資格取得のための道具としてe-ラーニング教材などが盛んに開発され、自学自習用として利用されています。e-ラーニング教材は、何時でも、どこでも、自由に何回も好きなところから学習できるという利便性と、学習効果の側面から効果があるとの報告がいろいろされています。
しかし、学習効果の報告は本当なのだろうかという疑問がいつもつきまといます。このことは私だけのことなのだろうかといつも思っています。
私は学生教育の体験から学生と対面しながら学習するのが本来の姿であり、教育効果も高いと思っています。教室での授業は、学生の理解度に応じてフレキシブルに授業展開をすることができます。それは、学生の疑問点に対してすぐに回答できますし、疑問点に対する学習の仕方を指示できます。
また、学生の表情をくみとりながら授業を進めることができるからです。学生は、学習目的がはっきりしていて気分よく学習している学生から、単位修得目的で気分ののらない学生など、いろいろな学生がいます。
先生は、このような学生の表情をとらえながら、この学生はこの点が理解不足のようだから、繰り返して説明しておこう、この学生は理解しているようなので、少し応用的な内容を話そうと、考え、説明を試みたりします。また、いろいろな方法を使って理解してもらうよう試みます。このように対面授業では学習効果を高めるためのいろいろな工夫がとれるからです。
過去においてある科目のビデオ教材を作ってもらい、メディア授業として授業をいたしましたが、学生の評価は好ましくありませんでした。その理由として一人で学習するのは暗い感じがあり、楽しくないというものでした。確かに繰り返し学習できるという点、わからなかった点を再度確認できるという利便性は認められます。しかし、学習効果の面で、あまり期待した効果は得られませんでした。
e-ラーニング教材によるインターネット学習が盛んに行われていますが、学習効果の面から考えると弱点があるようでならない。受講者の質問に直ちに回答できない。積み重ねながら進める学習内容であれば、そこで学習が中断してしまうことが多くなります。
人はコミュニケーションをしながら学習する方が、脳の働きが高まり、記憶力が高まるのでないかと思われます。つまり、心を持った人間との触れ合いを通して学習するように、人間は本来的にできているように思われます。心のない道具を使って学習する形態は、最近のことですし、人間の脳はこの方式に対応できていないように思います。
ビデオ、DVD、インターネット、コンピュータなどの道具を使っての学習は、一人で学習する場合が多くなります。一人でする独学は、人にもよりますが、本来、学習方法としてむいていないように思うのです。