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久保田洋子記者
[東京 23日 ロイター] 7年ぶりの長編小説「1Q84(いちきゅうはちよん)」を執筆した作家の村上春樹氏(60)が、ロイターのインタビューに応じ、この小説が220万部を超える大ベストセラーとなった理由として、「人々がアンリアルなもののリアルさということをだんだん理解し始めて、受け入れ始めているのではないかと思う」と語った。
作家デビューから30年を迎えた村上氏は、これまでにノーベル文学賞候補に何度も名前が挙がっており、小説やエッセーは40カ国語以上に翻訳され出版されている。
ことし5月に出版された「1Q84」(全2巻)のタイトルは、英作家ジョージ・オーウェルの「1984年」を連想させるが、これについて村上氏は「最初はジョージ・オーウェルが近未来小説として書いた『1984年』があった。僕はそれとは逆に、近過去小説として、過去こうあったかもしれない姿ということで書きたいと思った」と話した。
この小説では、登場人物の「青豆」と「天吾」を中心としたストーリーが交互に展開され、性、愛、殺人などのほか、カルト集団や虐待、喪失などのテーマが描かれている。執筆の背景には、1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件や、2001年の米同時多発攻撃があったという。
「9・11の事件は、僕は、現実の出来事とは思えない。そうならなかった世界というのは、どこかにあるはず。今いる世界は本当にリアルな世界かどうかということに、常に僕は疑いを抱いている。こうではなかった世界もどこかにあるはずだ、という気持ちがどこかにある」と胸のうちを明かした。
「ポスト冷戦の世界というもののあり方を僕らは書いていかないといけないと思う。でもそれは、どれだけリアルに描いても書ききれないものだ。ではどういう風に書くかというと、メタファーで書くしかない」という。
12人が死亡し、数千人が重軽傷を負った地下鉄サリン事件後、村上氏は60人以上の関係者にインタビューを重ね、なぜ人々がカルト集団に入るのかを追究してきた。
「一体どういうふうに生きればいいのか、何を価値、軸として生きていけばいいのか、当然そういう疑問が出てくるが、今、特にこれという軸がない。カルトというものはそういう人たちをどんどん引き付けてゆくことになると思う。僕らができることは、それとは違う軸を提供することである」と村上氏は言う。
これまで、様々な小説を世に送り出してきた村上氏だが、シンプルな言葉とシンプルな文体は一貫している。「グレート・ギャッツビー」など米文学の翻訳を手掛けた村上氏は、デビュー作「風の歌を聴け」の冒頭をまず英語で書いてから日本語に翻訳しており、翻訳によって自分の文体が生まれたという。
「僕はあまり日本語の日本語性というものを意識しない。よく日本語は美しいという人がいるが、僕はむしろそれをツールとして物語を書いていきたい。非常に簡単な言葉で、非常に複雑な物語を語りたいというのが、僕の目指していることだ」と語る。
村上氏は、早稲田大学出身。作家になる前は、妻とジャズ喫茶を経営していた。現在は、2010年5月に出版予定の「1Q84」の第3巻に取り組んでいる。
周囲がノーベル文学賞の受賞を期待する中で、最も大事な賞は良い読者だと村上氏は語り、「人は賞や数字にばかり目が行くが、それはただの結果に過ぎず、それ自体に意味があるわけではないと思う」と話した。