ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ジョニー・イングリッシュ(ピーター・ハウイット監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;英国諜報部員となったミスター・ビーン。これまでしゃべらぬ演技をこの映画で転換
出演;ローワン・アトキンソン、ジョン・マルコヴィッチ、ナタリー・ブルータリア
コメント;誰もがわかる007のパロディもの。すでにピンク・パンサー4あたりで履行済みだが、光るのはブリティッシュの役者。ハリウッド特有の大げさな演技なしに「笑い」を呼ぶ。英国の戴冠式の「お約束」などもわかる。画像もストーリーも「スパイダーマン2」の10分の1以下ではあるが、「ワンダとダイヤと優しい奴ら」に属する自称「弱小国」ブリティッシュの伝統的段取りを踏まえたコメディ。また、フランスとの複雑な隣国関係は、「ブリジッド・ジョーンズの日記」にみられるのと同じ。これはまた歴史的な背景をしょいこんだ知的お下劣コメディでジョン・マルコヴィッチのフランス人ぶりもまた光る。

リアリティ・バイツ(ベン・スティラー監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー ;ちょっとレトロな形のメロドラマ。大学を卒業すると。それぞれがいろいろな道を歩くと。一人は小売商の店長に。一人はゲイであることに自己同一性を見出すと。そしてドキュメンタリー志向の女性とロッカー志向の男性がいろいろあって、現実は厳しいけれど誤解もあったけど、仲良く暮らすと。
出演;イーサン・ホーク、ウィノナ・ライダー、ベン・スティラー
コメント;音楽はかなりいいのだが、別にサントラ購入すればいいだけの話だし。リアリティ・バイツ‥reality bitesは「現実は厳しい」とでも意訳できるのか。しかしながら、ウィノナ・ライダーの父親は会社の社長で、しかも主人公は暗算ができないので、バーガー屋のアルバイトにも雇用されない(しかし冒頭では大学卒業生総代になっている)。一方のロッカー役のイーサン・ホークはなかなかさわやかな印象を与える演技で「大いなる遺産」「トレーニング・デイ」でそれぞれアン・バンクロフト、ロバート・デ・ニーロ、デンゼル・ワシントンの「大仰な演技」をうまく受けただけあって、若手演技派筆頭の素直な役者ぶり。俳優の星印2つはひとえにIQ180の社会不適合者を演じたイーサン・ホークのもの。結局のところ、すったもんだのあげく、仕事がないまま二人だけで同棲を始める二人(23歳推定)。ぜんぜん現実の厳しさを味わってないじゃん。結構広いアパートメントに住んじゃって。これがイーサン・ホークとウィノナ・ライダーだからそれなりに映像になるけど、役者志望の若手男女が同棲して生活苦で喧嘩だらけなんて下北沢あたりでよくみたもんだ。とてもみてられないが、映画だったらみてられるという。
 しかしこれだけ音楽に頼りっきりの映画というのもひどい。ボノが気の毒ですらある。映像としてそこらのMTVにも劣る。ストーリーとして昼メロにも劣る。笑いとしては「釣り馬鹿日誌」シリーズのほうが格段に上だ(特に森崎東監督の4はすばらしい)。こうした雰囲気に流されるのはもしかすると「音楽」にだまされる世代かもしれない。現実はもーっと厳しい。

ギャンブラー(ロバート・アルトマン監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;19世紀から20世紀に移り変わる時代。亜鉛の採鉱場にふと訪れたスタド・ポーカーのギャンブラー。彼はその町にカジノ建築しはじめる。映画の始まりから終わりまで終始、雨と雪がふりつづく。銃声が聞こえるのは、映画の最終部分のみというロバート・アルトマンの1971年の西部劇。
出演;ウォーレン・ビューティ、 ジュリー・クリスティーン、ジョン・シャック
コメント;1972年4月公開。銃声は映画の冒頭でみえた湖の橋で突如発生する。西部劇といいながら、もはやジョン・フォードの時代ではなく蒸気も使用される近代の時代。株式会社がヒットマンを送り込んでくるという時代背景をもとに、ロバート・アルトマンが雪と雨を使ったスタイリッシュな演出をみせる。
 最近ではこの監督の「ゴスフォード・パーク」をみたが、やはり役者の演技に頼る部分がちょっと増えてきたのかもしれない。が、彼らがアルトマンの信者となった原典はまさしくこの映画にある。なにげない日の光、雪、雨、光、影が交錯し、最後の場面は幻想で終了する。これはハッピーエンドの西部劇なのだ。

