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速効性の期待できない「コラーゲン」

2006-05-29 22:25:06 | 健康と美容

 「お肌も身体もみずみずしく」「肌年齢も身体年齢も貴女しだい」「高血圧の防止や骨そしょう症の軽減」「関節炎の治癒に効果」などといったキャッチコピーで、ドリンクタイプの「コラーゲン」が売れています。飲めばすぐ、肌がツルツルするらしいのです。

  コラーゲンはタンパク質のひとつで、アミノ酸が長くつながってできています。このコラーゲンは、動物の中心や、皮膚や軟骨、腱などの成分となって、組織と組織をつなぐノリの役割を果たしています。細長いコラーゲンはまるで糸のようで、3本がらせん状にからまりあうことで、強度をいっそう増しています。

  3本の鎖がからまりあったコラーゲンは、ぴんと張った棒のような分子構造をしていますが、温度を60度まで高めると、螺旋はほどけ、3本鎖は1本ずつに離れます。これをゼラチンと呼んでいます。水に溶けたゼラチンを冷やすとゼリー状になって固まりますが、もとのコラーゲンの持っていた3本鎖構造には決して戻りません。これを「タンパク質の変性」と呼んでいます。卵を熱湯につけると固まってゆで卵のなるのも、タンパク質の変性です。

 カルシウムばかりと思いがちな骨にしても、コラーゲンの繊維を芯に、そのまわりにリン酸カルシウムが付着してできています。コラーゲンは、生体を構成するすべてのタンパク質の約30パーセントを占める主要成分です。肌の真皮にいたっては水分を除いた70パーセントがコラーゲンです。

  いくつかの業者が、「コラーゲンは目や内臓、血管にも欠かせない。しかも、健康と美容の必須のタンパク質だから、積極的に補給しましょう」と声高に主張しています。しかし、「食べたり、飲んで補給しましょう」という業者の主張には首をかしげざるを得ません。  そもそもコラーゲンというのは、巨大なタンパク質であり、飲んだり、食べたりすることで補給することができません。この点で、飲んだり、食べることで吸収されるビタミンやミネラルとは根本的に異なります。

  コラーゲンの分子量は約30万と巨大だから、体内には決して吸収されないのです。皮膚に自然に染み込む分子量は、せいぜい500程度です。飲むにしろ食べるにしろ塗るにしろ、その600倍もある30万という分子量は、あまりにも大きすぎて身体が受け付けないのです。

  細胞に浸透しにくいのだから、速効性などありません。その意味で「飲んだ翌朝」あるいは「夜塗って目覚めたら」肌がツルツル、という声をはなはだ疑問です。口から摂取されたすべてのタンパク質は、まず胃腸で酵素によってアミノ酸に分解され、小腸から吸収されます。飲んだコラーゲンがそのまま吸収されることは決してありません。

  身体の大切なコラーゲンは、口から飲んだり食べたりすることで獲得するものではなく、アミノ酸という部品が長々とつながることによって、生体でつくられるのです。なぜタンパク質を食べるかというと、生体で必要なタンパク質をつくるための「原料」のアミノ酸を提供するためですから、わざわざコラーゲンをサプリメントから摂取する価値はありません。

  ビタミンCを十分に摂取し、豚の角煮や焼肉、サンマやホッケを焼いて食べることで十分なのです。

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