。これらは物語の伏線ともなるがこの映画のローレライは思いもかけぬ人物が該当する(もともとはライン川沿いの妖精だが)。舞台設定はまず1962年。ただしマリーセレスト号は1872年なので、その90年前。船長とその船員7名がニューヨークからトリポリへ向かう最中に約1ヵ月後ジブラルタル海峡沖で無人で発見された話である。もっともコリン・ウィルソンは、その原因を科学的に証明しており、マリー・セレストの謎は謎でもなんでもないということになる。
 とはいえこの映画明らかに「タイタニック」を意識して作成されている。船の沈み方やダンスシーンなどはパロディかと思うほど。予算の関係でエキストラが揃っていないだけだが、幽霊船にはちょうどよいチープさが漂う。また、映画最後に描かれる「回想シーン」のスピード感はなかなかのもの。人間の身体がロープでスパっと切れる感覚は漫画の「寄生獣」を思わせる。
 なお製作にはジョエル・シルバーとロバート・ゼメキスが名を連ねる。ラストはなんとなく「キャスト・アウェイ」を彷彿とさせる気もする。また「エイリアン3」「ユージュアルサスペクト」「タイタニック」「エルム街の悪夢」「フェノミナン」といった過去の映画へのオマージュがたっぷり。ガブリエル・バーンの死に方がなんとなく映像的にはきれいなのだが、もう少し青みがかった照明できれいに撮影していたら、などと思う。この手の映画ではラストになんらかの精神的カウンセリングの場面などを織り交ぜていくとヒッチコック的な深みも出るのに‥。デジタル社会ではこうした幽霊船モノはなかなか作りにくいだけに、製作者の意地をもう少しみせてくれればありがたかった‥。

トロイ(ウォルフガング・ピーターゼン監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー;ホメロスの「イーリアス」を下敷きに作成された歴史スペクタクル。
出演;ブラッド・ピット、エリック・バナ、ピーター・オトゥール
コメント;この映画では、ホメロスの「イーリアス」を基にして独特のフィクションの世界を繰り広げている。とはいえ、映画の都合上カタルシスが得られるようにストーリーが改変されており、見るべきは5万人の軍団がぶつかりあう戦闘シーンということになるだろうか。
 でもこの監督は「アウトブレイク」といい「パーフェクトストーム」といい本当にすごい予算をかけて単純な話を作り上げる名手だと思う‥。
 アキレスとヘクトル、そしてオデュッセウスといった歴史上の知名人が人間模様を繰り広げる。ヘクトルとアキレスが戦ってヘクトルが死んだのは事実。ただし映画では述べられていないが、ヘクトルの妻アンドロマケは最終的には逃げ切れていない。戦利品としてギリシアのネオプトレモスの戦利品とされた。またその息子アステュアナクスもアキレスの息子ネオプトレモスによって殺害される。あまりにも悲劇的な話であるためラシーヌやエウリピデスが戯曲にもしている。またトロイの王プリアモスの娘カッサンドラも逃げ切れずトロイ陥落後アガメムノンの妾とされ、後にアガメムノンとともにクリュタイムネストラに殺害される。
 アキレス自身は言い伝えではケイロンに育てられたということになっている。デイダメイアとの間にネオプトレモスをもうけている。
 トロイの木馬はオデュッセウスの発案によるものだが、トロイ戦争終了後、家路につく途中単眼巨人キュクロプスの目をつぶしたためポセイドンの怒りをかい、妻ペネロペの元に20年かけて還ることになる。パリスが弓の名手であることと、産まれたときに国を滅ぼす者として予言されたという。アキレスの踵を射抜いたのもパレスだが、彼も後にフィクロテテスに毒矢を撃たれて死亡。
 トロイ自体があまり明るい話はないが、これはやむをえないのかもしれない。一つの歴史スペクタルとしてみればいい映画だが、個人的には「ナンだこりゃ」というレベルの話でもある。ただしショーン・ビーンだけは際立つ演技。アンドロマケ役の女性はやや老け込みすぎかな。
 なおこの時代の勢力図はやや地中海世界は複雑だ。もともとはホメロスの詩としては女性問題に端を発しているが基本的には領土問題。もっといえばエーゲ海と黒海を結ぶ交易路をめぐる争いともされている。ヘレナという人名はヘブライを象徴したものとする説も根強いらしい。このあたりの地域は砂漠かそれに近い乾燥地帯のようだからそのあたりは映画では考慮されている。エジプトでは新王国時代、そして映画でもちょっとだけ名前がでるがヒッタイトもまたギリシア半島を伺っているという情勢にある。ちょうどミケーネ文明とよばれるシュリーマンが発掘・発見した時代の頃で、19世紀半ばまでは空想の産物とされていたころの話だ。
 とはいえ、ミケーネ文明自体もまたドーリア人(ギリシア人)もしくは海の民によって滅ぼされたということだから、歴史はあまりハッピーエンドはない。この海の民はヒッタイトを滅亡させ、エジプトも攻撃したらしい。歴史の流れの中であえて救いの場面をストーリーに織り込んだのは現代風なのか、それともそれがヒューマニティなのか。
 こうした歴史スペクタル物は実際にはこうだったああだったというのが面白いところだが、それにしても救いがない。ヒューマニティという言葉はまだこの時代にはなかったのかもしれない。そのせいか「笑い」のかけらもでてこない映画である。
 ショーン・ビーンのふんするオデユッセウスは、「あきれたヒト、知恵の固まり」と称されており、トロイの木馬も彼の発案だが、これは地中海では最大級のほめ言葉だ。イタケとよばれる地域の片田舎の領主である彼はこの戦争で、知恵の女神アテネの支援を得ているとの評判をとり、10年を超えるトロイの戦争と、その後10年の帰宅途中の旅をホメロスの作品にとどめた。もっとも田舎にもどってからの彼の消息についてはホメロスは語っていない。ショーン・ビーンの憂いを帯びたインテリジェンスとアキレスの単純さが対比をなし、それはまさしく歴史小説の「イリアス」と「オヂュッセウス」の対比ともなっている。


