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厚生労働省の社会保険料計算にも、所得税の計算における給与所得控除と所得控除の考え方を反映すべき

2015-07-26 03:37:56 | 人間社会

 厚生労働省の社会保険料の計算は、現役サラリーマンであれば4月から6月の給料支給額の3か月の平均額をもとにして月額標準報酬額を決め、この月額標準報酬額に厚生年金保険料率と健康保険料率を掛けて月額厚生年金保険料額と月額健康保険料額が計算される。介護保険料についても月額標準報酬額に介護保険料率を掛けて月額介護保険料額が計算される。現役サラリーマンが負担する金額は労使折半となるので半額を納付することになる。

 現役サラリーマンを引退した年金受給者の健康保険料は、前年度の合計所得金額(年間の年金支給額から年金控除額を控除した額)から税法でいう基礎控除額に該当する33万円(税法では38万円)を差し引いた額を出発点として、保険料率を掛けた所得割額に均等割額をプラスして年間健康保険料額が計算される。介護保険料についても税法での合計所得金額を基礎として計算される。現役サラリーマンを引退した年金生活者は、現役サラリーマンのように労使折半はなく、全額を支払うことになる。

 ここで問題となるのは、現役サラリーマンの月額標準報酬額には給与所得控除額が反映されていないため、事業所得者よりも高い健康保険料と介護保険料を支払っていることになる。現役サラリーマンの月額標準報酬額には通勤手当も報酬として含まれるため、通勤交通費が1か月100,000円かかるひとは、月額標準報酬額が100,000円分高くなる。税法では通勤交通費の手当が100,000円までは所得には含めない。この通勤交通費手当を、社会保険料の計算基礎である標準報酬額に含めることは、理論的にも矛盾している。それは、給料を得るための手段として要する費用であり、所得とはならないはずである。税法と社会保険料の計算において一致していない。通勤交通費手当を多く得ているサラリーマンは、高い社会保険料を負担していることになる。現役サラリーマンの標準報酬額には、税法の給与所得控除額が反映されていなし、以下で述べる所得控除の考え方もない。

 また、現役サラリーマン以外の各社会保険料の計算は、所得税における合計所得金額を出発点としており、税法における合計所得金額から所得控除を差し引くという考え方がない。税法における所得控除は、各人の担税力(税負担能力)を考慮して課税の公平化を図っている。厚生労働省の社会保険料の計算の基礎には、所得税のような担税力を考慮した考え方がないため、各人の社会保険料の負担額は、各個人の負担能力を無視した方法となっている。

 そのため、社会保険料の計算にも、所得税の計算のような所得控除の考え方を導入すべきであり、厚生労働省独自の考え方を反映させるか、国税庁の所得税のデータを利用すべきである。サラリーマンや年金生活者などの取り易いところから多くの社会保険料を徴収するという考え方でなく、個人の負担能力を考慮した公平な社会保険料となるようにすべきである。社会保障と税との課税一体制度であるマイナンバー制度が来年1月から導入される。この視点からも社会保険料の計算方法は、税法のようなきちんとした考え方に基づいた計算制度に改めるべきである。