ロード・オブ・ザ・リング~王の帰還~(ピーター・ジャクソン監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;トールキンの「指輪物語」のダイジェスト
出演;オーランド・ブルーム、ケイト・ブランシェット、イアン
 アカデミー賞発表前にクリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」をみていたせいもあるかもしれない。きわめて質素に作成されているイーストウッドの映画に対してSFXのオンパレードのこの映画。主要なアカデミー賞を総なめにしてしまったようだし、それなりに楽しめる部分もないわけでもないが‥。合計200分という長さがきつく感じる。カメラーワークもたいしたことないし。祭りの後のわびしさみたいなものを演出したかったような意図を感じないわけではないが、日本には押井守監督というその手の感覚では世界的に優れたクリエーターがいる。わざわざ3時間かけてみる映画ではないだろう‥。「ミスティックリバー」ではケビン・ベーコンには何の賞も与えられなかったがそれが残念。自然体の演技がすばらしかったのに。イライジャ・ウッドの演技がなあ‥。とはいえ「2つの塔」などでみせたケイト・ブランシャットの演技はさすがなもの。イギリス人俳優のすごさはこうした大作ものでも実感できる。またオーランド・ブルームの軽やかさは見ごたえ十分。「パイレーツ オブ カリビアン」よりも身軽で気楽に演じているようにもみえる。

マッチスティック・メン(リドリー・スコット監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;詐欺師のニコラス・ケイジは強迫神経症。忘れ形見の子どもがあらわれて‥。途中でほとどの観客はオチにきづくがストーリー自体はさして魅力的なものではない。
出演;ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル、アリソン・ローマン
 ストーリー自体は、製作者側がいうほどたいしたものではない。リドリー・スコットがみせる独特の映像感覚と細部までのこだわり。そして映像の原則を若干無視してまでもみせようとした光と影。ニコラス・ケイジの住む家の前には前面庭がプールとなっており、夜のシーンでは部屋の側面が青く光り輝く。青と白でスタイリッシュに統一された強迫神経症の詐欺師の部屋が、ラストシーンでは、赤い花が飾られている部屋へと変貌する。
 俳優ではニコラス・ケイジが相変わらずニコラス・ケイジでありつづけるための演技を展開する。そのままギリシアにいって「コレリ大尉」となっても違和感のない骨太の演技。そしてこうした演技こそがアメリカ俳優のトップクラスの演技であり、けっしてアル・パチーノやロバート・デ・ニーロのものではないことを映画ファンは確信する。14歳の少女役を演じた役者は実は22歳。そうした詐欺こそが実はこの映画の真骨頂である。ラストシーンは試写会の評判などを採用して、3箇所変更されたようだが、これもまた印象的なニコラス・ケージのつぶやきが凡庸な終わり方であるようでいて、非凡のきわみとなるハリウッド映画正統派のトップクラスのラストシーンとなる。「天使のくれた時間」と並ぶニコラス・ケージのヒューマン・コメディだと思った。
 監督は「エイリアン」「テルマ&ルイーズ」などのリドリー・スコット。実務に関する優秀なスタッフを取り揃え、新たな映像をつむぎだしている。

ラブ・アクチュアリー(リチャード・カーティス)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;10組の恋愛模様を複雑なドラマ自体で構成。英国首相とその秘書、同僚のデザイナーと編集者、そしてその弟。単なる男女の恋愛だけでなく、兄弟の中にある愛、仕事仲間の愛‥どこにでもある愛を会話中心でつづる。
出演;ヒュー・グラント、コリン・ファース、ローラ・リニー
 この手のドラマ映画には結構厳しい評価をするタイプなのだが、まず俳優のラインナップがすごい。英国中心の実力ぞろいだが、その中ニローラ・リニーのようなアメリカ人俳優も混ざっている。
 さっとみてしまうとコメディのようでもあるが、ひとつのブローチをきっかけにそれまでの生活に陰がさすカップルや、弟への愛情が姉の恋愛に影をさすカップルなど暗い側面をも微妙にうつしだしている。どこにでもある恋愛模様だからすべてはピーエンドというわけでもない。淡々とした物語を結構な予算をかけて撮影している。金を出してけっして損はしない映画。

ヴァン・ヘルシング(スティーブン・ソマーズ監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;バン・ヘルシングは妖怪ハンター。バチカンの指示を受け、ルーマニアのトランシルバニア地方へ赴き、ドラキュラ伯爵との戦いに挑む‥
出演;ヒュー・ジャクソン、ケイト・ベッケンセール、リチャード・ロクスバーグ
 主役のジョー・ジャクソンはこれまでにも「ソード・フィッシュ」「X-men」などにも出演しているが、どちらかといえば、最近は本作品のようなゲテモノ映画の役者扱いが目立つ。ただ、オーストラリア出身の役者らしく、ハリウッドの大味な演技とは一線を画す。この映画の冒頭では1929年の初代の「フランケンシュタイン」、ロマン・ポランスキーの「吸血鬼」、「エイリアン2」といった往年の作品に対するオマージュがみてとれる。「リーグ オブ レジェンド」と若干だぶるところもあるがそれはご愛嬌だろう。特撮についてもなかなか面白い撮影方法である。楽しんだ客も少なくなさそうだが、評価は結構分かれるだろう。個人的には途中つらかったが、それでも最後まで映画館には座っていた。時間がある人にはまあいいのかもしれないが、そうでなければ無理してみるほどのこともないのかもしれない。
 ちなみに主役のヒューは007の次代ジェームズ・ボンドの候補にもあげられている(ピアース・ブロスナンがおりるようだ)。映画の冒頭で007とQの会話へのオマージュもあり、ファンはちょっとにやり、とするかもしれない。