悪霊喰(ブライアン・ヘルゲランド監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー ;カロリング王朝からの異端とよばれるカソリック内の修派。その最後の司教が不審な死を遂げた。その話を聞いたニューヨークで伝道にあたるアレックスはフランス、パリの司教と連絡をとりバチカンへ向かう‥
出演;ヒース・レジャー、マーク・アディ、シャニン・ソサモン
コメント ;かなりいかがわしい映画と思いきや光と影が交錯する見事な撮影。役者もまたかなりの高水準。イタリアのローマの撮影風景がかなりきれいだ。カソリックの組織体がかなり厳格に描かれており、隠れた名作といえるのではなかろうか。
 この映画では知る人ぞ知る名作「ロック・ユー」のメンバーが勢ぞろい。あの有頂天な映画とはうってかわって、重苦しい雰囲気を漂わせている。特に古い書物の中で逆光の中、ちゃんと空気の中に埃がまっているシーンもキッチリ撮影しているところがすごい。ホラーとしては最高レベルの評価に近い。
〈アラム語〉
セム語系統の言語。ペルシア帝国,メソポタミア,パレスティナ,エジプトに及ぶ共通文化語になった。旧約聖書のダニエル書などに記載がみられるアラム語は聖書アラム語と呼ばれる。シリア系統にも通じる言語。この映画の中でのアラム語とは旧約聖書の聖書アラム語のことを指していると考えられる。
〈サン・ピエトロ大寺院〉
バチカンにあるローマ・カトリック教会の主聖堂。使徒ペテロの墓所上に建立され,ギリシア十字を基本とし中央に壮大なドーム(直径42m)を架した盛期ルネサンス建築。映画に使用されていたのはこの主聖堂のスタジオセットと考えられる。旧聖堂(教会堂建築参照)は五廊式バシリカで,ローマ皇帝コンスタンティヌス1世によって324年に創建された。教皇ニコラウス5世が改修に着手し,その没後工事は中断したが,教皇ユリウス2世が16世紀初めにブラマンテの案に基づいて工事を再開した。ラファエロ,ミケランジェロ(大ドームを設計),1603年―1629年マデルノ(身廊,玄関廊,ファサードを設計)などが次々に監督を務め,イタリア・ルネサンス最大の建築事業となった。聖堂の前のサン・ピエトロ広場を囲む半円形の円柱回廊はベルニーニが建造。

