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豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

X染色体の凝縮に関わるタンパク質

2013-04-18 08:30:39 | 研究
性決定を担う性染色体が男性はXYに対して女性はXXとX染色体が2本あることはよく知られています。これでは読み取られる遺伝子情報が多くなり、どちらか1本が休止状態でなければ生存できないそうです。そのため女性の細胞には小さく折りたたまれて凝縮した不活性のX染色体、すなわち「バー小体」が観察されるそうです。そして今回、バー小体を形成するタンパク質HBiX1を発見したそうです(QLife Pro)。バー小体は60年以上前に報告されているそうですが、具体的な構造や働きは解明されていなかったそうです。ヘテロクロマチンという構造をとり、タンパク質HP1が構成するそうです。研究では、HP1に結合するタンパク質の種類を質量分析器や遺伝情報解析装置で特定を試み、その結果、不活性X染色体にタンパク質HBiX1が多く存在することがわかったというものです。HBiX1が他のタンパク質と連携してヘテロクロマチン構造を形成することやこれらのタンパク質の働きを阻止するとヘテロクロマチン構造自体が消滅することも明らかになったそうです。X染色体以外の染色体にもHBiX1などが存在するそうですが、これは染色体上のさまざまな領域の凝縮に関わっていることを示唆するものだそうです。凝縮した染色体構造は発生・分化に関わる遺伝情報の読み取りを抑制して細胞間の違いを生む遺伝子の発現パターンを規定すると考えられるそうです。つまり凝縮した染色体構造が正しく作られないと疾患の原因になる可能性があり、実際にある種の筋ジストロフィーやがんの発症に関与するという報告もあるそうです。人為的にタンパク質を操作して細胞の性質を改変する方法に発展すると考えられ、すでにiPS細胞作成技術、染色体トリソミーによる障害の緩和、筋ジストロフィー治療への応用が期待されているそうです。すごい発見ですね。
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