北京ヴァイオリン(チェン・カイコー監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;中国の田舎町から、父子が二人北京に上京していく場面から始まる。冒頭で主役の少年は街の理髪で髪をきられ、その後、臨月の女性のもとでバイオリンを演奏する。そして、物語は街の中を流れる川にのって親子が北京へ向かい、到着してから始まる‥。悠久の大陸を舞台に繰り広げられるあまりにも切ないメロドラマ。貨幣経済が浸透した中国で、あまりにも通俗的するぎるストーリーがかえって効果的。
出演;シャオ・リュウシュ、キム、タン・ユン
 教えること。教わること。そしてまた東洋の街に流れるチャイコフスキー。ハリウッドの役者ではとても耐えられないであろう長いワンシーンにもすべての役者が耐える。映像は北京の町並みを見事に切り出し、セリフというものが果たして映画に必要だったのかどうかも疑わしくなるほど。字幕はいらないのかもしれない。恋人に素直になれずその思いを抱えたまま偏屈に生きる音楽教師。金持ちをねらって金を稼ぐ一方で恋人にみつぐ女性。そして父と子。敵役の少女も見事。「子どもたちの学校」以来の快挙となるチェン・カイコーの映像。昼メロの局地をいくストーリーが北京の過去と未来。そして貨幣経済と共産主義の対比を切り取る。これが映画だったのだと至福の瞬間を味わえるそんな映画。


イングリッシュ・ペイシェント(アンソニー・ミンゲラ監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー;第二次世界大戦終戦間際のイタリア。カナダ人看護婦が記憶を喪失した英国人の患者をみとるために教会に仮宿。1938年のエジプト時代から、少しづつ患者は記憶を取り戻していくが‥
出演;レイフ・ファインズ、ジュリエット・ビノシュ、クリスティン=スコット・トーマス
 アメリカアカデミー賞という俗悪ではあるが権威ある賞を数々受賞。一応ハリウッド資本だが英国俳優やフランス俳優が多数出演しており不自然さはない。エジプトにカナダ国籍のスパイというのはちょっと苦しいが。当時英国領だったインド人少尉などもストーリーにからみ、最後はトラックでフィレンツェへ向かう。その日差しがきれい。見ている人間が自分自身の差別性や俗悪さを自覚することになる仕掛けがある。2時間はとっても短く感じる美しい映画。コリン・ファースが、またとぼけた演技を自然に演じている。

この映画の中にインド人将校がでてくる。イギリスでは旧植民地の人間はインド人・パキスタン人・スリランカ人などは一緒にされてパキという蔑称でよばれ、有形無形の差別や暴行を受けている。もともとイギリスでも理数系に優れた人材をインド系イギリス人は供給しているが企業の上層部に座る例はほとんどない。そうした点からも興味深い。

17歳のカルテ(ジェームズ・マンゴールド監督)

2007-12-28 | Weblog
ストーリー ;17歳の主人公は「頭痛から逃れるため」アスピリン一瓶とウォッカを飲み、救急車で運送された後、カウンセリングを受ける。「手の骨がとける」「時間の感覚がなくなる」という彼女は境界性人格障害(ボーダーライン)と診断され、病院に入院。そこでリサとよばれる破天荒な女性患者と知り合うが‥実在の話を元に映画化。アンジョリーナ・ジョリーはこの映画のリサ役でアカデミー助演女優賞、ゴールデングローブ助演女優賞受賞。
出演;アンジョリーナ・ジョリー 、ウィノナ・ライダー、ウーピー・ゴールドバーグ
 ウィノナ・ライダー自身が20歳前半のころこの映画の主人公と同様に病院に入院していたことを後に告白している。境界性人格障害とは「正常と異常」との境界線なのか、という問に対してバネッサ・レッドグレーブは「アンビバレント」という表現がもっとも的を射ている‥というような哲学的な問答をする。安住しないこと、大人になることを「感情のふれ」という表現でのりこえていこうとする。ラストで「この世もウソばかりだが私は外の世界で生きることを選択する‥」という独白は「虚飾」の中で生きる辛さと楽しさのアンビバレントな状態を表現しているかのようだ。アンジョリーナ・ジョリーの演技はすさまじい。「悪役」としてもとめられるすべての要素を取り込んだすばらしい演技。