スターシップトゥルーパーズ2(フィル・ティペット監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー;前作から7年。バグとの戦争は膠着状態に陥っており、最前線で救出を待つ軌道歩兵部隊は、廃墟の基地へひとまず退却したが‥。
出演;リチャード・バージ、コリーン・ポーチ、ケリー・カールソン
コメント;製作者は朝鮮戦争をイメージしていたらしい。オリジナル性のあるもの、もしくはサミュエル・フラー監督の作品をイメージしたらしいが残念ながら「遊星からの物体X」に非常に良く似た作品になってしまった。とはいえ撮影日数が26日でここまでもってくるあたりがハリウッドの特撮部隊の職人芸を見る思いがする。こうした作品ではなにより話の整合性が重視されるべきだが、やや心もとない面もないではない。ただしあえてレトロなデザインに凝ったり、廃墟となった基地の内装はかなり個人的には評価が高い。「エイリアン2」の影響を相当受けた美術だがそれもやむをえないのかも。
 ケリー・カールソンという若い女優の演技が面白い。軌道歩兵部隊の二等兵という設定だがとてもそうなおもえないこぎれいな姿である。それがまた、なんともいえずミスマッチでこの映画に華をそえてくれているような気がする。B級映画としてはまあまあ。もう少しグログロの展開でもよかったのかな‥。

花様年華(ウォン・カーウェイ監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー ;香港の縦割り長屋方式のマンションに二組の夫婦が同時に引っ越してくる。両方とも共働きでそのうち不倫が始まる‥。
出演;マギー・チャン 、トニー・レオン 、レベッカ・バン
コメント ;トニー・レオンはこの映画でカンヌ映画祭男優賞を受賞。ストーリーは1961年返還前の香港を舞台にしており、ストーリーは奥さんに不倫されて、なおかつ隣に住む人妻と純愛路線を貫くという非常にばかばかしい役回りだが、その役回りを見事に演じきるのがトニー・レオンのすばらしさ。他の役者では98分をもたせることは不可能に近いかもしれない。終始スーツ姿とポマードで固めたスクエアな衣装がまたりりしい。トニー・レオンで一番印象的なのは食事をするシーン。「恋する惑星」でも屋台で下品に炒め物を食べているシーンが印象的だったが、この映画でも屋台での食事やまずそうなステーキを我流のフォークの持ち方で食べるシーンがある。これがまたなんとなくサマになっているのがすごい。トニー・レオンといえば食事をしているシーンと勝手に私は決めている。
 マギー・チャンはこの映画の中で一体いくつのチャイナドレスを持っているのかというぐらいシーンごとにきれいなチャイナドレスをそろえて出演してくれている。もともとすごい美人であることに加えて演技力も最高レベル。さらに色とりどりのチャイナドレスが沈黙の演技をさらに引き立たせる。この映画でマギー・チャンのファンになる人も多いのでは。もう40歳になったはずだが、そうした年齢を感じさせない女優らしい女優だ。日本で匹敵する女優というのはちょっと思いつかない。
 舞台は香港からシンガポール、そして最後はカンボジアへと続く。純愛映画であるからして日本の渡辺純一さんの小説のような気持ちの悪いベッドシーンは一切でてこない。シアヌーク殿下がドゴール大統領を迎えに来る場面が結構長々と映し出されるなど監督の意図がわかりにくい映画であるし、さらにはストーリーがどうにも腐っている‥という欠点を差し引いても香港の俳優の演技力のすさまじさでそうしたマイナス面をカバーして商業映画のレベルまでもってくるからすごい。

キル・ビルvol.2(クエンティン・タランティーノ監督)

2007-12-30 | Weblog
ストーリー;シリーズ2作目。いよいよテキサスにビルを倒しに行くブライド‥ラブストーリー編‥
出演;ユマ・サーマン、デビッド・キャラダイン、 マイケル・マドセン
コメント;あのダリル・ハンナがもう44歳‥その割にはユマ・サーマンよりも綺麗。アクションシーンではかなりの台詞まわしとアクションをみせてくれる。マイケル・マドセンもとぼけた憎めない殺し屋役が印象的。デビッド・キャラダインのなかなかの悪役ぶりもさすが。「ロングライダース」では兄弟で出演していた。またゴードン・リューとマイケル・マドセンは第1作とは違った役でシリーズ二回出演。それぞれの味わいを出してくれる。サミュエル・L・ジャクソンも思わぬところにカメオ出演。
 しかしこの映画個人的にはダリルハンナに尽きるのだが。