【ニュース分析】オバマ大統領が訪れたアジアは「昨日のアジア」ではない(1)
オバマ米大統領、天皇に90度おじぎしたものの… ブッシュ前大統領は07年5月、イラク訪問を終えて東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳らと会う予定だった。しかしブッシュ前大統領はバグダッドで写真を撮るのがイラク戦争の遂行のためより重要だと判断し、ASEAN首脳らとの会談日程を取り消した後、イラクに24時間より滞在した。それはアジアが中東に押された事件だった。
オバマ大統領は、米テキサス州フォートフッド陸軍基地で発生した、アフガニスタン配置を控えたイスラム教徒の陸軍少佐による銃乱射事件の犠牲者の葬式に出席するためアジア歴訪に向けた出発を一日遅らせた。オバマ氏はシンガポールのアジア・太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で同氏の演説を聞こうとした数百人にのぼる政界・経済界のリーダーを失望させた。それも間接的にアジアが中東に押された事件だった。
この10年間、特にブッシュ政権の8年間、アジアは常に中東に押された。逆説的に、核問題のおかげで韓半島だけ例外であった。だからインドネシアで少年時代の一部を送り、米ハワイで成長し、環太平洋が自身の世界観づくりに直接影響を与えたと公言するオバマ大統領は「米国は太平洋国家」と確実に定義付け、米国の「アジア復帰」(Return to Asia)を念頭にアジア歴訪へ向かった。
同氏は初の訪問先となった日本・東京のサントリーホールで行った演説で「米国初の太平洋系大統領」と明言し、米国は太平洋国家としてアジア・太平洋地域への関与(Engagement)を積極的に強化していくと宣言した。オバマ大統領は「米国は中国を封鎖せず、強力かつ繁栄する中国の登場を歓迎する」と明らかにした。
しかし同氏の北東アジア訪問は順調ではなかった。日本で同氏を待っていたのは、日米関係を同等なレベルに再調整したいと宣言した鳩山首相だった。そうした鳩山首相との会談で、日米間の最大懸案である沖縄基地移転問題について合意に至れなかった。オバマ氏は日本の国王に対し、深々とおじぎをすることで日本国民の歓心を買おうとした。
しかしそれもこれまでの「甲と乙」の日米関係を甲と甲の関係に変えようとする鳩山氏の野心を破ることはできなかった。鳩山首相はオバマ大統領との首脳会談を終えた後、お客さんを残しておいたまま、APEC首脳会議が開催中のシンガポールへ向かってしまった。鳩山氏以前の首相だったら、想像もできないことだった。